『Dream Daddy: A Dad Dating Simulator』配信開始。シングルファザー同士のロマンスを描く恋愛シミュレーション

コンテンツクリエイター集団「Game Grumps」は7月21日、シングルファザー同士でロマンスを育む恋愛シミュレーション『Dream Daddy: A Dad Dating Simulator』(以下、DDADDS)を発売した。対象プラットフォームはWindows/Mac(Steam)。販売価格は1480円で、対応言語は英語のみとなっている。

コンテンツクリエイター集団「Game Grumps」は7月21日、シングルファザー同士でロマンスを育む恋愛シミュレーション『Dream Daddy: A Dad Dating Simulator』(以下、DDADDS)を発売した。対象プラットフォームはWindows/Mac(Steam)。販売価格は1480円で、対応言語は英語のみとなっている。

主人公は妻(もしくは夫)と死別し、男手ひとつで娘を育てるシングルファザー。幸いにも娘のアマンダはとっても父親想い。父の愛情を注がれ、まっすぐに育っている。二人は海辺の静かな町「メイプル・ベイ」に引っ越してきたばかりで、ご近所さんに挨拶したり、近くのお店をぶらついたりと、仲睦まじく新生活をスタートさせている。彼らの隣人がシングルファザーだらけであると気づくのに時間はかからない。しかも全員もれなく恋人募集中ときた。なんたる奇遇。娘はなにかと協力的だし、新たな扉を開く絶好のチャンスかもしれない。

ダディ・ラインナップ

主人公が口説けるダッドは7人。最初に出会うジョセフは、ブロンドヘアーを短く揃えた、さわやか系親父。プロデューサー巻きのカーディガンとピンクのポロシャツを着こなし、挨拶がてら手作りクッキーをおすそ分けしてくれる社交的なナイスガイだ。彼だけはシングルではなく奥さんがいる。公園でワンちゃんの散歩をしているブライアンは、ワイルドなお髭が特徴的なクマさん体型。娘自慢なら誰にも負けない。ウエストベルトで赤ちゃんを抱っこしながらジョギングに励むクレイグは大学時代の同級生。久しぶりに再会してみると、見違えるほど格好良くなっている。コーヒーショップの店長マットは物腰がやわらかく、人見知りな主人公ともすぐに打ち解けそうだ。

そのほか革ジャンのチョイ悪親父ロバート、知的でダンディな英語教師のヒューゴ、こだわりの強い長髪のゴシック系親父ダミアンと、みんな個性豊か。きっとお気に入りの「ドリーム・ダディ」を見つけられるはずだ。陽気な娘アマンダの助けを借りつつ、多彩なダッドとの出会いにときめこうではないか。基本的には日々「Dadbook」アプリを通じてダッドとコンタクトを取り、デートの約束をすることになる。好感度はデート中の言動により変動。ダッドとの交流には会話だけでなく、某RPG風の娘自慢バトルといったミニゲームも用意されている。

娘自慢バトル。娘は一人しかいないので交代できない

ボリュームとしては一周につき2時間から3時間で終わる内容であり、各ダッドに複数のエンディングが用意されている。ダッドだけでなく彼らの子供たちも個性的で、実のところ物語の中核にあるのは「父と父」ではなく「父と子」のつながりだったりする。本作はデート・シミュレーションである以上に、ダッド・シミュレーションゲームなのである。なお主人公のアバターは、ペルソナならぬ「ダッドソナ・クリエイター」により、髪型、肌色、体毛、体型、ピアスなど細かくカスタマイズし、理想のダッドへと仕上げることが可能だ。

理想のダッドソナをつくろう
ちょっぴりホラーな子供たち

本作を開発した「Game Grumps」はゲーム実況を中心とした映像コンテンツを扱う集団であり、公式YouTubeチャンネルの登録者数は400万人近くにおよぶ。『DDADDS』のシナリオを担当したVernon Shaw氏は「Hot Pepper Gaming」(毎回異なるゲストを呼び、激辛チリペッパーを食べてからゲームをレビューしてもらうというもの)という別プロジェクトでも名が知られている。ゲーム開発に踏み切ったのは今回で初となるが、業界内ではすでに認知されているチームなのだ。

「Game Grumps」の武器はその明るいユーモアであり、本作にはダッドだけに通じる陽気なオヤジギャグが数多く含まれている。テーマ曲「Dream Daddy」もなかなかに愉快。ちなみに『DDADDS』のコンセプトは、Shaw氏とともにシナリオライターを担当した19歳のLeighton Gray氏が、ディズニーランドでホットなダッドたちを眺めているうちに浮かんできたという。

恋路を邪魔するマミーたちも登場する

Vernon Shaw氏とLeighton Gray氏のシナリオとともに本作を支えているのが、Shanen Pae氏を筆頭としたフリーランサーたちのアートワーク。濃色を抑えたキャラクターデザインと背景画は洗練されており、本作で描かれる「やさしい世界」をうまく捉えている。

『DDADDS』は当初のリリース予定であった7月13日から二度、それも日時指定した上での延期を繰り返したことから批難を浴び、つまずきながらのスタートを切った。しかしながらSNS上では既にアマンダやダッドたちのコスプレ写真、ファンアートが多く投稿されており、一部のコミュニティに愛されし作品となりつつある。この異色の作品が2017年のダッドゲーム・オブ・ザ・イヤー候補になることは間違いないだろう。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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