いや本当にゲーム遊んでますよ、遊んで紹介してますしレビューもしてますよ。今週の「エアゲーミング」
「Now Air Gaming」は毎週土曜日、各ライターがその週にエアプレイしたゲームについて、ゆるく書きちらします。そういえば今日は4月1日ですね。もう午後だし夜ですけど気にしないでね。
ブリティッシュコメディを取り入れたUBIの集大成
アメリカ西海岸からイギリスのテックシティ・ロンドンに舞台を移した『Watch Dogs 3』。幸運にもそのアルファ版をプレイすることができました。1作目が陰気な白人のエイデン、2作目が陽気な黒人のマーカスときて、3作目にはGTA Vのトレバーのような問題児、それもアジア系女性を主人公として迎え入れるという、多様性を意識した(?)配役に。シリーズおなじみとなった「Tボーン」ことレイモンド・ケニーも再登場するのですが、今回はクレイジーな主人公をなだめる役に徹することで、父性と言ってよいのか、とにかく新たな一面を覗かせております。
物語としては暴走したDedSecの過激派、EU離脱をきっかけに衰退しつつある英国のテック企業、そこに付け入る某国の政府組織という三者が水面下で闘争を繰り広げ、次第にエスカレートしていくという一見するとシリアスな内容。ですがモンティパイソン風のスラップスティックで描かれているため、終始笑いが途絶えません。メインクエストの構造は『Ghost Recon: Wildlands』のような組織チャート形式になっており、広いロンドンの街をフルに活かせております。三人称視点のアクションもワイルドランズの仕様を採用しているため、これまで以上に滑らか。正面突破もステルスも自在にこなせます。そう、こんなUBIオープンワールドをプレイしたかった。これぞUbisoftの新たな集大成と言えるでしょう。
……4月1日は妄想がはかどります。
By Ryuki Ishii
サビついた弦を張り替える時がきたようだ
高校生の頃はいくつかバンドを掛け持ちするほど音楽にドップリだったのですが、いつしかそんな活動をする時間はなくなり家でつま弾く程度に。でも、やっぱり仲間と学園祭のステージに立ったりしたあの頃を思い出すと……。そんなむなしい気持ちを和らげてくれたのがUbisoftの『ロックスミス』でした。本物のギターをゲーム機に繋いで演奏するゲームです。そしてその続編では、自分の演奏に合わせてドラムやベースなどがAIで伴奏してくれる「セッションモード」という夢のような機能が搭載。もう一人でも寂しくない。
でも、準備が面倒くさいのがネック。モバイル版が出ればサッと繋いですぐ始められるのに。なんて思っていたところで、突然Switch版が発売!同じスタジオが手がけるサウスパークのゲームが何度も延期されたのは、これを優先するためだったとか。さっそく起動してセッションモードに直行してみると、AIが超絶進化してビリー・シーンやテリー・ボジオなど有名ミュージシャンのプレイを本人以上の上手さで演奏する充実っぷり。しかもSwitchなら風呂でも電車の中でもプレイできるではないか。もう何も言うことない。夢なら覚めないでほしい。
By Taijiro Yamanaka
一人暮らしの帰宅の寂しさをスリリングに解消する『VRお出迎え』
一人暮らしは気楽とはいえ、やはり夜疲れた身体を引きずって帰宅した際、部屋に誰もいないというのは覚悟していてもどこか物悲しいものである。「部屋に入った後ではなく、帰ってきた瞬間の寂しさを解消してあげたかった」と開発者の思いをのせて開発された『VRお出迎え』はその問題を抜本的に解決した。勿論自分の部屋のドアの前に立った時にHMDを装着してもいいのだが、より臨場感を出すために個人的にはも最寄の駅を降りた時、あるいは一日中装着したままでも良いかもしれない。たったそれだけの手間さえ惜しまなければ、部屋に入った時に「誰もいない」という情況は回避できる。「ただいま」といえば「おかえり」と帰ってくる。そんな当たり前が担保された毎日を一回経験してしまうと、もうあの味気ない日常にもどることは難しいだろう。評価したいのは単に生活に安らぎが得られるというだけではなく、毎日誰が「お出迎え」してくれるのかにランダム性を絡めた点にあると言える。スクリーンショットは終電まで残業だった日に「が子を食らうサトゥルヌス」が出迎えてくれた時のものである。その時は数時間死闘が繰り広げられた上に結局過労で入院してしまったのだが、このように油断するとどこかへ「お見送り」されてしまう部分も含めてこのゲームの醍醐味といえるだろう。
By Nobuhiko Nakanishi
10年越しの大作、『霊長流離オクルトゥム(仮)』
Willから発売されたばかりのノベルゲーム『霊長流離オクルトゥム(仮)』をプレイしています。名作『CROSS†CHANNEL』から14年、傑作『最果てのイマ』から12年。発売前のプレス記事のとおり、本作で描かれる主人公の境遇は、ハードモードを越えたインフェルノモード。どうして彼がこんなにも深い穴ぼこに落ち込んでしまったのか――その過程をつぶさに描く第二章は、完全逆張りのデウス・エクス・マキナがこれでもかと運命を悪い方に傾けまくっています。
シナリオを担当した田中ロミオ氏によれば、「開発にこれだけの時間がかかったのは、環境というより世相が原因」。その理由は、「10年かけて、現実世界の労働環境がハードモードからインフェルノモードに移行したから」とのこと。企画当時は、「ここまで厳しく理不尽な設定は受け入れられない」と無下にされたことも多々あったようですが、近年になってやっとその正当性が評価されたようです。このようなタイプの作品が日の目を見ることを素直に喜ぶべきなのかどうか迷いますが、ひとりのファンとしては無事発売されて何よりです。米国アマゾソでは、ジョージ・オーウェルの『一九八四年』が3ヶ月連続で書籍部門のベスト・セラーを保持していますが、日本アマゾソのビデオゲーム部門では本作が堂々の一位をマークしています。
By Shohei Fujita
グール差別問題とスーパーミュータント至上主義
『Fallout』シリーズの最高傑作といえば、スピンオフでありながらロールプレイの奥深さで本家を凌駕した『Fallout: New Vegas』。Obsidian Entertainmentが再び手がけた最新作『Fallout: New Orleans』を一足先にプレイしています。旧シリーズから開発に携わる者たちから脈々と受け継がれてきた遺伝子。この日をどんなに待ち望んだことでしょう。物語の舞台はタイトルが示すとおり同社が拠点を構えるルイジアナ州ニューオーリンズです。
『Mafia III』でも描かれたように、ここはアメリカ史上もっとも古い歴史を持つマフィアの本拠地としても知られる州南部最大の都市。本作でもスーパーミュータントやグールのファミリーが壮絶な縄張り争いを繰り広げています。また、200年にわたって人間から虐げられてきたグールによる公民権運動や、彼らを奴隷にするスーパーミュータント至上主義の秘密結社など、人種差別を色濃く描いた作風が特徴です。ひょんなことから頭を撃ち抜かれるも一命を取りとめた名もなき運び屋の主人公は、謎の権力者ミスターニューオーリンズの足跡を追う。まあ全部ウソなんですけどね。
By Ritsuko Kawai
編集長の仕事は土下座から始まる
いやーここ最近は暇すぎて、ビールを片手に記事をチェックしながら大作ゲームをズバズバと攻略している日々です。数百本あった積みゲーは脅威のゼロ(笑)。しかし今週なにが押しかと聞かれると『DOGEZA Simulator』ですね。ひょんなことからとあるWebメディアの編集長になった男が、とにかくあっちこっちに迷惑をかけてDOGEZAし続ける。会社にDOGEZA、編集部にDOGEZA、ライターにDOGEZA、取材先にDOGEZA、妻にDOGEZA。そして4141年44月11日午前44時11分、偽りの神「エ・アプーン」に向かって自分の生き様についてDOGEZAした編集長の身体は、3つの土下座逆三角形によって構成された「ドゲザフォース」の力で情報量子化し、ゲーミングPCやコンシューマー機が接続された災いのディスプレイの中に引き込まていく。いくつもの異世界をDOGEZAしながらわたり歩く編集長。歴史の過ちによって生み出された機械獣にDOGEZAして喰わないでと懇願し、ディストピア未来の100人のバトルロワイヤルで放たれる銃弾をDOGEZAステップのみで回避し続け、100年前に発生した厄災の原因人物ガン・ノーンへDOGEZAを捧げて怒りを鎮める。そして漂流し続けること数億年、編集長が最後に辿り着いたのは、大人となった生きとし生けるものすべてが謝罪とDOGEZAを繰り返す地獄のような世界、通称“リアルワールド”だった……のはどうでもいい。カレンダーを見ると3月31日夜。まずい!エイプリルフール企画が間に合わない!みんな急いで書いて!大丈夫大丈夫!編集長がDOGEZAするから!
来年はもっと早く企画します……(ライターにDOGEZAしながら)。
By Shuji Ishimoto
※ 「Now Air Gaming」は編集長の無茶振りで始まった4月1日夜向けのゆる~いエイプリルフール企画です。明日からは通常通り、実際にプレイした「Now Gaming」、エアプレイではないゲームの紹介記事&レビュー、そして最新作のニュースや発売前の作品の情報を伝える「Indie Pick」などをお届けしていきます。