『Stardew Valley』が12月14日より開発元の自社販売作品に。Nintendo Switch版マルチプレイ近日対応を含めた新展開を予告

 

インディースタジオConcernedApeは12月1日、『Stardew Valley』を12月14日より自社販売していくことを発表した。『Stardew Valley』はこれまでどのプラットフォームにおいてもパブリッシャーのChucklefishが販売を担当していたが、PC版とXbox One版、 PS4版およびPS Vita版はConcernedApeが販売を務めていくことになる。Nintendo Switchおよびモバイル版のパブリッシャーは引き続きChucklefishが担当する。

ConcernedApeは、個人開発者Eric Barone氏によるスタジオ。氏はひとりで『Stardew Valley』を作り上げたことでも知られている。Chucklefishはそんな氏の才能を認め、販売におけるマーケティングやローカライズ、コンソール移植やマルチプレイ対応などを務め、同作の飛躍を大きく支えたパブリッシャーだ。ConcernedApeは、ゲーム発売当初において自分は業界において初心者であったと振り返り、Chucklefishは流通や移植、ローカライズ、オフィシャルwikiの設立やマルチプレイの実現を助けてくれたとコメント。しかし、今は自分で前進できる段階にあるとし、セルフパブリッシングはほとんどのインディーゲーム開発者の最終目標であると語る。それができる状態になって幸せであると喜びを見せている。最後に『Stardew Valley』の今後に関する発表を予告し、文章を締めている。

ConcernedApeはTwitterにて別途、同作のNintendo Switch版のマルチプレイは任天堂に提出している段階であると報告。こうした段階では問題が生まれがちであるためまだリリース日は明かせないが、問題なければ近日中にマルチプレイ対応になるだろうとしている(PS4/Xbox版は対応進行中)。Nintendo Switch版のマルチプレイのリリース日が「今後の告知」のひとつになるかは不明であるが、少なくとも『Stardew Valley』は今後も続いていくフランチャイズになりそうだ。今年の2月にConcernedApeは、すでに次回作に着手していることを明かしており、「同じ世界観を持つ、『Stardew Valley』とは異なるタイプの新作」であることが示唆されていた。こちらが関連してくるかどうかはわからないが、なんらかの動きがあるだろう。

一方で気になるのは、Chucklefishの存在だ。Chucklefishは、Nintendo Switch版とモバイル版は引き続きサポートするものの、その他パブリッシャーを降りるという、半ば契約解消に近い形にも見える。ヒット作の開発者が、新作をセルフパブリッシングとして発売するケースはあるが、パブリッシャーが販売中のヒットタイトルの販売権を開発者側に譲渡するというのはあまり見られない例だ。両者ともに関係が円満であることをアピールしているが、当時ひとりで苦心していたEric Barone氏とタッグを組んだChucklefishは、コンソール移植やマルチプレイ、ローカライズなど多岐にわたり同作をサポートし続けた。『Stardew Valley』のヒットは、同社が支えていたともいえる一面もある。発売から1年半以上経つとはいえ、ヒット作のパブリッシング権利を12月をもって譲渡するというのは、やや急な展開であるといわざるをえない。契約関係ではないかとRedditなどで騒がれているが、真相は不明だ。

一方でChucklefishは、新作を数多く発表しており、期待作の発売を控えている。魔法学園RPG『WitchBrook』や、来年発売が迫るファミコンウォーズライクな『Wargroove』は内製タイトル。ピクセルアートが美しい『Eastward』や『Inmost』など外部デベロッパーとも契約を進めており、パブリッシャーとしてのさらなる飛躍を予感させる、分厚いラインナップを揃えつつある。この時がくることを想定していたのかは定かではないが、少なくとも『Stardew Valley』のヒットに経済的に依存する意思がないことはわかる。そうした余裕があるからこそ、開発元にヒットタイトルの販売権を譲るということができたのかもしれない。いずれにせよ、メディアでしばしば用いられた“『Stardew Valley』のChucklefish”というフレーズは12月14日より使えなくなるだろう。

ConcernedApeとChucklefish。優れた作品を生み出したデベロッパーおよびパブリッシャーの今後の活躍を期待したいところだ。