ターンベース制横スクロールSTG『Mighty Tactical Shooter』 コーヒー片手にシューティング
週に1度クールなインディーゲームをお届けする「Indie of the Week(IotW)」。第2弾となる今回は英国の開発スタジオ Sock Thuggery が開発中のシューティングゲーム『Mighty Tctical Shooter』をご紹介しましょう。STG と聞くと反射神経や人間卒業といったキーワードを真っ先に思い浮かべてしまいそうですが先入観に囚われてはいけません。『Mighty Tactical Shooter』は STG に“ターンベース“の概念を取り入れており、「もし80年台のアーケードシューティングがターンベースで創られていたら?」とでも表現できるコンセプトの作品です。そして、既存の STG 作品とは似つかないプレイ体験の構築に成功しています。
公開されているプレアルファ版トレイラーのグラフィックは重度のレトロ調で人を選びそうですが、それでも映像に写る独自のインターフェイスやシステムには STG を毛嫌いしていたユーザーですら注目してしまうのではないでしょうか。『Mighty Tactical Shooter』は時間が停止した状態で自機の移動経路や攻撃方法など行動パターンをインプット、設定したアクションが終わる度にまた先行入力を繰り返し てゆきステージクリアを目指すという作品で、文字通り STG にターンベースを組み込むという大胆な発想を採用しています。
STG やベルトスクロールアクションなど、ステージクリア型アーケードゲームにはプレイを積み重ね操作スキルを磨いていくという習熟の喜びがありますが、それだ けでなく敵やボスの攻撃スタイルとステージの構成を研究するなどしてクリアパターンを構築していく魅力もあります。STG にターンベース要素を取り入れた『Mighty Tactical Shooter』は、前者にあたる反射神経に由来した操作アクションを排除しており、クリアパターンを模索する後者の楽しみによりフォーカスしているとい うわけです。STG でありながらコーヒー片手に画面と睨めっこをしながらゲームプレイを楽しむ、いうなれば『Civilization』スタイル。
明確に物語は語られていないものの、『Mighty Tactical Shooter』の世界はなんらかの地球外生命体に人類が襲撃されたという定番の STG ワールドが広がっています。主人公は、他の人々と共に幸運にも逃げ出すことに成功したというパイロット経験無しの男性。混乱の中、彼は地球外生命体と戦うために量産予定だった戦闘機、その最後のプロトタイプを盗み出しそのまま奇妙な惑星に不時着・破損させてしまいます。プレイヤーはステージをクリアしつつ倒した敵機から得たパーツや技術でこのプロトタイプを修理し、戦略インターフェイスの拡張や武器・シールド・修理システムなどを獲得あるいはアップグレー ド。プレイヤーが強化する能力の順序を決定できる『グラディウス』ライクなシステムで新たなスキルや手に入れ戦略を広げてゆきます。
ただし、ただ闇雲に強化していけば「僕の考えた一番強い戦闘機」で戦えるというわけではなく、これらプロトタイプの各機能は「電力コントロール」によって支配されて います。これはプレイヤーが画面左側に見えるバーを操作することで、機体の電力を「ガンパワー」「シールドパワー」「修理」に割り振るというシステムで、 例えば大量の敵が出てきた場合には「ガンパワー」への電力供給を強めたり、強力な攻撃を放たれた際には「シールド」に電力を割り振ったり、といった戦略性が求め られることになります。
『Maighty Tactical Shooter』は、ターンベース制を導入したアクション性にとぼしい STG を基調としつつ、倒した敵船から集めた資源で武器や機能をアンロックする RPG 的な要素や、電力コントロールを行うスペースシップシミュレーション要素なども含んでいます。一方で、そのストーリーやステージ最終部におけるボスとの戦闘や 自機を追尾するドローンなどお決まりの80年代 STG 要素も含まれており、STG マニアからもそうでないユーザーまで、ユニークなインディー作品好きの注目を集め得るタイトルとなりそうです。果たしてアーケードシューティングがターン ベースで作られると本当に面白いのか?筆者も興味が尽きません。
9月末より Steam Greenlight にて Steam でのリリースを目指している『Mighty Tactical Shooter』は、Windows/Mac/Linux にてリリース予定で、ローンチ後にはタブレットでの配信も予定しているとのこと。現在の開発進行度は50パーセント。近日中にも Kickstarter にてクラウドファンディングキャンペーンを実施するとのことなので、同作の次のターンが気になる方は続報をチェックしておきましょう。