Ubisoft、ゲーム内課金などによる継続的収入やデジタルセールスが前年度比約50%の増加。クラウドゲーミングによりデジタル化がさらに進むか
Ubisoftは10月30日、2018-2019会計年度上期の業績報告を公開し、年度目標を上回るペースであることを伝えた(スライド資料、プレス資料はこちら)。上期売上は7億6700万ユーロ(約984億円)となっており、デジタル商品による収入は5億1900万ユーロ(約666億円)で前年度比52%増。またゲームの長期運用などから生じるプレイヤーからの継続的収入(Player Recurring Investment)は2億6200万ユーロ(約336億円)で前年度比49%増と、いずれも大幅増を見せている。
『レインボーシックス シージ』『フォーオナー』といった長期運営を視野に入れたライブサービス型タイトルにより手堅い業績を実現。そのほか堅固なバックカタログによる収入(前年度比49%)、モバイルタイトルによる収入(60%増)なども好調ぶりを支えている(モバイルタイトル『Hungry Shark World』『Is It Love』『Mighty & Magic Elemental Guardians』)。
今回の報告では、長期運営を想定したライブサービス型タイトルの多くにて好調振りが紹介されている。例として『Far Cry 5』はリリース当初Steamや英国週間チャートにて歴代シリーズ作品の記録を上回る数字を残しており(関連記事)、発売から半年が経過した今でもプレイ時間の長さ含め、多くの指標にて『Far Cry 4』を超えているという。
人気をキープし続けている『レインボーシックス シージ』の累計プレイヤー数は今年6月の3500万人から4000万人に増加。プロシーンでは8月に開催された世界大会「Six Major Paris」の配信ユニークビュー数が800万を記録したりと、まだまだ勢いがおとろえる気配は見えない。エンゲージメントとしては、アジア圏での勢いが特に増してきているという。もちろん、そのほか『ゴーストリコン ワイルドランズ』『フォーオナー』『ザ クルー2』といった長期運営タイトルの好調ぶりも紹介されている。
なお年度目標としては、『ザ クルー2』『アサシン クリード オデッセイ』『ディビジョン2』の大型タイトル3本合計での1900万セールス達成が挙げられている。Nintendo Switchをターゲットとした『Starlink: Battle for Atlas』『Just Dance 2019』『Brawlhalla』など他にもリリースされる作品は存在するが、やはり主力となるのはいずれもライブサービス型タイトルとなる上記3本なのだろう。
Ubisoftは短期・中期的視野での注力事項として、デジタルセールス、アジア圏セールス、モバイル&PC市場におけるセールスの拡大、そしてe-Sports展開を挙げている。アジア展開に関しては、今年3月に中国Tencentとの戦略的パートナーシップを発表(関連記事)。今後発展が期待される分野と言えるだろう。
また注力している分野としてはクラウドゲーミング、Ubisoft ClubやAI/機械学習研究への投資などが挙げられている。10月に発売された『アサシン クリード オデッセイ』は、Google Chrome上でゲームをプレイする新しいストリーミング技術「Project Stream」の第1弾テストタイトルとして選ばれているほか(関連記事)、国内Nintendo Switch向けには同作のクラウド版『アサシン クリード オデッセイ – CLOUD VERSION』が配信されているように、クラウドゲーミング技術の向上に貢献すべく積極的に動いている。
UbisoftのCEO Yves Guillemot氏はクラウドゲーミングの未来について、PCやコンソールを超えて幅広いゲーマーにAAA級タイトルを届けることを可能にする技術であると力強く語っている(Gamasutra)。上述したProject Stream発表前から、同氏は複数のインタビューにてクラウドゲーミングについて見解を述べてきた。『アサシン クリード オデッセイ』は例外ではなく、今後のUbisoftタイトルではクラウド版の提供が増えると考えてよいだろう。ちなみにクラウド提供するゲームの販売方法についてGuillemot氏は、通常のパッケージ版・デジタル版ゲーム販売と同様にフルプライスでの売り切り型を検討しているとのことだ。