中国で『PUBG』そっくりのバトルロイヤルゲームが発表。手がけるのは『PUBG』の中国展開における交渉相手
中国の大手IT企業Tencent(騰訊・テンセント)は11月7日、『光荣使命:使命行动』を中国国内のスマートフォン向けに発表した。100人のプレイヤーによるマルチプレイ対戦で、最後の一人として生き残るまで戦うアクション・シューティングゲームだという。どこかで聞いたことのある内容だが、まずはトレイラーをご覧いただこう。
ゲームを始めるとプレイヤーはパラシュートで巨大な孤島に降り立ち、基本的な装備以外は現地調達していくFPS/TPSのようだ。64平方kmの広さの島には住宅街から工業地帯、山岳地帯から河川などさまざまな環境があり、車やボートなどの移動手段も用意されている。ミニマップには白い円で囲われたエリアのほか、爆撃が降り注ぐ赤く囲われたエリアも確認できる。公式サイトによると、武器には多数の銃器のほか近接武器などもさまざま用意されてるそうで、イメージ画像のキャラクターのひとりはフライパンを握っている。
『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)が大きな成功を収めて以降、スマートフォン向けに限らずさまざまなバトルロイヤルゲームが登場し、中には露骨に模倣するゲームも存在するが、本作もなかなかのもののようだ。ちなみに、Tencent自身は「新しいゲーム体験をプレイヤーにお届けする」としている。
見たところ本作は『PUBG』に酷似しているが、現時点で確認できる範囲では著作権を侵害しているとまでは言えないようだ。ただ、手がけているのがTencentというところが興味深い。実は中国の経済誌が今年8月、Tencentが『PUBG』の開発元Blueholeに投資したと報じ、9月には韓国メディアがTencentがBlueholeの株式の5パーセントを購入したと報じていた。いずれの報道もBlueholeが事実ではないと否定したが、同社の共同設立者Chang Byung-gyu氏は、のちにBloombergとのインタビューの中でTencentからの接触があったことは認めている。Blueholeが『PUBG』の中国国内でのパートナーを必要としていたところ、Tencentが中国での販売権と共にBluehole株の購入を持ちかけたという。Byung-gyu氏は、Tencentはとても重要なパートナーになり得るとしたが、交渉の詳細については言及を避けた。
現在のところ、Blueholeは中国では現地パブリッシャーと組むことなく『PUBG』を販売している。Byung-gyu氏はTencentとの交渉に手応えを感じていたようだが、結局決裂したのか、あるいはまだ継続しているのかは分からない。ただ、今回『光荣使命:使命行动』のようなタイトルをTencentが発表したことは、『PUBG』の単なる模倣を望まないBlueholeにとっては受け入れ難い行為ではないだろうか(関連記事)。交渉が決裂したため、Tencentは“自らの『PUBG』”を作ってしまったのか。それとも、上述の交渉に関連してBlueholeがTencentに何らかのライセンスをおこなっているのだろうか。いずれにせよ、中国国内向けの本作を日本に住む我々がプレイして、その『PUBG』度合いを確かめるチャンスはなさそうだ。