古城探索アクション『Dead Cells』Steamで正式リリース。PS4/Nintendo Switch版も国内配信開始された本作を改めて紹介

Motion Twinは8月7日、『Dead Cells』をSteamにて正式リリースした。また同時に、国内PlayStation 4/Nintendo Switch版の配信も開始している。Steamで大ヒットを記録し、満を持して正式リリースされる『Dead Cells』の魅力をあらためて紹介しよう。

フランスのインディースタジオMotion Twinは8月7日、『Dead Cells』をSteamにて正式リリースした。価格は2480円で、8月14日までは20パーセントオフの1984円で購入可能。また同時に、国内PlayStation 4/Nintendo Switch版の配信も開始している。こちらの価格は共に2480円。なお、本作はXbox One版も国内配信される予定だ。弊誌がMotion Twinに確認したところ、日本語の実装に予定よりも時間がかかっているとのことである。

本作は、昨年5月からSteamにて早期アクセス販売をおこないながら開発が進められ、非常に高い評価を獲得。今年5月時点でその売り上げは70万本に到達している。今回の正式リリースとコンソール版について、レビュー集積サイトMetacriticでは全プラットフォームで90点台を連発しており非常に好評である。100万本の大台突破は時間の問題だろう。そこで、今回は正式リリースとコンソール配信にあたり、あらためて本作の魅力を紹介していこう。

本作は、ローグライト(ローグライクの一部要素を持つゲーム)と、探索型アクションのメトロイドヴァニアを組み合わせた、「ローグヴァニア」なる独自のジャンルを打ち出した作品だ。ゲーム内は、架け橋ゲームズのローカライズにより日本語表示に対応している。

『Dead Cells』の舞台は、モンスターが巣食う恐ろしくも美しい世界である。主人公は、囚人としてとある古城の牢獄に入れられ首をはねられたが、醜い細胞の塊として死の淵から舞い戻った。もう死ねない身体になってしまった主人公は、行き倒れた戦士の死体の身体を乗っ取って何度でも立ち上がる。

本作は横スクロールの2Dアクションゲームで、敵を倒しながら牢獄を抜け、古城の内外を進んでいく。牢獄のほか、下水道や森、塁壁、漁村、墓所、時計塔などさまざまな環境のステージが、ドット絵グラフィックにてそれぞれの空気感がうまく表現されている。各ステージの構造は、プレイするたびにランダムで組み替えられることが本作の特徴である。ステージは広大で四方八方に広がるが、点在する転送装置を利用すればスムーズに探索できるだろう。

ステージ内には2つの出口がある場合があり、ここで次のステージを選択すると異なるルートへと分岐する。ステージを進むごとに新たな手強い敵が登場し、強大なボスと戦うステージも用意されている。そのほか隠し部屋があったり、特定の能力(ルーン)を得てステージのギミックを起動させたり、新たなアクションを体得しないと到達できないエリアもあり、ボスや中ボスを倒すことで得られるその能力により、探索範囲およびルートの選択肢は広がっていく。

主人公には装備用のスロットが2つと、スキル用のスロットが2つあり、道中で入手する装備・スキルをこのスロットで管理して戦う。新規ゲーム開始時には基本的な剣をメイン武器として装備しており、残るもうひとつのスロットに弓か盾を装備可能。近接武器である剣と、遠距離武器である弓を同時に装備する攻撃主体で戦いに臨むか、あるいは防御を重視して、敵の攻撃をブロック・パリィできる盾を装備するかの選択だ。前者の場合は、敵の攻撃はドッジロールを駆使した立ち回りでかわすことができる。なお、メニュー画面でメインとサブの装備を入れ替えれば、弓と盾の組み合わせも可能だ。

ゲーム内で入手できる剣や弓には多彩なバリエーションがあるが、それ以外にも槍やムチ、あるいは蹴りや殴り攻撃をおこなう武器も登場する。武器の種類によって攻撃力やモーションスピードなど基本性能の違いのほか、攻撃した敵に出血や毒、炎上などの状態異常を与えるものや、特定の条件下でクリティカルが発生するものなどがある。盾の場合は、攻撃ブロック時のダメージ吸収率や、パリィ成功時に敵に与えるダメージの違いのほか、パリィした際に敵を状態異常にさせたり、次の攻撃がクリティカルになるといった効果を得られるものがある。

一方のスキルは、爆弾などのグレネードや、設置式のトラップ・タレット、その他魔法のような能力のこと。単純に敵にダメージを与えるだけでなく、凍結やスタンなどの状態異常を与えたり、体力の回復に繋がるものなどこちらも多種多様。ステージを進む中では、こうした装備やスキルを宝箱や特定の部屋で入手したり、ショップで購入できる。ただし何が入手・購入できるかは、毎プレイランダムである。お金は敵を倒すとドロップするほか、隠し部屋などで入手できることもある。

同じ装備やスキルでも、基本性能以外に付加される効果が異なることがある。たとえば、凍結やスタンの効果時間を伸ばしたり、敵に特定の状態異常を与えたり。あるいはクリティカルのダメージ量をアップさせたり、剣や盾の使用時にグレネードや矢を放ったりなど。敵から受けるダメージが一定割合増えたり、逆に減ったりといった効果もある。さらに、装備・スキルには品質の概念があり、高品質のものには複数の付加効果が付く。なお、付加効果はステージ間に出会うNPCにお金を払うことでランダムで変更可能。品質のアップもここでおこなえる。本作には90種類以上の装備とスキルが用意されているが、こうした仕様によりバリエーションはさらに幅広く、ゲームプレイへの影響も大きい。

また、装備・スキルには暴虐・戦術・生存の3種類の属性がある。ステージ内では、任意の属性のレベルを上げるスクロールを入手でき、その属性の装備・スキルの攻撃力をアップさせると同時に体力の上限を引き上げられる。ステージを進むごとに敵は強くなっていくため、スクロールでの強化は欠かせない。自らが持つ装備・スキルの属性に照らして、どの属性のレベルを優先して上げるかという選択が求められる。

アンロックした装備などがフラスコに入れられていく

本作にはチェックポイントはなく、死んでしまうと強化した装備・スキルはすべて失い、最初からやり直しとなる。ただし、前回プレイまでのアンロック状況は引き継がれる。アンロックとは、ステージ間に出会うNPCと話し、倒した敵がランダムでドロップするセルを消費しておこなうもの。たとえば、ステージ内で入手できる装備・スキルであったり、それらをゲーム開始時にランダムで入手できるようにしたり、あるいは死亡時に所持金を一定額まで持ち越せたり。新たな変異のアンロックもここでおこなう。隠し部屋に到達したり、特定の敵を倒して設定図を入手することでアンロック項目は増えていく。

上述した変異とは、いわゆるPERKのことだ。こちらもステージ間に出会うNPCと話して入手する。たとえば、グレネードのクールダウン時間が短縮したり、パリィすると体力が少し回復したり、あるいは状態異常の敵への攻撃にダメージが加算されたりなどさまざまある。コストはかからないが、装備できるのは最大3つまで。自分のプレイスタイルや、苦戦しているステージや敵に合わせて選ぶといいかもしれない。なお、ステージ間では体力の回復と、回復薬の補充もおこなえる。

本作では強力な敵が多数登場するため、何度も死ぬことになるだろう。しかし、その攻撃パターンを見極めて立ち回れば必ず勝機があり、理不尽さは感じないはず。スムーズな操作性と合わせて、プレイするごとに自らのスキルアップを実感できる作品となっている。またこれまでに述べたように、ステージの構造から入手アイテムまで、さまざまな点においてランダム性が強く、アンロック要素も多い。さらに、プレイスタイルによって好みはあるかもしれないが、どの装備もスキルも使いでがあり、これらの絶妙なバランスが本作のリプレイ性の高さと探索の楽しさに繋がっている。

今回のSteamでの正式リリースにあたっては、新たなNPCや、Twitchとの連携機能などのほか、ちょっとしたストーリー要素も追加されている。Twitch連携を使うと、視聴者がステージ内で入手できるアイテムの種類を決めるなどゲームに干渉できる。ストーリー要素は、ステージ内のさまざまな場所に隠されており、それらを調べることで本作の世界の背景について知ることができる。今後については、すでに大きな追加コンテンツを開発中で、アップデートかDLCにて無料配信する計画だという。

開発元のMotion Twinは、2001年の設立から基本プレイ無料のモバイルゲームを手がけてきたが、この『Dead Cells』にて初めて売り切り型のゲームに挑戦した。同スタジオは社長のような立場の人間を置かず、キャリアや役職にかかわらず全員が同じ金額の給料・ボーナスを受け取るという珍しい体制で運営されていることで最近話題となった(関連記事)。手がける作品への高いモチベーションが求められるため、スタッフの人数は最小限に抑えているそうで、本作の成功は少数精鋭チームの努力が実を結んだ結果といえそうだ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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