『オーバーウォッチ』の「色覚サポートモード」が大幅に改善へ。さまざまなタイプの色覚を、包括的にサポート
Blizzard Entertainmentの副社長でゲームディレクターのJeff Kaplan氏は9月21日、『Overwatch(オーバーウォッチ)』の今後の開発方針について説明した。この中では、Torbjörn(トールビョーン)の広範な調整(現在PC版のPTRサーバーで先行テスト中)や、年内の実装を予定していた新たなソーシャル機能の来年への延期などに加えて、「色覚サポートモード」の改善についても述べている。
*色覚サポートモードについて語る該当部分は4分3秒あたりから
色覚サポートモード とは、特定の色の区別がつきにくい色覚を持つ(色弱や色覚異常、あるいは色覚多様性とも表現される)プレイヤーのために、ゲーム画面の色を調整するアクセシビリティ機能のことだ。『オーバーウォッチ』には以前からこの機能が搭載されており、色覚のタイプごとの設定と、フィルターの強度調整が可能だった。Kaplan氏は、この機能は多様な色覚を持つ多くのプレイヤーに対して有効だったが、そうではなかったプレイヤーも多くいたと述べる。
実際、Blizzardに対して本作の色覚サポートモードの改善を求める声はこれまでにも何度もあがっていた。たとえば、本作の公式フォーラムに昨年投稿していたKolorblind氏は、1型2色覚の色覚を持っており、赤色がグレーのように見えるという。ただ、本作の1型2色覚用の設定を利用すると、キャラクターも背景も暗い色の中に溶け込んでしまいゲームプレイに支障があると訴えていた。同氏いわく、本作の色覚サポートモードはフィルターをかけているだけで、厳密には色覚サポートモードと言えるものではないというのだ。そこで、敵キャラクターのアウトラインやUI、エフェクトなどの色を個別に変更できるようにすることを提案している。ほかにも、別の色覚のタイプの人を含め、敵味方の区別がつきにくいなどとして同様の要望が過去にあった。
今回Jeff Kaplan氏は、Overwatch LeagueなどeSportsへの取り組みを通じて、色覚サポートモードへの色の変更機能を追加することができるようになったと述べる。色の変更は、キャラクターのシルエットだけでなく、一部のUIも対象となり、プレイヤーそれぞれが自由に調整して、どの色が自分にとってプレイしやすいものであるのかを設定できるという。この色覚サポートモードの改善には、自身も特定の色覚を持っているという同社のプロデューサーも関わっており、コミュニティの意見に耳を傾けながら調整をおこなっていくとのこと。そして、多様な色覚を持つプレイヤーに対する取り組みは今後も継続していくが、まずは第一歩として、この改善を今後配信するパッチにて導入するとしている。
『オーバーウォッチ』のアクセシビリティへの取り組みはリリース当初からおこなわれており、操作設定を細かくカスタマイズできることが、脳性まひを患うプレイヤーの助けになったことが当時話題となった(関連記事)。色覚サポートモードの実装もそのひとつだったが、色覚にはさまざまなタイプがあるため、前述した不満の声につながってしまった。しかし、より多くの人が満足できるよう、ついに改善に乗り出した形だ。これがプレイヤーにとってどれだけ大きな意味を持つのか、それは今回のKaplan氏の発表を受けて涙を流して喜ぶKolorblind氏の様子(以下の動画)から十分にうかがい知ることができるだろう。
【UPDATE 2018/9/25 23:20】
色盲という表現を、色覚という表現へと変更しました。