販売停止措置を受けた宇宙ACT『Star Control: Origins』Steamにて販売再開。著作権侵害を訴えたオリジナル版作者の沈黙続く

パブリッシャー・デベロッパーのStardock Entertainmentは1月18日、宇宙アクション・アドベンチャーゲーム『Star Control: Origins』のSteamでの販売を再開したと発表した。同作は、オリジナル原作者から、著作権侵害が訴えられていた作品である。

パブリッシャー・デベロッパーのStardock Entertainmentは1月18日、宇宙アクション・アドベンチャーゲーム『Star Control: Origins』のSteamでの販売を再開したと発表した。本作は昨年12月、アメリカのDMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づく著作権侵害の申し立てを受け、Steamを運営するValveがストアから取り下げる措置をおこなっていた。なお、同じく販売停止とされたGOGにおいては、DLCを除き現在も購入不可の状態が続いている。

『Star Control: Origins』は、1990年代に3作発売された『Star Control』シリーズの最新作で、昨年9月にローンチしたが、上述したように販売停止となってしまう。DMCAを申し立てたのは、シリーズの初期2作を手がけたPaul Reiche 3世氏とFred Ford氏だ。開発元のStardockは、『Star Control』シリーズを保有していたAtariが2013年に破産したことを受けてその権利を購入するも、Reiche・Ford両氏が初期2作の著作権を主張。3作目の著作権はStardockが保有できたものの、当時同作は比較的評判が芳しくなかったため、価値のあるものは実質的に「Star Control」の商標権のみとなった。そのため、『Star Control: Origins』はシリーズの続編としてではなく、独自の世界観やキャラクターなどを持つリブート作として制作された。もちろん、こちらにはReiche・Ford両氏は関与していない。

Reiche・Ford両氏はDMCAの申し立てをおこなうに至った経緯を説明する中で、自身が手がけた『Star Control 2』とStardockの『Star Control: Origins』を比較し、具体例をもって著作権侵害を訴えたが、これが波紋を呼ぶことになる。内容としては、映画「スター・ウォーズ」など多くのSF作品で見られる「ハイパースペース」の使用や、自機の周囲を表すレーダーマップの使用といった、一般的な表現や著作権保護の対象とはならないゲームアイデアを羅列。Reiche・Ford両氏が著作権を保有していないであろう、外部アーティストの同じ楽曲の使用まで挙げられていた(関連記事)。

Reiche・Ford両氏の主張は、そもそも両氏が著作権を主張できるものではないと見られる表現ばかりだったため、反論したStardockや海外ゲーマーには困惑が広がり、中には公開前に弁護士にチェックしてもらわなかったのではという声まで聞かれた。また、こうした理由でDMCAを利用することの危険性も指摘されている。DMCAが申し立てられれば、ストア側は著作権侵害の有無に関わらず法に基づきストアから一旦取り下げるため、メーカーとしては収入源を失ってしまう。また、Reiche・Ford両氏は大手パブリッシャーActivisionの重役であるにもかかわらず、Stardockとの係争にかかる費用をクラウドファンディングにてファンから調達している事実も、一部で懐疑的な目で見られることとなった。

おそらく、こうした流れをうけてStardockはValveに働きかけをおこない、その結果Steamでの『Star Control: Origins』の販売が再開されたのだろう。販売停止が続けば社員をレイオフせざるを得ないと述べていたStardockにとっては救いとなったはず。とはいえ、Stardockの反論に対するReiche・Ford両氏の反応はまだ出ておらず、著作権侵害については決着を見たとは言えない。新たな主張により問題がさらなる発展を見せるのか、それとも終息に向かうのだろうか。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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