マイクロソフトが「Kinect」の製造を終了。ジェスチャーや音声でXboxを操作するデバイス、ユーザーへのサポートは継続
マイクロソフトがXbox One/Windows用の周辺機器「Kinect」の製造を終了していたことが、10月25日に明らかになった。海外メディアCo.Designがおこなった、マイクロソフトでKinectの開発を手がけたAlex Kipman氏らへのインタビューの中で報じている。現在、Microsoftストアでは在庫なしとなっている。販売店によってはまだ購入できるところもあるが、在庫がなくなり次第販売終了になると思われる。なお、マイクロソフトはユーザーへのサポートは継続するとのことだ。
Kinectは、ユーザーのジェスチャーや音声を読み取るカメラやセンサーが搭載されたデバイスだ。2010年にXbox 360向けに発売され、マイクロソフトだけでなくサードパーティーからもさまざまな専用/対応ゲームがリリースされた。そして2013年のXbox Oneのローンチに合わせて、カメラの性能やセンサーの精度を高めた新型モデルが投入された。
しかし、Xbox Oneでは当初すべての本体ラインナップに同梱していたため価格を押し上げる要因となる。マイクロソフトはゲーム以外にもボイスコマンドや、顔認識によるユーザーの自動サインインなどをアピールしたが、必ずしもすべてのユーザーが必要とする機能ではなかったため、Kinectを同梱しない低価格モデルの発売を迫られる。そしていつしか同梱モデルはラインナップから消え、標準装備から完全な周辺機器となり、近年はマイクロソフトがKinectに言及する機会もほとんどなかった。
一方、KinectはXboxだけでなくWindows向けにも展開しており、このようなセンサーとしては比較的安価だったため、アーケードゲームやインタラクティブアートなどに活用された。また、SWERY氏が手がけたミステリーアドベンチャーゲーム『D4』の開発初期には、簡易モーションキャプチャーのために利用していたというエピソードもある。
Xbox 360時代を含め、ダンスゲームなどKinectと相性のいいゲームも生まれたものの、残念ながら広く受け入れられる結果にはならなかった。ゲームを開発する側としては、Xbox OneがKinectを標準装備としたことはユーザーベースの観点から歓迎すべき判断だったはずだ。しかし、ユーザーにとっては最後まで特殊なデバイスのままだったのかもしれない。マイクロソフトはKinectで培った技術をCortanaやWindows Helloなどに活用しており、今後はそちらの分野での発展が期待される。