『ポケットモンスター ソード・シールド』一部でリークと騒がれた謎の「むし・ドラゴンポケモン」はフェイク。作者が“種明かし”
『ポケットモンスター ソード・シールド』のリーク情報として、一部界隈で話題になった新たなポケモンがフェイクであることが判明した。フェイク映像を作り出したThrorok氏自身が明かしている。先日、画像や映像とともに、新作に登場する「むし・ドラゴン」タイプの未発表ポケモンとしてメディアやYouTuberに取り上げられた謎の生物は、ひとりのユーザーが作り出したものだった。このリークを取り上げたYouTuberにリプライを送り「取り上げ、意見をくれてありがとう。カーテンをめくる時だ。」と、皮肉か喜びかわからない言葉をまじえ、真相を明かしている。
To @aDrive_tK , @Rigpop420 , @HoodlumCallum , @ActualAero , and all of the other Pokemon Youtubers who covered the bug / dragon leak:
Thank You. It has been a pleasure to see you all cover it and share your opinions. It is time to draw the curtain. https://t.co/juwmL2ngbv
— Throrok (@throrok) March 24, 2019
Throrok氏は、『ポケットモンスター ソード・シールド』の発表による賑わいを見た1週間後、フェイクのリーク映像を作ればメディアの間で騒がれるかをガールフレンド(らしき人物)と話しており、その流れで「1日」でフェイクのリークを作ってみることにしたという。制限時間は、9時から5時。1日である。論争が激しくなりそうな御三家やその進化系のポケモンのフェイクは避け、見たことのないながらもわかりやすく、かつありそうなポケモンを作る。そうした目標を立てられフェイクポケモン制作は始まった。
まず氏は、『ポケットモンスター ソード・シールド』の舞台がイギリスであることが濃厚であることに目をつけ、ゆで卵を肉や小麦粉で包む料理「スコッチエッグ」を柱に、新たなポケモンを作り出すことを目指した。ひとまず、スコッチエッグを殻に埋め込むデザインを考案。口をつけたところ、“むしポケモンっぽくなった”ことで、同タイプの方向に決めてデザインを進める。そこで羽と足をつけてみることで形になってきたが、一方でデザインが煮詰まってしまった。そこでガールフレンド(と思わしき人物)に助言を求め、スコッチエッグ要素を足にもつけ、目を涙目にすることで、より生物っぽく昇華された。怖い要素も加えたいということで、くちばしをつけることで基本デザインが完成した。
そこからMayaなどを用いた3Dモデリングが始まる。円型モデルをベースに、目の部分を掘ったり角を生やすなど、パーツを加えていく。もちろん、くちばし部分も開閉するようにデザイン。なおジョイントの問題で、足の部分がもっとも複雑なリグが必要になったとのこと。浮遊するアニメーションも、もちろん手作り。既存のポケモンに使われている、羽が2フレームで上下するモーションを採用。
また背景も単にオリジナルなものを発案するのではなく、『ポケットモンスター ソード・シールド』の映像にて登場した鉱山を背景テクスチャのモチーフにし、背景には星の装飾やランタンを設置。トレイラーで出てきたUIなども拝借し、Adobe Premiereにてビデオに収録。ビデオをYouTubeにて投稿し、そのYouTube映像をNintendo Switchで再生し、その様子をスマートフォンで撮影。そうしてできたのが、今回のフェイク映像だったというわけだ。そして、そうした胡散臭い映像を投稿するのに相応しいという理由で4chanが選ばれた。最終的に多くのレスが付き、無事拡散に成功したというわけだ。
しかしながら、最終的にはこの名前なき(YouTuberやメディアからは10以上の名前がつけられた)むし・ドラゴンポケモンは、種明かしされ葬り去られた。思いつきで始めたプロジェクトであったようだが、デザイン・モデリング・アニメーションを1日以内で仕上げ多くの人々を騙したThrorok氏のアーティストとしての才能と、ポケモンに対する見識はなかなかにたいしたもの。ありそうなデザインは、生粋のポケモントレーナーは見抜けたとしても、一般ユーザーは本物と間違えてしまうようなクオリティだっただろう。
とはいえ、今回のリークはあらためてユーザーのリテラシーを問うような側面もあった。『ポケットモンスター ソード・シールド』に関しては、御三家を中心としたリークなど、真偽の怪しい画像が出回っている。アーティストが本気を出せば、このようなフェイクなどすぐに作ってしまえる。そうした認識を持ちながら、情報選択を進めていくのがよさそうだ。