『Dead Matter』開発中。大自然に囲まれたカナダの街で物資を集め、マイホームを防衛するゾンビサバイバル
発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第455回目は『Dead Matter』を紹介する。
本作はUnreal Engine 4を用いて開発されているシングル/マルチプレイ対応のゾンビサバイバルゲームである。元々は『Crysis 2』のModとして制作されていたものだ。舞台となるのは、カナダのアルバータ州をもとにした、400平方kmの広大なオープンワールド。自由度の高さを追求したプロジェクトであり、プレイヤーは物資を求め辺りを探索しつつ、マイホームを定めて定住してもよいし、大自然の中でノマド生活を送ってもよい。
アルバータ州は人口100万人規模の大都市がありつつも自然が豊か。ゾンビの大群が押し寄せる都市部と、カナディアン・ロッキーに広がる森林・湖水というコントラストが生まれる。本作では、少人数の開発チームでも大規模なオープンワールドを構築できるようマップのプロシージャル生成ツールが活用されているほか、アイテムスポーン、電力、水流、汚染源、AIなどの管理システムにより、流動的で、常に緊張感が保たれるような世界づくりが目指されている。開発陣の最大の目標は、リプレイ性の高いサバイバル体験を届けることであり、とくにPvE・協力型のコンテンツを好むプレイヤーは、セッション毎に異なる体験ができるとのことだ。
プレイヤーは空腹度と喉の渇き以外に、血圧、出血量、骨折、噛み傷といったステータスにも気を配らなければならない。また探索中に集めた物資を保存するには、サイズ・数量だけでなく、適正温度や品質も加味する必要がある。計画的なリソース管理が求められる作品なのだ。
ゲーム内の建物はすべて拠点候補となり、電力を供給することが可能。家屋を修繕し、防塞を築くことでゾンビや盗賊の侵入を防ぐ。家屋ではなく、装備品のクラフトやカスタマイズに適した工業施設、車両へのアクセスや修理に適したガソリンスタンド/自動車修理工場を拠点にしてもよい。都市部から離れ、土地を耕したり、野生動物を狩ることで自給自足の生活を目指すこともできる。
ただし無法地帯と化したポストアポカリプスの世界では、ゾンビや他の生存者たち(AI、他プレイヤー)との戦闘が避けられないことも。過酷な環境下で生き延びるためにも武器を確保したいところ。本作の近接武器は50種類以上あり、有刺鉄線バット、銃剣などに改造できる。武器に限らず、操作キャラクターと車両の見た目もカスタマイズ可能とのことだ。
本作の開発を手がけるのはカナダ・アルバータ州のインディーデベロッパー「Quantum Integrity Software」。本稿執筆時点での開発メンバーは5人。10年以上のキャリアを持つテクニカルアーティスト1人を除けば、趣味としてのMod制作や就業訓練での経験にとどまるメンバーがほとんど。専門外の分野をカバーできる人材を雇用するため、7月18日より1か月間のKickstarterキャンペーンにて出資を募っている。初期目標額は6万カナダドル(約530万円相当)。本稿執筆時点では残り27日を残し4万7000カナダドルを集めており、好調な出だしとなっている。
ストレッチゴールとしては、7万カナダドルで地下エリアの追加を含むマップの拡張、8万5000カナダドルで航空機・電車の追加、そして12万カナダドルに到達した暁にはバンクーバー島をもとにした新マップを追加するという。Kickstarterキャンペーンは好調であるが、ゲーム開発経験の浅いチームだけに、開発期間、必要資金などの見積もりが現実的なのか不安が残る。とはいえ、こうした野心的なプロジェクトにはロマンが詰まっているため、無事軌道に乗ることを期待したい。
『Dead Matter』の対象プラットフォームはPC。2017年内のアルファ版リリースを目標としており、正式リリース時期については未定である。