Steamにて、9月だけで179本ものゲームが削除される。問題視される「Hentaiゲーム」の先駆けとなった『Hentai Puzzle』も消える
Steamにて、9月だけで179本ものゲームがストアから削除されたことをPC Gamerが報じている。Steamを運営するValveは、フィルタリング機能の実装にともない、あらゆるコンテンツを許容し始めていたが、Troll(荒らし)を目的としたコンテンツの配信は許さないと明言していた。Valveは荒らしについて、「ゲームの形をしたオブジェクト(ビデオゲームとしては Steam の基準を何とかクリアする程度の機能しかなく、99.9% の人が「良い」とは言わない雑に作られたソフトウェア) を作る人」と定義しており、そうした粗悪な作品の取り締まりが本格的に始まった形だ。
対象となったタイトルには、いずれも共通点がある。実績解除を目的とした『Achievement Hunter』シリーズ作品は30本とも削除されている。とにかくハイペースでリリースされていた『ASCII Game Series』シリーズも、すべての作品がストアから姿を消した。そしてもっとも顕著なのは、美少女ゲームだ。「girl」「puzzle」「love」といった特定のキーワードを含む作品が非常に多いことが確認できるだろう。今回削除された作品群と、今Steamにて問題視されている「Hentaiゲーム」というジャンルの作品との共通点は多い(関連記事)。ここでいう「Hentaiゲーム」とは、美少女をテーマとし、いくらかセクシーなCGが用意されている、カジュアルゲームだ。削除された今となっては、その内容をすべて確認することは難しいが、削除対象となったのは、おそらくその類の作品となっているだろう。
タイトルに「Hentai」が含まれた作品は7本削除されている。削除されたタイトルの中には、「Hentai」の名を冠したSteamゲームの元祖ともいえるアクションゲーム『Hentai』や、「Hentaiゲーム」というひとつムーブメントを引き起こした『Hentai Puzzle』も含まれている。特に『Hentai Puzzle』に関しては、イラストレーターの作品の無断使用が幾度も指摘されていた。元祖と流行の先駆けの2タイトルが、9月に姿を消したことになる。
ただし、『Hentai Puzzle』のヒット以降に生まれた量産型「Hentaiゲーム」のほとんどは、依然として削除されていない。ただ内容が薄いだけでなく、多くの作品において著作権の侵害の疑いがかけられている作品群だ。象徴的な作品が消えた今、フォロータイトルは削除されていくのだろうか。なお、『Hentai Puzzle』は続編の発売が計画されていたが、これも配信停止。後続らしきタイトルとして『Hentai Epic Puzzles』や『Hentai Puzzle X』といった作品が9月末にリリースされているが、同一開発者であるのか定かではない。
あらゆる作品を(一部制約があるとはいえ)許容するようになったSteamでは、セクシー系の作品がリリースされ続けている(What’s on Steam)。8月の削除タイトルが25本だったことを考えると、179本削除された9月は、取り締まりを強化する意図があったことがわかる(Steam Tools)。低品質ゲームをめぐるValveと荒らし行為の戦いは、ここからさらに熾烈になっていくのかもしれない。