SteamSpyなどデータ集積サイトが運営停止の危機。Steamプライバシー設定の変更によりデータ収集が困難に
Steamを運営するValveは4月11日、Steamアカウントプロフィールのプライバシー設定機能をアップデートしたことを発表した。「Game details」「Playtime」といった小項目が追加され、公開・非公開の設定をより細かく決められるようになった。また各項目が具体的にどの情報に影響を及ぼすのか、設定ページに詳細な説明文が加えられている。これにより他のユーザから自分のプロフィールがどう見えるのか管理しやすくなっている。
今回の変更に伴い、新しく追加された小項目「Game details」はデフォルトで「フレンドのみ」に設定されている(これまでプロフィールを非公開にしていたユーザは、デフォルトで「非公開」に設定)。「Game details」にはSteamアカウントで保有しているタイトル一覧、ウィッシュリスト、実績、プレイ中のタイトルの公開設定が含まれている。
デフォルト設定が「フレンドのみ」になったことで痛手を負ったのは、Steamデータを収集しているトラッキングサイトSteamSpyである。管理人のSergey Galyonkin氏は同サイトの運営が困難になる旨をTwitter上で語っている。全ユーザのデフォルト設定が「フレンドのみ」もしくは「非公開」になったことで、タイトル所有者数のデータを収集できなくなったからだ。
Valve just made a change to their privacy settings, making games owned by Steam users hidden by default.
Steam Spy relied on this information being visible by default and won't be able to operate anymore.https://t.co/0ejZgRQ6Kd
— Steam Spy (@Steam_Spy) April 11, 2018
Valveは今回の変更について、ユーザからのフィードバックを受けて実施されたものだと説明している。プライバシー設定をより細かく決められることは、ユーザフレンドリーな機能と言えるだろう。一方、今回話題となっているデフォルト設定についてはSteamコミュニティでも意見が割れている。販売プラットフォームとして、購入履歴の公開よりもプライバシーの保護を優先するという姿勢の表れだろうか。
Galyonkin氏はCCU(同時接続ユーザ数)のデータからセールスの見積もりを算出することも不可能ではないとTwitterで語っているが、作業工数が増え、精度が落ちてしまうという問題点も挙げている。いずれにせよ現時点でのデータはアーカイブとして公開し続ける意向とのことだ。データ収集が困難になるのはSteamSpyやSteamDBといったSteamデータのトラッキングサイト全般に言える。そうしたサイトにとって先行きは暗いが、今回のプライバシー設定変更のように、Steamユーザの反応やフィードバック次第で、再度変更が加えられる可能性はゼロではないだろう。
なおValveは今後の計画として、プレイヤーのオンラインステータスに「退席中」や「オフライン」とは別途、「非表示モード」を追加する予定であることを明かしている。他ユーザには「オフライン」として映るが、本人はフレンドリストの閲覧やメッセージの送受信を通常どおり行えるステータスである。ゲームの購入情報やオンラインステータスを伏せたい、公開範囲を細かく制限したいというニーズに応えようとしていることが窺える。そうしたValveの意向に合わせて、SteamSpyといったトラッキングサイトは消え去ってしまうのだろうか。状況が打開される日が来るのか、今後の行方にも注目したい。