Steam Link Anywhere発表。Steamで配信されているゲームを、外出先のAndroidからでも遊べるストリーミング機能
Valveは3月15日、現在ベータ版として配信されているAndroid向けのアプリケーション「Steam Link」の最新アップデートにより、Steam Link Anywhere機能を追加したと発表した。Android向けのアプリケーションとして配信されているSteam Linkは、デスクトップゲームをAndroidデバイスで遊べるようにするもの。これまでは同じローカルネットワーク上のデバイス間のみ対応していたが、Steam Link Anywhereの登場により、ローカルネットワーク外のデバイスであっても、Steamを起動中のPCからのストリーミングプレイを実現できるようになる。Steamを起動しているPCの上り回線速度や、Steam Linkをインストールしたデバイスの安定したインターネット接続が必要といった条件はついて回るが、それらをクリアすれば、外出先からスマートフォン/タブレットで気軽にハイエンドゲームを楽しむといった活用方法が見出せるわけだ。
Steam Linkはもともと同名のハードウェアとして2015年に販売されたが、2018年に生産終了に向かい、現在はAndroid向けのアプリケーションとして無料配信が続いている。2015年当初は、PC上で動作中のゲーム映像を、テレビにストリーミングするハードウェアとして発表された。それから数年の間に時代は変わり、このたびのSteam Link Anywhereにて、ついに自宅の外からでもストリーミングプレイできるようになる。
近年ではGoogleやマイクロソフトといった大手企業によるストリーミング技術への投資が進んでいる。Googleは昨年、Google Chrome上でAAA級タイトルをストリーミングプレイするProject Streamを発表。ユーザーテストとして『アサシン クリード オデッセイ』のストリーミングプレイが行われた。来たるGDC 2019のGoogle基調演説では、ゲームのストリーミングサービスに関するさらなる発表が行われると予想されている。
またマイクロソフトも3月に入り、独自開発中のクラウドベースのストリーミングサービスProject x Cloudのデモ映像を公開している。スマートフォンやタブレットを含め、さまざまなデバイスでXbox Oneのハイエンドゲームを楽しめるというものだ。クラウドベースのストリーミングプレイでは、インターネット回線や遅延の問題がつきまわるが、大手各社が独自のノウハウを生かし、幅広いユーザーに向けてストリーミングサービスを提供するための動きが本格化し始めている。
そのほかにも同社は、WindowsやAndroidデバイスで動作中のゲーム映像をXbox OneでストリーミングするアプリケーションWireless Displayの正式配信も開始している。WindowsおよびSurface Hubに備わっているワイヤレスディスプレイ・キャスト機能をXbox One向けに適用したものだ。Wireless Displayでは、PCとXbox Oneのコネクション改善を図るため、Miracastというプログラムを使用しており、複数種のレイテンシーオプションが用意されるなどユーザビリティに関する配慮が見られる。
なおGDC 2019の開催を間近に控えるValveは、Steam Link Anywhereのほかに、Steam Networking Sockets APIというものを公開している。『Counter Strike: Global Offensive』や『Dota 2』で使用されている技術・インフラを開発者向けに無料開放したものだ。ほぼオープンソースのAPIとなっており、Steamでゲームを配信する開発者にとっては、Valveの技術を活用することで、ゲームサーバーの保護、低レイテンシー、高品質のコネクションなどを実現できる。昨今Epic GamesストアやDiscordストアなど競合相手が増えつつある中、SteamならびにValve独自のセールスポイントのひとつとなりそうだ。なおこちらの詳細については、3月20日から22日まで開催されるGDC 2019のパネルセッションにて説明される。