Nintendo Switch版『FIFA 18』詳細情報判明。プロデューサーは「携帯型コンソール史上最高の『FIFA』になる」と語る
Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)版『FIFA 18』について、さまざまな詳細情報が判明してきている。今月6月6日に正式発表された本作は、クリスティアーノ・ロナウドがカバーを飾るなど多くの新情報が明かされた。そのなかで注目を集めたのは「Nintendo Switch版はFrostbiteエンジンを搭載しない」という仕様の発表だろう。Frostbiteは同作の販売元であるElectronic Arts(以下、EA)が会社をあげて使用しているゲームエンジンであり、美麗な映像やリアルなモーションの表現を可能にしている。またFrostbiteの採用によって実装された、ひとりのプレイヤーとなってサッカー選手の生涯を体験する、いわゆるストーリーモードである「The Journey」も搭載されないという。
EAはNintendo Switch版について「最高の没入感、ソーシャル要素、そしてかつてないリアルなスポーツゲームをお届けします。」と語るものの、PlayStation 4、Xbox One、PCでは実装されているエンジン及びコンテンツが実装されないという点は気になることだろう。今回、プレスリリースやEurogamerによるプロデューサーAndrei Lazaresco氏へのインタビューよって、Nintendo Switch版の詳細な仕様が判明したので、その内容をお伝えしたい。
携帯型コンソールとしての『FIFA』
Lazaresco氏によると、注目を集めているFrostbite非搭載については「搭載することもできたが、カスタムビルド版を使用するほうがよりよい体験を提供できると考えた」と語る。このカスタムビルド版については、Frostbiteでも前世代機向けのゲームエンジンIgniteでもない、完全にNintendo Switch向けにカスタムされたものだという。Frostbiteの表現には及ばないものの、光源処理や芝の表現などは強化されており、携帯モードでは720p、TVモードでは1080p、ともに60fpsで動くようだ。ちなみに、次世代機版『FIFA 18』において実装された新たなクロスやタックルシステムは実装されているとのこと。またLazaresco氏は、将来的に次世代機版と同等になる可能性に対して「様子を見てみる必要はあるが、扉は開いている」ともコメントしている。なお近年の『FIFA』シリーズの要のコンテンツともいえるFIFA Ultimate Teamについては、Championモード以外はすべて搭載されるとも明かされている。
印象的であったのは、Lazaresco氏はあくまでNintendo Switch版を「携帯型ハードとして史上最高の『FIFA』である」というように、携帯型コンソールとして位置付けていることだ。携帯型コンソールとして最後に発売された『FIFA』は、2014年にPlayStation Vitaで発売された『FIFA 15』。同作には、前述のFIFA Ultimate Teamを中心に、据置型ハードで実装されていた要素の多くが搭載されていなかった。つまり、Nintendo Switch版はいくつかの機能は欠いているものの、携帯型コンソール版としては、FIFA Ultimate Teamを含めた主要モードや新要素が実装されているとも受け取れる。確かにVandal.netが投稿したNintendo Switch版の実機動画などを見てみると、最高とは言えないものの、モーション・ビジュアルともに『FIFA』している印象だ。
EAはNintendo Switch向けの独自要素として「持ち運べること」を大きな特徴としてあげている。発売に向けてさらなる新要素が明かされる可能性もあるが、現時点では、ある程度のコンテンツが実装されている『FIFA』を、外に持ち運んでJoy-Conを使ってふたりで遊べるというのが「最高の没入感、ソーシャル要素、そしてかつてないリアルなスポーツゲームをお届けします。」というフレーズの答えなのかもしれない。
一方で、Nintendo Switch版にほかの据置ハード同等の機能を求めるユーザーにとっては、同ハードの『FIFA』の仕様を素直に喜べないだろう。EAがNintendo Switch版『FIFA』をどのような位置づけにしていくかは、Lazaresco氏「様子を見てみる必要がある」と語るとおり、同作を含めたソフトとハード両方の売り上げが鍵を握りそうだ。