『DotCity』小さな町からメトロポリスへ、ミニマルビジュアルが光るUnity製の都市開発ゲーム

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第124回目は、『DotCity』を紹介する。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie Pick。第124回目は、『DotCity』を紹介する。

未来のメトロポリス目指すシティビルダー

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何世紀にもわたり続く数百万人規模の都市「メトロポリス」の確立を目指す。技術が発展し未来になると、都市内には3次元の交通網が発生し、数キロメートルもある摩天楼が立つようになる

『DotCity』は、『SimCity』や『Cities: Skylines』に代表されるようなシティービルダージャンル(都市開発シミュレーション)のタイトルだ。プレイヤーは建物や道路を建設し、人口や物資の流れをマネージメントしつつ、都市の拡大を目指してゆく。最終的には、映画『フィフス・エレメント』の大都市や、『StarWars』のコルスカント、『I, Robot』に登場するシカゴのような、メトロポリスの確立を目指す。

ゲームプレイ的には、『SimCity』などの典型的なシティービルダーデザインに、『Civilization』シリーズの時代転換を盛り込んだような内容だ。ゲームはまず産業化時代の1990年からスタートする。プレイヤーの町の人口規模はまだ小さく、小さな建物しか建てることができない。プレイヤーは交通量の整備や教育機関の設立、住民の健康の保持や税率の調整などを通し、町を少しずつ発展させてゆく。

ゲーム中には「資金」、「建設資材」、「電力」の3種類のリソースが存在する。資金は町の金融センターから、建設資材は産業センターから生み出される。「資金」と「建設資材」は交換することが可能だ。また建物は即座に出来上がるのではなく、時間をかけてゆっくりと建設されるため、プレイヤーはこれらリソースと建設計画の進行度を常に把握しなければならない。

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『DotCity』の住民たちである”ドット”。技術が発展すれば空を飛び、三次元の交通網を築くようになる

「技術」を解禁し次の世代へ

本作で最大の特徴となるのが、『Civilization』のような巨大な技術ツリーが存在している点だ。メトロポリスを建設するには、より高い建物をより早く丈夫に建設できるようにしたり、町の住民たちであるドットが空を飛べるようにしたりしなければならない。年代が進み技術が進歩すれば、都市内に三次元の交通網の構築や、数キロメートルもあるような摩天楼を建設できるようになる。

ただし、新たな技術のアンロックは良い効果だけでなく悪い効果をも招く時がある。住民であるドットに十分な家が提供できなかったり、高齢化により働き手不足が発生したりすると、都市は急激な破滅を迎えることになる。技術を解禁するのにも慎重な判断が必要になるというわけだ。

また本作の魅力が、ほかのシティービルダーゲームでは見られないミニマルな都市グラフィックだろう。建物はノッペリとした白色で表現されており、住民たちは黒い粒状のドットだ。このビジュアルに関して開発者のネイサン氏は、『Mirror’s Edge』から影響を受けたことを明らかにしているほか、パフォーマンス的な理由でリアリスティックな表現を選択できなかったと明らかにしている。氏が伝えるように好みは分かれそうなグラフィックだが、従来のシティビルダーには存在しなかったミニマルかつアーティスティックな空気感は確立しているだろう。

『DotCity』は現在Indiegogoにて6万ユーロの獲得を目指すクラウドファンディングを実施中。開発資金が集まれば、PC/Mac/Linux向けに2017年にもリリースされる予定だ。2017年初旬にはベータ版を配信することも考えているという。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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