『オーバーウォッチ』の新短編小説にてソルジャー76が同性愛者であることが明らかに。己の使命を果たすために諦めた元恋人

『オーバーウォッチ』の新短編小説がWeb公開された。アナの過去を描く作品であり、その中ではソルジャー76と近状を語り合うシーンも。ソルジャー76がかつてヴィンセントという男性と関係を持っていたことが明らかとなる。

Blizzard Entertainmentは1月8日、『オーバーウォッチ』の新短編小説「バステト」をWeb上で公開した(日本語日本語PDFリンク)。この短編では、オーバーウォッチ本部壊滅後、姿をくらませていたアナが、同じく死亡したと報じられていた旧友ジャック・モリソン(ソルジャー76)とガブリエル・レイエス(リーパー)の2人と再開する一幕が描かれる。

カイロにて、とある任務にあたっていたアナは、死闘を繰り広げている最中であったジャックとガブリエルと遭遇。アナが2人の間に入るとガブリエルは姿を消し、残されたジャックはアナの任務を手伝うことに。時間を共にする2人は互いの近状について語り合い、その中でジャックがかつてヴィンセントという男性と関係を持っていたことが明らかとなる。

2人が任務のターゲット人物を待つ間、ジャックは持ち歩いていた写真の束をアナに見せる。どれも彼にとって大切な思い出。一枚はアナとガブリエルと一緒に写った若かりし頃の写真、そしてもう一枚は、若きころのジャックが黒髪の男性の肩に腕を回しているツーショットの写真である。その黒髪の男性がヴィンセントである。

写真について話す中で、「結婚したんだ。家族と幸せに暮らしている。俺も嬉しいさ」「俺じゃヴィンセントを幸せにしてやれなかった」と語るジャック。「俺にとっては任務が何よりも大事だったし、あいつもそれが わかっていた。俺が戦ってきたのは、あいつのような人々を守るため……それが俺の払った犠牲だ」。ジャックは自身の使命を果たすために、愛する人を諦めたのだ。

この一幕についてはやはり読者からも大きな反響があり、それらを受けて『オーバーウォッチ』のリードライターであるMichael Chu氏は、ジャック(ソルジャー76)とヴィンセントはかつて恋人同士であったこと、また彼らのセクシャリティは両方ともゲイであることをTwitter上で正式に伝えている。

Blizzardはかねてから、『オーバーウォッチ』には複数のLGBTQヒーローがいることを公言してきた。2016年12月に公開されたWebコミック「Reflections」では、トレーサーに彼女がいることが判明(関連記事)。コミックの公開当時、『オーバーウォッチ』のゲームディレクターであるJeff Kaplan氏は、普通のことをごく普通に描くことで、その普通であるべきことが、より普通のこととして浸透していって欲しいと語っていた(VG247)。

トレーサーは『オーバーウォッチ』のカバーアートを飾っているヒーローであり、ソルジャー76は本作のチュートリアルでプレイヤーが真っ先に触れることになるデフォルト設定的な立ち位置のヒーロー。そんな2人が、セクシャリティという側面から、本作のダイバーシティを象徴するポジションに位置づけられることとなった。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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