Ubisoftがカナダにオープンワールド研究のためのスタジオを新設。統括するのは『ファークライ5』のDarryl Long氏
セールスが好調な『ファークライ5』を販売するUbisoftは、4月6日カナダのウィニペグに、オープンワールド研究のための新たなスタジオを開設すると発表した。初期投資額は約3500万ドル。エンジニア、ツール・プログラマー、テクニカル・アーティストなど、今後5年間で約100名を新たに雇用するとしている。スタジオを率いることになるのは『ファークライ3』以降、シリーズのAssociate Executive Producer(製作総指揮補)を歴任し、『ファークライ5』でプロデューサーを務めたDarryl Long氏。オープンワールド開発を知り尽くした、まさにうってつけの人物といっていいだろう。
Ubisoftは既に、カナダ国内ではトロント、モントリオール、ケベック・シティー、ハリファックスにスタジオを構えている。GamasutraのインタビューでLong氏は「Ubisoft Winnipegはカナダ国内の他のスタジオと緊密に協力しつつ、改善が必要なオープンワールド環境開発の核心部分を担うことになる」と、新スタジオの役割について説明している。
マニトバ州の州都であるウィニペグは、北米大陸のほぼ中心に位置ししている。2017年の統計では82万人以上の人々が暮らす、カナダでは7番目に人口の多い都市(リンク先pdf)。Ubisoftの本拠地であるフランス系の住民が人口の13.1%を占めており、人口60万人以上の都市では、もっとも寒い都市といわれている(TravelBlog)。マニトバ州では、州内の適法なプロジェクトであればインタラクティブ・デジタル・メディア減税により、費用の最大40%の控除を受けることができるとのこと(gamesindustry.biz)。そういった優遇税制もスタジオ新設の要因のひとつといえるかもしれない。しかしLong氏は、なによりもウィニペグの風土や人材に期待を寄せており「ウィニペグにはクリエイティブな芸術やIT、コンピューターサイエンスと結びついた盛んな地元のテクノクリエイティブ産業と革新的な大学やプログラムがあり、まさにビデオゲーム業界の隠れた才能の宝庫だ」と述べている。
Ubisoftは、看板タイトルといっていい『アサシン クリード』や『ウォッチドッグス』はもちろん、『ゴーストリコン ワイルドランズ』や『ファークライ』といったシューターの他、『THE CREW(ザ クルー)』シリーズのようなレースゲーム、『STEEP(スティープ)』といったスポーツゲームに至るまで、広くオープンワールドを採用している。特に『ゴーストリコン ワイルドランズ』などでは自動生成ツールを使ってのマップ生成が進んでおり、オープンワールドの構築技術はゲームメーカーでも随一(80lv)。そうした強みを新スタジオ開設によってさらに伸ばしていくのだろう。Ubisoft Winnipegは、従業員数3000人を超えるUbisoft Montrealと比べるとまだまだ小規模ではあるが、今後同社のゲームで重要な役割を果たしていくことが期待されている。