Telltale Gamesが全従業員の4分の1をレイオフ。『The Walking Dead』など同社の手がける版権アドベンチャーの売上に陰り
Telltale Gamesは11月7日、全従業員の25パーセントにあたる90名のスタッフを解雇したとプレスリリースを通じて発表した。業界誌Gamesindustry.bizなどが報じている。同社はこの大規模なレイオフをおこなった理由について、クオリティの高い物語主導型のゲーム体験を届けるパブリッシャー/デベロッパーとして、これから数年かけてより競争力を高めていくためだと説明している。
Telltale Gamesの社長兼CEO Pete Hawley氏は発表の中で、ここ数年のゲーム業界は目まぐるしい変化にさらされているとし、同社としてもそうした現実と向き合いながら求められているものに応じて変革していくと語っている。そして、より小規模なチームでよりクオリティの高いゲームを開発し、ただしリリース数は絞り込む方向で会社の体制を構築しなおしているところだという。
Hawley氏はこれまでにZyngaやEA、ソニーなどで幹部を務めた経験を持つ業界のベテランで、今年9月にTelltale Gamesのトップとして迎えられたばかり。就任以降にリリースされた新作はまだなく、これまでの作品あるいは既存シリーズの新エピソードの売り上げなどを見て大鉈を振るったということのようだ。
Telltale Gamesはアドベンチャーゲームの開発・販売元として知られており、主に他社の作品をゲーム化している。古くは「ウォレスとグルミット」や「Sam & Max」、あるいは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「ジュラシック・パーク」などのアドベンチャーゲームを手がけたが、2012年にリリースした『The Walking Dead』で一躍その名が知られることとなった。同作の最初のエピソードは発売から3週間足らずで100万本以上を売り上げるTelltale Games最大のヒットとなり、その年には数々の賞を受賞する。
その後『The Walking Dead』をシリーズ化する傍ら、『The Wolf Among Us』や『Tales from the Borderlands』『Game of Thrones』などを矢継ぎ早に投入し、それぞれヒットさせていった。もともと多作なスタジオだが、『The Walking Dead』にならって、その時々の人気作品のライセンスを取得してタイムリーに投入していくことで相乗効果を狙った。
ただ、『Tales from the Borderlands』ではそれまでの成功から期待したほどの売り上げには達せず、ディレクターであるNick Herman氏は内部で失敗だったという認識があったと語っている。ほかの作品についてもリリースを重ねるにつれて、黎明期の同社の作品と比較すると売り上げは下降線を辿り、特に今年リリースされた『Guardians of the Galaxy』や『Minecraft: Story Mode – Season Two』『Batman: The Enemy Within』からはかつてのような勢いは見られない。Pete Hawley氏は、そうした状況をこのまま放置するのは危険だと判断したのだろう。
Telltale Gamesは、今回のレイオフがすでに発表済みのプロジェクトに与える影響はないとしている。現在は『Batman: The Enemy Within』が継続中で、エピソード3以降のリリースを待っている状況である。そして来年には2本の新作が控えている。ひとつは『The Walking Dead: The Final Season』、そしてもうひとつは『The Wolf Among Us: Season Two』だ。同社のアドベンチャーゲームの中でもっとも成功した2作から、シリーズの最終章と続編が登場するとあってファンからの期待は高い。
これらのリリースが予定どおりとされた点については一安心といったところだが、スタッフの4分の1の90名が解雇されたとあっては開発体制への影響は避けられないだろう。ただ同社にとっての本当の勝負は、この最大の弾を放った来年以降にどのような作品を生み出すかにかかっているのかもしれない。