光と影を操るパズルアドベンチャー『Iris.Fall』開発中。女の子は影となり壁の中を進む
発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第593回目は『Iris.Fall』を紹介する。
中国・上海に拠点を置くインディースタジオNEXT Studioが、パズルアドベンチャーゲーム『Iris.Fall』をPC/コンソール向けに開発中だ。同スタジオは、死神代理として人々に偶然の死をお届けするパズルゲーム『Death Coming』を手がけたことで知られる。高い評価を得た同作はキュートなドット絵グラフィックが特徴だったが、『Iris.Fall』はまったく異なるスタイルの作品となっている。
本作の主人公は、Irisという名の女の子。彼女はある夜、何かに追われたり、自身が操り人形になり囚われるような悪夢にうなされる。そして、目を覚まし夢だったと気づくが、その悪夢の中で見た黒猫が部屋の中にいることに気付く。黒猫はIrisを誘うように外へ出て行くので、気になった彼女は黒猫を追ってまだ夜の明けぬ街を進み、荒れ果てたとある劇場にたどり着く。黒猫は暗い階段を降りていくが、階段は途中で崩れ落ちており進めない。しかしどういうわけか黒猫は、照らされた明かりによって壁に落ちる影となり、そのまま壁の中を歩き階段の先へと進んで行った。
本作では、劇場の中にある部屋にてパズルを解き、そして次の部屋へと進んでいくゲームプレイとなり、光と影が大きなテーマとなっている。たとえば上に掲載したトレイラーの中盤では、壁に時計の針の影が映し出された部屋が登場しており、プレイヤーは上階に進むことを目指す。しかし階段が途切れており、普通には歩いて行くことができない。そこで、この部屋で欠けた歯車を発見し、時計の針を動かすパズルを解いて上階への道を作っている。
この劇場では、Irisもまた黒猫のように影になることができる。薄暗い部屋の中には光に照らされた壁があり、その近くの床に本が置かれている場合がある。その本がある場所にて、Irisは実体から影に、そしてその逆へと移行可能。影になると、上の映像のように時計の針の影の上を歩いて進むことができるわけだ。本作のパズルでは、このように目的の場所に到達するための影の道を作ることが大きな要素となっている。当然ながら、壁と光源との間にあるオブジェクトが影となって落ちるため、その遠近感を利用したパズルも用意されている。
また映像の右下には鞄のアイコンが映っているが、Irisは拾ったアイテムを鞄にしまっておくことができる。パズルの中には、複数のアイテムをそれぞれ正しい場所に移動させたり、特定の場所に重石としてアイテムを置いたりといった場面もある。周囲にあるヒントを見逃さず、どのアイテムをどこで使用するのかといった選択も攻略のカギとなるだろう。そして、迷宮のような謎の劇場の中を進み物語が展開していくにつれ、Irisはこの劇場と何らかの隠された縁があることに気づき始めるという。
本作は、劇場の部屋の中で影を作る3Dでのゲームプレイと、影となり壁の中を移動する2Dのゲームプレイを組み合わせている。似たようなスタイルの作品では、『We Happy Few』の開発元Compulsion Gamesがかつて手がけた『Contrast』なども思い出されるが、『Iris.Fall』のモノクロを主体とした、緻密な線画のようなスタイルのグラフィックは特徴的である。本作は、12月7日にSteamにて発売予定だ。また発売日は未定だが、海外ではXbox One向けにも発表されている。
ちなみに、開発元のNEXT Studioは、古代中国を舞台とする2Dアクションゲーム『Bladed Fury』も同時開発中で、本作のおよそ2週間後の12月19日に発売予定。こちらは筆で描いたような、また異なるグラフィックスタイルを採用した作品となっている(関連記事)。