生存者と感染者に分かれて戦う『Dead Dozen』開発終了。赤字覚悟で奮起するもユーザーが集まらず、新たな挑戦に移る
ロシアのインディーデベロッパーFntasticは6月19日、『Dead Dozen』の開発を終了する旨を発表した。本作は2018年3月にSteamでの早期アクセス販売が開始された非対称マルチプレイホラーゲーム。本格始動からわずか3か月での開発終了となる。なおアップデートは途絶えるが、オンライン対戦用のサーバーは稼働し続ける。
『Dead Dozen』のメインコンテンツは、最大12人のプレイヤーが生存者と感染者(グール)に分かれて対戦するPvPモードである。生存者の目的はマッチ終了まで生き延びるか、感染者のリスポーン可能回数がゼロになるまで敵を倒すこと。感染者の目的は生存者を全滅させることだ。死亡した生存者は感染者となって蘇るというのが本作の特徴であった。
https://www.youtube.com/watch?v=Q75bSub5ito
※2018年4月に公開された新モード「Escape」のトレイラー
『Dead Dozen』は今年2月に、事前購入者を対象とした有料アルファテストを実施していた。将来的な日本語対応を約束していたこともあり、日本人コミュニティも形成されつつあった。しかしながら当時の開発陣によるコミュニケーションは不足しがちであり、計5回のテスト延期を繰り返したことや、満足にテストプレイできる品質に達しなかったことにより、Steamコミュニティでは批判的な声が増えていった。
早期アクセス開始時点でもマッチングやマッチ中の挙動に問題を抱えており、初月から平均同時接続ユーザー数10人以下の状態が続いた(SteamCharts)。ユーザーレビューも不評。スタートダッシュでつまずいたFntasticは、コンテンツ不足というコミュニティからの指摘・要望に応えるため、すぐさま新マップの開発に着手。その後もフリーウィークエンドの実施、半額セール、通常販売価格の値下げ(2570円から1520円に39%ダウン)、フレンド招待用の追加キー配布、日本語含む多言語対応などユーザー獲得のために奔走したが、コミュニティが活性化することはなかった。
4月19日には、人数が少なくても遊べるソロもしくは最大4人Co-op対応のPvEモード「Escape」によりテコ入れが図られたが、実はこの大型アップデートが配信される前の4月1日時点で開発予算は尽きていたという。それ以降はゲームに対する情熱だけで開発が継続されていた。だがこのまま開発を進めてもプレイヤー人口の問題が解消されることはないと認めざるを得ない段階にまで来てしまったとのこと。プレイヤーが集まらないという難題は、4月にサービス終了したEpic Gamesの『Paragon』や、5月にスタジオが閉鎖したクリフ・ブレジンスキー氏率いるBoss Key Productionsの『Radical Heights』のように、膨大なリソースがあるプロジェクトでも解決できなかったものだと、開発メンバーは上述した発表文にて述べている。いずれも早期アクセス入りから短期間で開発終了を迎えたオンライン対戦ゲームである。
だがFntasticの挑戦はこれで終わったわけではない。かつてヒット作『The Wild Eight』を生み出したように、また別の形で復活してみせると語っている。そしていつか『Dead Dozen』の開発を再開し、ゲームプレイを再構築することで新たな息を吹き込める日が来ることを願っているという。近いうちにスタジオの新作を発表するとのことで、新たな挑戦に燃えるFntasticの次回作に期待したい。