接続プレイヤー数ほぼ1人の新作バトロワ『The Culling 2』、わずか9日で販売終了。前作を基本プレイ無料化し、愛されていた“リリース初期”の体験を復活させると約束

新作バトルロイヤルゲーム『The Culling 2』が発売からわずか9日で販売終了となる。同作の接続プレイヤー数は1人前後で、遊ぶことすら困難な状態であった。かわりに前作『The Culling』の開発が再開され、基本プレイ無料タイトルとして更新されていく。

米国のインディーデベロッパーXaviant Gamesは7月18日、新作バトルロイヤルゲーム『The Culling 2』の販売を停止することを発表した。7月10日にPC(Steam)および海外PlayStation 4/Xbox One向けに発売されてから、わずか9日でサポートを終了するという超短命タイトルとして終焉を迎えた。同作を購入済みのプレイヤー向けには、返金対応が進められる。

また同日の発表では、開発中止となった前作『The Culling』を基本プレイ無料タイトルとして復活させ、同作がみんなに愛されていた“リリース初期”の状態に戻すべく開発を再開することがアナウンスされた。まず今週中に2016年3月時点のビルドをテストサーバー上で適用し、PC版『The Culling』を購入済みのプレイヤー向けにアクセスが解放される。そして本番サーバーに残っている最新版に関しては別途、初期『The Culling』の状態に近づけるためのアップデートが重ねられていく。パーク、エアドロップ、初期の戦闘システムなどを復活させていくとのことだ。

Xaviant Gamesの運営ディレクターJosh Van Veld氏は、スタジオの現状と『The Culling』の未来を伝える以下の動画を公開している。

https://www.youtube.com/watch?v=24rR69Ygn20

『The Culling 2』は、前作で見られた近接戦闘の多いプリミティブな少人数バトルから、近年主流となっている『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』『H1Z1』のゲームシステムを多分に取り入れた現代的アプローチへと切り替えた最新作(ゲーム内容に関する関連記事)。『The Culling』らしさをごっそり取り除いた極端な変貌ぶりと、品質の低さ、そしてオリジナリティの無さ。これらが合わさったことでSteamではプレイヤーからの酷評が集まり、わずか1日で人口が枯渇した。同時接続プレイヤー数が丸一日1人以下の状態が続くこともあり、そもそも遊ぶことが困難な状態であった(SteamCharts)。

「皆様の多くは、先週リリースされた『The Culling 2』が軌道に乗っていないことをご存知でしょう」。運営ディレクターのJosh Van Veld氏は、先述した動画メッセージの冒頭でそう語り始めた。「ひとつ明らかになったのは、『The Culling 2』は皆様が求めていたゲームではなかったということです。また、本作は『The Culling』の続編を名乗るに値しない作品だと思われていることも、明確になりました。そうした点を踏まえ、私たちができる最善のアクションは、ゲームの販売を停止することだという結論に至りました。」

https://www.youtube.com/watch?v=u1IkXm3r5jA

※『The Culling 2』のローンチトレイラー

この先スタジオが前進するにはどうすればいいのか、どこに向かえばいいのか。悩み抜いた結果、『The Culling』のリリース初期状態に戻るという決断を下したという。『The Culling』の「Day 1」と繰り返し強調しているところがポイントだろう。「『The Culling』では、あまりにも多くのことを、あまりにも速く変えてしまいました。あのゲームはユニークで、他にはない特徴を備えていたのですが、私たちはゲームをチューニングすることに熱心になりすぎて、皆様が愛していたゲームを奪ってしまいました。大変、申し訳ございません。」

2017年10月に早期アクセスを終えたころには、プレイヤーたちはゲームに愛想をつかしており、開発陣もゲームの状態やコミュニティとの関係に満足できないでいたという。現状のままでは駄目だと分かっていても、前に進むための道筋が見えず、2017年12月には開発停止を発表した(関連記事)。

※初代『The Culling』のローンチトレイラー

「振り返ってみると、その判断は間違いでした。今では『The Culling』の初期ビルドにはとてつもない価値が詰まっていたことが見えています。初期の体験を復活させて欲しいという要望は多かったのですが、これまではそうした声に応えるために労力を費やす必要があるのだと、認めることが中々できませんでした。ですが今は違います。時は訪れました」。希望に満ちていた初期『The Culling』を蘇らせるため、一度は息を引き取ったゲームの開発が再開される。

『The Culling 2』は大失敗に終わったが、初期『The Culling』のようなゲーム体験を熱望するプレイヤーからの激昂があったおかげで、開発陣は『The Culling』を再評価することができた。原点回帰とも言える。他に道がないという理由もあるかもしれないが、結果的に功を奏す可能性は残されている。「皆様の協力なくして、『The Culling』の復活は成し得ません。今回の決断は、失った信頼を取り戻すための正しい第一歩であると信じております」と言葉を残し、Josh Van Veld氏はコメントを締めている。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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