Epic Gamesが「デジタルヒューマン技術」を持つ3Lateralを買収。『デビル メイ クライ 5』や『Hellblade』のキャラクターを生んだ技術

Epic Gamesは1月24日、セルビアに拠点を置く3Lateralを買収したと発表した。3Lateralは、ゲームや映画などで使用される3DCGキャラクターのコンセプト制作からモデリングまでを手掛ける企業である。

Epic Gamesは1月24日、セルビアに拠点を置く3Lateralを買収したと発表した。3Lateralは、ゲームや映画などで使用される3DCGキャラクターのコンセプト制作からモデリングまでを手掛ける企業で、特にリアルな人間の表情を表現する技術(Digital humans technology)においては、業界をリードする存在のひとつとして知られる。両社はこれまでにも、Unreal Engineを用いたコンテンツ制作においてコラボレーションをおこなっており、たとえば以下の技術デモ映像「Siren」では、モーション・フェイシャルキャプチャによるリアルタイムでの演技を実現している。

3Lateralの技術のゲームでの採用例としては、『Hellblade: Senua’s Sacrifice』がよく知られるところだろう。主人公セヌアは、開発元Ninja TheoryのビデオエディターMelina Juergens氏の演技および表情をスキャンして、非常にリアルかつ多彩な表情を見せた。そのほかにも、『Horizon Zero Dawn』や『Until Dawn -惨劇の山荘-』『Grand Theft Auto V』『Ryse: Son of Rome』などのAAAタイトルでも採用。

もっとも新しい作品では『デビル メイ クライ 5』が挙げられ、同作でも役者の演技をキャプチャして制作されている。同作のシニアプロデューサー岡部眞輝氏は、3Lateralはゲームキャラクターの表現で世界一の技術を持っており、キャラクターの顔がしっかり作り込まれていると、セリフの無いシーンでも、表情だけでその場の雰囲気を感じさせるような演出が可能だとカプコン公式サイトにてコメントしていた。

今回の買収発表の中で3Lateralの設立者Vladimir Mastilovic氏は、いわゆるデジタルヒューマンを作り上げるには、外見やモーションのあらゆる要素を深く理解する必要があり、3Lateralではそういったメカニズムを観察・分析・再構築することを得意としてきたとし、志を同じくするEpic Gamesの一員となることに興奮しているとコメント。一方のEpic GamesのCEO Tim Sweeney氏は、リアルタイム3D体験は業界全体を再形成しており、デジタルヒューマン技術はその最前線にあると述べる。そして、『フォートナイト』にて2億人のプレイヤーに3D世界を体験させることができたいま、次の段階に到達するためには、個別の人間の表情や感情を捉えてパーソナライズ、そして伝達する必要があるとし、今回の買収の意義を語る。

3Lateralの技術は今後、Unreal Engineとの結びつきがより強固になっていくことが予想される。ただし、3Lateralはこれからもすべてのパートナーへのサポートを継続していくとのことで、Epic Games/Unreal Engineのためだけに活用されるわけではない。ちなみに前述の『デビル メイ クライ 5』は、カプコン内製のRE ENGINEにて制作されている。またEpic Gamesは、3Lateralの地元セルビアに進出して有能な人材を集めていくとしており、デジタルヒューマン技術への投資を拡大していくようだ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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