中国政府がゲーム1本に「35%の特別税」を課す可能性があると地元メディアが報じる。タバコ税に似た形式を採用か

中国にて、中国政府がゲーム1本につき「35%の特別税」を課す可能性があることを地元メディア新浪新聞が報じる。政府は、中国ならではのオリジナリティのある高品質なゲームを重視し、粗製乱造を嫌っており、その延長で特別な課税を検討しているようだ。

中国版『モンスターハンター:ワールド』が、中国の大手IT企業テンセントが運営するゲーム配信プラットフォームWeGameにて販売停止されたと報じられて以降、中国政府によってゲームの規制が進められていることが明らかになってきた。そして中国国内では、ゲームに対する特別税まで検討されているとの噂が飛び交っているようだ。

WeGame版『モンスターハンター:ワールド(怪物猎人 世界)』は、100万を超える事前予約を集めて8月9日に発売されるも、1週間経たずして販売停止。WeGameはその理由について、同作を販売するうえで遵守すべきポリシーや要件を満たしていないことを中国政府より指摘されたためだと説明し、購入者への払い戻しと補償をおこなった。ただ本件については、ゲームを販売する際に必要になる出版番号を得るための政府による検閲を、正しく受けていなかったのではないかとも報じられている(関連記事)。

しかしその後、中国当局は新規のゲーム販売の認可を、およそ4か月にわたって凍結していると報じられた。中国では今年3月に、メディアを管轄する国家広播電視総局と、文化事業を扱う文化観光省を新設する構造改革を実施。それに伴う人事刷新などの影響により、認可手続きの厳格化がおこなわれた結果だという(Bloomberg)。そのため、WeGame版『モンスターハンター:ワールド』もこの影響を受けたのではないかと見られている。このニュースには株式市場も当時反応し、カプコンやスクウェア・エニックス・ホールディングスなどゲーム関連株が値を下げることとなった。

そして8月29日、習近平国家主席がある談話を発表した。内容は、中国国内ではおよそ2人に1人が近視あるいはその予備軍であり、世界でもっとも近視率が高いというWHO(世界保健機関)による調査結果を受けて、青少年の近視を予防しようという指示だ。これを受けて翌30日、教育行政などを管轄する中華人民共和国教育部が、各担当部局の具体的な政策を発表。その中で国家新聞出版局は、流通するオンラインゲームの総数規制および新規ゲーム事業者数の規制、また子供の年齢に応じたゲームプレイ時間の制限などをおこなうことを明らかにしている。ゲームの新たな規制に具体的に乗り出した形だ。

ただ、中国のゲーム規制はこれだけには終わらないのかもしれない。中国・広州の大手日刊紙である南方都市報は8月31日、国家新聞出版局に近いゲーム業界関係者から得た情報として、将来的にはタバコ税に近い方式で、ゲーム1本あたり35パーセントの特別税が課される可能性があると報じた(新浪新聞)。その関係者によると、中国の政府機関に新作ゲームの販売認可を求める申請数は、一昨年は1万件、昨年は3万件と膨れ上がっているものの、実際に認可が下りて出版番号を取得するものは、そのうちの3分の1だったという。粗製乱造のゲーム作品が多く、そうしたものには認可が下りていない。政府は、中国ならではのオリジナリティのある高品質な作品を重視しており、35パーセントもの特別税も、そうした意向が働いたうえのものだろうとし、市場はパニックになる必要はないとしている。

高品質なゲームであれば、高い税金がかかってもさほど影響はないだろうという話だが、検閲を通じて認可を受け、そして販売するメーカー側としては頭の痛い問題になるかもしれない。もちろん、これはまだ噂段階の話であり、実際に施行されるかどうか動向を見守る必要があるだろう。前述のゲームや事業者数の総数規制も大きな問題であるが、まずは現在凍結されているという認可手続きおよび出版番号の発行の再開が待たれるところである。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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