『Fear The Wolves』2月6日Steam正式リリースへ。平均同時接続人数1桁台のチェルノブイリ・バトロワは、遊ばれるようになるのか
Focus Home Interactive/Vostok Gamesは1月31日、Steamにて早期アクセス販売中の『Fear The Wolves』を2月6日に正式リリースすることを発表した。2月6日から2月12日にかけては本作を無料で遊べるフリープレイ期間が設けられるほか、50%オフの値引きが適用される。同作の平均同時接続プレイヤー数は長らく1桁台にまで落ち込んでおり(SteamCharts)、まともに遊べる状態ではないが、正式リリース&無料お試し期間によりプレイヤー増加が期待できるだろう。また早期アクセス版を購入したプレイヤー、アルファ/ベータテストに参加したプレイヤーには、感謝の気持ちを込めて5000ゲーム内通貨を付与するとのことだ。
※2018年8月に公開されたトレイラー
『Fear The Wolves』は2018年8月にSteamでの早期アクセス販売が開始された大人数バトルロイヤルFPS。最大100人のプレイヤーが、放射能に汚染されたチェルノブイリに降り立ち、オオカミやアノマリー、放射能汚染や激しい天候の変化に対処しながら、最後の生き残りになるまで戦う。開発を手掛けるVostok Gamesは2015年にマルチプレイFPS『Survarium』をリリースしたスタジオ。『S.T.A.L.K.E.R』シリーズに携わったメンバーも在籍しており、『Fear The Wolves』も同シリーズの雰囲気を持つ作品としてプロモーションされている。
放射能汚染によるエリア収縮は、円状ではなくマップのグリッド単位で閉じられていき、ガスマスクやハザードスーツにより外界から身を守る必要が生じるほか、汚染エリアに残っているとアノマリーに襲われるようになる。また荒廃したチェルノブイリには野生のオオカミが生息しており、ときおり群れになって襲ってくる。戦場の天候はマッチ中にも激しく変化し、観戦者投票により晴天や雷雨など次の天候が決められていく(天候により異なるメリット・デメリットが発生)。劣悪な環境の中、物資を集めて汚染地帯をかいくぐり、なんとか生き延びるのだ。ヴォッカを飲むと酔っぱらって身体がふらつく代わりに放射能耐性が強化されたり、鎮痛剤を飲むとなぜか骨折が治ったりと、飲食物の活用も欠かせない。
最終局面では脱出用ヘリコプターが救出に向かってくるが、乗客できるのは一人だけ。しかもヘリコプターから垂らされるロープを登っている間は恰好の的となる。ヘリコプターが到着すると半径35メートルエリアを覆うフレアが落とされ、リング状のスモークがたかれるので、スモークの外で待機して救助エリアにやってくる敵を迎え撃つか、スモーク内で近接戦用武器を構えて勝負するか、あるいはスモークをカバーがわりにしてリングの内外を行き来しながら戦うか、自身の装備や好みと相談しながら最後の駆け引きを制するのだ。
同作はこれまでに計6回の大型アップデートを重ねており、プレイヤー人口の減少にあわせて少人数でもマッチが開始されるよう仕様を変更。人数が少ない場合はマップ範囲も制限される。そのほかパフォーマンス・グラフィックの改善、新武器・レア物資・障害物の乗り越え動作・スクワッドのボイスチャットの追加などが実装されている。なお英語以外に13言語追加されているが、日本語は非対応である。
そして正式リリースと同時に配信予定の最新アップデートでは、新しいアーティファクトシステムが導入される。アーティファクトは新型ミュータント「Wolf Matriarch」を倒すほか、アノマリーが発生する放射能高汚染エリア内を探索することで入手できるレアアイテムだ。「Wolf Matriarch」の心臓アーティファクトは、ミュータント化したオオカミを自らの味方としてマッチ中2回召喚することができる。もうひとつの「Spore Articaft」は視覚を強化する効果があり、短い間、近くにいる敵プレイヤーを壁越しに視認できるようになる。
そのほかのアップデート内容としては、新しいアノマリーに襲われる汚染エリア、オオカミの行動パターン改善、新ロケーション「Stadium」の追加、サーバーキャパシティ・ロケーションの改善などが盛り込まれている。こうした新コンテンツの投入によりマッチの緊張感を高め、より多様かつ戦略の幅の広いゲームプレイを届けられるようになると、開発陣は期待している。
2019年に入り、『フォートナイト バトルロイヤル』『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』『H1Z1』『荒野行動』『Ring of Elysium』『Realm Royale』『CoD:BO4』 の「BLACKOUT」といったバトルロイヤル作品が安定したプレイヤー数を維持する中、配信から間もなくして衰退していく作品も少なくない。弊誌で取り扱ったバトルロイヤルゲームの中にも、配信からすぐにプレイヤーが1桁台にまで落ち込み、もはやまともには遊べなくなったタイトルが複数存在する。
わずか9日で販売終了となった『The Culling 2』、『PUBG』『フォートナイト』『オーバーウォッチ』などの要素を合体させた『Horizon Source』(1月20日にサービス終了。開発陣は新作バトルロイヤル『The Ark of Horizon』を配信して再スタートを切っている)。水中バトルロイヤル『Last Tide』、世紀末バトルロイヤル『Fractured Lands』、『ダークソウル』風バトルロイヤル『Egress』(直近30日間の平均は0人台)。いずれも平均1桁以下であり、一人称視点バトルロイヤルとして期待された『Islands of Nyne: Battle Royale』も2桁台で低迷しコンテンツ開発終了&無料化の道をたどっている。そして冒頭で述べたように『Fear The Wolves』も例外ではない。
バトロワブームの火付け役『PUBG』や、圧倒的ブランド力を誇る『CoD:BO4』を除けば、大人数によるマッチングが前提のバトルロイヤルゲームはもはや基本プレイ無料にしないと最低限の人口を確保することすら難しい。『Counter Strike: Global Offensive』もバトルロイヤルモード「Danger Zone」の実装にあわせてゲームを基本プレイ無料化している。
売り切り型のバトルロイヤルゲームを購入するのは勝算の低いギャンブル。確実に遊べるリリース初期(もしくは無料プレイのタイミング)を逃せば、まともに遊べなくなる可能性が高い。そのリスクを承知でいろんなバトルロイヤルゲームに触れてみたい方、チェルノブイリ・バトルロイヤルというコンセプトに惹かれる方は、無料お試し週間によりプレイヤー数が増えるであろう正式リリースのタイミングにあわせて遊んでおこう。