毎日1作品、1年間かけて実験的な短編ゲームを無料配信し続けるプロジェクト「Meditations」がスタート。350人以上のゲーム開発者が参加
毎日1作品ずつ、1年間かけてさまざまな開発者が手がけた短編ゲームがプレイアブルになるという実験的プロジェクト「Meditations」が始動した。創案者は、『Nuclear Throne』『Luftrausers』などで知られるVlambeerの創設者Rami Ismail氏である。
遊び方としてはMeditationsの公式サイトからMeditations Launcher(Windows 7+/OSX 10.12+)をダウンロード。毎日日替わりで、さまざまなゲーム開発者が手がけた短編ゲームと、開発者からのメッセージにアクセスできるようになる。各作品は永続的に公開されるわけではなく、各作品1日のみの期間限定で開放される点には注意したい(見逃した場合、次の年の同日にまたアクセス可能)。なおゲームの切り替えタイミングはグリニッジ標準時(GMT)にもとづいている(日本標準時=GMT+9時間)。
本プロジェクトのために集ったゲーム開発者は350人以上。プロジェクト参加者に与えられたお題は、1年間のうち個人的に思い入れのある日付、もしくはランダムな日付を選択し、その日付から想起した事柄をもとにゲームをつくるというもの。「Meditation」というプロジェクト名のとおり、プレイヤーに物事を考えるきっかけやインスピレーションを届けたいという想いが込められている。また5分以内で体験し終えられるような短編かつ、テキストを最小限におさえるという条件も付いているため、言語の壁を感じることなく体験できることだろう。
なお本プロジェクトで採用されるゲームは、さまざまな思想・トピックに触れるため、プレイヤーによってはショックを受けたり不快に感じたりすることもある旨、公式サイトにて警告文が掲載されている。例として文化的なトピックや、死、鬱、不安、暴力、中毒、セクシャリティといったセンシティブなテーマが含まれている可能性があるとのことだ。
たとえば1月2日分のゲームを担当したのは、電車に乗りながら即席でゲームをつくるゲームジャム「Train Jam」のオーガナイザーAdriel Wallick氏。パズルゲームを通じて、内向的な人間としてホリデーシーズンを家族と過ごす際の苦労を表現していた。続く1月3日にはBungieのシニア・ゲームデザイナーLisa Brown氏が参加。ゲームに添えられたメッセージとしては、うつ病に苦しんでいる人は、どんなに楽しいひと時を過ごしていても、これといった原因やきっかけもなく突如として絶望の底に叩き落されることがあるとの言葉が綴られていた。愛する人々に囲まれた年始の休みの途中でも、この現象が発生するというパーソナルな体験から触発された短編であった。
1月4日にプレイできるのは、2Dローグライクゲーム『Burning Knight』を開発中のEgor Dorichev氏が手がけた短編『The Way』。「真実にたどり着く方法はひとつしかない」という短文が添えられた、ミニマルデザインのパズルゲームだ。プレイヤーは矢印状の操作ユニットを動かし、ゴール地点にたどり着くための最適解を探すことになる。
各ゲームの開発期間は6時間前後と短く、必然的に実験的かつミニマルなデザインの作品が多い。制作過程としてはゲームジャムのようでもあるし、デイリーで更新され続ける様は一種のメディアアートのようでもあるだろう。