『Fallout 4』のエンジンで『Fallout 3』をリメイクする大型Modプロジェクトが開発中止。中止の理由は「声優の問題」
Mod制作チームRoad To Libertyは、大型Modプロジェクト「Fallout 4: Capital Wasteland」の開発を中止することを発表した。同Modは、『Fallout 4』にて使用されているCreation Engineを導入し、『Fallout 3』の世界の再構築を目指すというもの(関連記事)。単にアセットを貼り付けるのではなく、オリジナル作品に含まれたクエストやモンスター、マップなどをすべて作り直すというコンセプトで進められていた。原作の雰囲気やシステムを重視しつつ、細部のチューニングをおこなう形式だ。雰囲気が明るくなりすぎないように、フィルターをかけるといったオリジナル作品を尊重する方向で開発されていた。
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今年の1月にも新たなトレイラーを公開し、開発が順調に進んでいることを報告していたものの、ここにきて開発中止となった。開発中止になった理由についてRoad To Libertyは「ボイス」が問題だったとしている。『Fallout 3』の世界を再構築する上で、グラフィックやモーションは作り直すことができるが、シナリオを盛り上げるボイスは作り直すことができない。そこでRoad To Libertyが原作のボイスを使わせてもらえないかと、販売・開発元であるBethesdaに相談したところ、NGが出た形だ。はっきりとは明言されなかったが、声優の権利が付随した問題であることが示唆されている。
権利や法律に問題を抱え、Bethesdaと緊張状態のままプロジェクトを進めることはできない。そう考えたチームは、新たにボイスを収録してみたのだという。しかしModプロジェクトのコンセプトがオリジナルの『Fallout 3』を尊重するということもあってか、録り直したボイスでは『Fallout 3』の魅力が伝えられないと実感。最終的にプロジェクトそのものの続行を断念した形だ。『Fallout 3』とBethesdaに対し敬意を持つがゆえの決断なのだろう。
「Fallout 4: Capital Wasteland」の開発中止が告げられたとなると、次に懸念されるのは姉妹プロジェクトである「Fallout 4 New Vegas」だろう。「Fallout 4 New Vegas」は、Creation Engineを使うことで『Fallout 4』に『Fallout: New Vegas』の世界を構築するプロジェクト(関連記事)。扱うタイトルや理念は異なるものの、多く共通点を持つプロジェクトであるのは確かだ。こちらのModの存続が危ぶまれる中、「Fallout 4 New Vegas」のチームは今後の計画を発表した。
結論からいうと、ボイスについては声優を募集し収録し直すという結論に至ったようだ。開発チームは、オリジナル版のボイスデータを使えると考えていたものの、Bethesdaとの協議の結果それが不可能であると告知される。しかし、新たに音声収録チームを設けて、新たにボイスを収録することが最善であると考えたという。チームを別に設けてMod開発とは別の形で動かすことで、リリーススケジュールにも影響しない。品質の高さを保ちつつ開発を停滞させないためには、この手段を選んだとのこと。
「Fallout 4 New Vegas」は、オリジナル版の特徴を守るというコンセプトは「Fallout 4: Capital Wasteland」と同様であるものの、既存の要素に加えてダイナミック天候変化や緻密な物理演算を盛り込みつつも、カルマシステムや評価システムなどシリーズの要素を加えるなど、開発チームのアレンジも魅力。ボイス収録もまた新たなアレンジの要素のひとつとなりえるわけだ。開発コンセプトの違いが続行と中止を大きく分けたと考えられるかもしれない。
That F4NV mod, though… pic.twitter.com/5JG5iH1UYJ
— Obsidian (@Obsidian) January 3, 2018
「Fallout 4 New Vegas」は開発元であるObsidian Entertainmentも認めるなど、ファンの期待を大きく背負っている。「Fallout 4: Capital Wasteland」の開発中止は残念であるが、声優の権利問題を尊重するBethesdaの判断は当然だろう。今後は、さまざまなアレンジが加えられ生まれ変わる「New Vegas」に注目したい。