Blizzardがモバイル向け『ディアブロ イモータル』を発表、『荒野行動』のNetEaseと共同開発。すでにファンからの重い不評がのしかかる
Blizzard Entertainmentは11月2日から実施中のBlizzCon 2018にて、『ディアブロ イモータル』を発表した。対応プラットフォームはAndroidおよびiOSで、すでにAndroid版の事前登録者受付も開始されている。
『ディアブロ イモータル』は、『ディアブロ』シリーズ新作となるモバイル向けMMOARPGだ。『荒野行動』などを手がけるNetEaseとの共同開発タイトルである。時系列としては、『ディアブロ II ロード オブ デストラクション』と『ディアブロ III』の間の話になっており、ワールドストーンのかけらが大地を穢し、悪魔の軍勢がサンクチュアリになだれ込む物語が描かれる。6種類のクラス(バーバリアン、モンク、ウィザード、クルセイダー、デーモン・ハンター、ネクロマンサー)が用意されており、敵としては『ディアブロ II』に登場したようなものから新規の敵まで、幅広い魔物と戦うことになる。操作はモバイル向けに最適化されており、マウス&キーボードと遜色ない操作が可能であるとのこと。
久方ぶりとなる『ディアブロ』シリーズの新作が発表されたわけであるが、ファンの評価は極めて手厳しいものとなっている。現時点ではYouTubeにてふたつのトレイラーが公開されているが、11月3日10時時点で「Diablo Immortal Cinematic Trailer」は好評が約3900に対し不評は約9万8000。25倍の不評が寄せられている。もうひとつの「Diablo Immortal Gameplay Trailer」でも、約2500の好評に対し、不評は約5万1000。こちらも20倍の不評が投じられている。コメント欄では「Blizzardに批判のコメントを消された」と主張するユーザーがベストvoteを集めるなど、スキャンダラスな空気をも感じさせる。日本向けのトレイラーでも、票数は少ないものの、不評の多さが目につくだろう。
Redditでも激しい批判と落胆の声が寄せられており、コミュニティは異様な雰囲気になりつつある。『ディアブロ』シリーズは長らく新作が発表されておらず、沈黙が貫かれていた。今年に入り複数のプロジェクトが進行中であることが報告されており、BlizzCon 2018では新作の発表が注目されていた。しかしながら、期待していたハードコアなPCゲーマーにとってモバイル向けの新作発表が与えた衝撃は大きかったようだ。そして、批判されている点についてはもうひとつ大きな理由があげられる。それはモバイル向けゲーム『Crusaders of Light』と多くの共通点がみられること。
『Crusaders of Light』は、共同開発するNetEaseがリリースするMMOARPGだ。モバイルに加えてSteamでも配信されている基本プレイ無料ゲーム。『ディアブロ イモータル』はキャラのアセットの造形に加えて、ユーザーインターフェースが酷似しているとReddit上で指摘されている。類似点をうけて、『ディアブロ イモータル』は同作の「reskin(焼き直し)」であると批判されているわけだ。同作はSteamレビューステータスが「賛否両論」となっており、やや評価が怪しい側面もある。また同じくNetEaseの『Endless Of God』に似ているのではないかという声も。切望されていた『ディアブロ』新作がモバイル向けであること。さらには、“どこか見たような”モバイルゲームの焼き直しに「ディアブロ」の冠がついたような印象を受けること。こうした複合的な理由により、新作に手厳しい声が集まっている。
ただし、最終的な評価を下すのは、実際に『ディアブロ イモータル』が配信されるまで保留すべきだろう。もちろん、プラットフォームやシステムなどは遊ぶ上で重要な点であるが、面白いかどうかがもっとも大きな評価点になる。ただ、NetEaseによるサポートが存在することもあり、中国の市場展開では優位に立てそうであるが、グローバルな視点から見て『ディアブロ イモータル』の道のりは険しくなりそうだ。今後どのように訴求していくかが、カギを握るだろう。
今年8月には、Diablo』シリーズのコミュニティマネージャーを務めるBrandy Camel氏は、20年間のファンのサポートに感謝の言葉を述べ、「『Diablo』は今までも、そしてこれからもBlizzardのアイデンティティの一部である」と語っていた(関連記事)。『Diablo 3』のフォーラムにて「哀悼を示すためにFを押せ(PRESS F FOR RESPECTS CONT)」というスレッドが著しく伸びていることもあり、憤るファンの声を認識しているはず。Blizzardがどのように既存のファンにアプローチしていくかにも、注目したいところ。
【UPDATE 2018/11/3 11:00】
フォーラムのスレッドタイトルの訳を修正しました。