『アークナイツ:エンドフィールド』のキャラを『アークナイツ』の文脈を踏まえて「もっと深く」知ってみよう。ラストラストやザイヒなど氷メンバー編
今回はその一例として、筆者の趣味で恐縮だが『エンドフィールド』の寒冷編成に見る『アークナイツ』要素に付いて紹介したい。

HypergryphおよびGRYPHLINEが手がける『アークナイツ:エンドフィールド』は、『アークナイツ』を手がけるHypergryphの3Dリアルタイム戦略RPGだ。『エンドフィールド』は『アークナイツ』の未来に位置する作品となっており、作中でも『アークナイツ』の舞台であるテラから『エンドフィールド』の舞台であるタロIIへの移民から始まった歴史が語られている。
『アークナイツ』に引き続き存在する再旅者たちだけではなく、今回新たに登場したオペレーターたちのプロファイルや武器に付随するフレーバーテキストにもそれは見て取れる。今回はその一例として、筆者の趣味で恐縮だが『エンドフィールド』の寒冷編成に見る『アークナイツ』要素に付いて紹介したい。
なお、本稿では『アークナイツ』のネタバレを一部含んでいるので、了承してほしい。また『アークナイツ』における種族名についてはわかりやすさを考慮し「◯◯族」と記載している。
現バージョンでタンタンが実装されたことにより寒冷編成は大きく強化されているが、今回はタンタン実装前に筆者が愛用していたイヴォンヌ、ラストライト、ザイヒ、ギルベルタの編成について語ってみたい。このパーティのメンバーがお気に入りなのは、見た目はもちろん構成メンバーから多くの『アークナイツ』要素を読み取ることが出来ることにあった。今回はこの4人の『アークナイツ』要素について語ってみたい。

ギルベルタについて

集敵と弱体化を付与するサポーター&デバッファーとして寒冷編成の重要な存在となるギルベルタ。物語イベント「トランスポーターからの手紙」でも語られたように、彼女は再旅者であり、所属も「ロドスアイランド」とプロファイルに記載されている。『アークナイツ』では主人公であるドクター達が所属する組織であり、暮らす場所であったロドスアイランド。だが『エンドフィールド』では詳細は不明となっている。
ギルベルタのプロファイルに登場するワルファリンというキャラクターは『アークナイツ』にもオペレーターとして実装されており、メインストーリーにも登場するのだが、長命な存在で当時から生きている模様である。再旅者になる前のオペレーターたちを知っているようで、自分の“前世”を知っていることに対して複雑な思いを抱いていそうなところはギルベルタのプロファイルにも書かれている。『エンドフィールド』でロドスについてこれ以上描かれる事があるのか気になるところだ。


『アークナイツ』時代のギルベルタ=アンジェリーナがどんな活動をしていたかについては、『アークナイツ』の公式コミック「トランスポーター アンジェリーナの漫遊記」が詳しい。『エンドフィールド』から始めて彼女が気になったという人は是非ご一読いただきたい。
イヴォンヌについて

寒冷編成ではメインアタッカーとして活躍しているイヴォンヌ。彼女は『エンドフィールド』固有のキャラクターであり『アークナイツ』とつながりはないように見える。だが、彼女との会話にイヴォンヌはガリアの名前であり、父がその血筋を誇っているというものがある。
ガリアとは『アークナイツ』世界の時間軸において他国との戦争によりすでに滅びた国家である。『アークナイツ』本編ではそのガリアの最後の皇帝がコルシカ1世ということが語られるのだが、イヴォンヌの会話には「なんとか一世」が登場する。本当に皇帝の血筋なのかどうかは不明だが、『アークナイツ』とのつながりを感じさせてくれる。

なお、ガリアはすでに滅びた国のため『アークナイツ』ではほとんど語られない。元ガリアの国民と想像できるキャラクターが登場する程度である。

ザイヒについて

寒冷編成の寒冷付与係兼ヒーラーとして大変重要な役割を果たすザイヒはラテラーノからタロⅡに派遣された技術研究組織「静語伝道会」の一員。彼女もまた『エンドフィールド』オリジナルのキャラだが、その独特な立ち位置で『アークナイツ』と『エンドフィールド』のつながりと相違点を同時に表すキャラクターとなっている。
ザイヒは『アークナイツ』ではラテラーノという国はサンクタという種族が作り上げた国であり、サルカズ族はこの国への立入が禁止であった。サンクタ族とサルカズ族が長年対立していたためだ。『アークナイツ』のイベント「命ある者の旅」でサルカズとサンクタは祖先を同じくする存在だということ、そしてサンクタが信仰していた神が機械であったことが判明したのだ。

『アークナイツ』ではそこから先の物語は描かれておらず、ラテラーノの信仰がどうなったのか、サンクタ族とサルカズ族の関係がどうなったのかは明らかになっていない。だが、技術研究組織と言う割に「静語伝道会」という宗教団体のような名前だし、ザイヒはシスターのような服を着ている上に頭にサンクタ族を模したような輪をつけている。また、ザイヒのプロファイルを見るとサンクタ族が崇拝していた神と同様「法」というものがあることがわかるのだ。神が機械仕掛けであったことを知ったラテラーノの人々が新たに機械を信仰するようになったのでは?と想像させるものがザイヒからうかがえる。

ラストライトについて

ラストライトは、寒冷編成のメインアタッカー級である。なお筆者の編成では寒冷付与係であった。彼女はサルカズ族の中でもナハツェーラーという氏族の出身である。ラストライト自体は『エンドフィールド』での新キャラクターであるがナハツェーラー族は『アークナイツ』に複数のキャラクターが主に敵として登場する。ナハツェーラー族はプロファイルにもある通り、サルカズの中でも生物の死を力に変換できる特殊な存在。『アークナイツ』のメインストーリーに登場するナハツェーラーの王・ネツァレムは戦場で死んだあらゆる魂を糧にできた。

なお『アークナイツ』では特殊なサルカズの氏族は「王庭」と呼ばれていたが、ナハツェーラーも王庭の1つである。ラストライトが「戦争王庭の姫」を名乗らされているのは、どうもタロIIのサルカズ族たちが“その血筋を商売に利用している”のではないかという見立てがある。『アークナイツ』においてナハツェーラーは包帯のような複数の布が巻き付いた姿をしており、ラストライトも同様にひらひらした布が多めの衣装であり、ナハツェーラー族らしさを醸し出している。

また、彼女の武器「クラヴェンガー」の資料にある文章はタロII開拓当初のサルカズ族の話となっている。「魔族野郎」と蔑むように(風習として)教えられるサルカズ族は、まさに差別を受けていたテラのサルカズである。『アークナイツ』に置いてもサルカズ族差別は執拗に描かれ、医術を持って人々を救う存在ですら「あんなにいい子がよりによってサルカズ族とは」と悪気もなく住民に言われたりする世界なのだ。


武器に記載された資料の楽しみ
武器といえば、ほかの武器のフレーバーテキストからも『アークナイツ』の知識を感じる事ができる。たとえば星5大剣「最後の声」は『アークナイツ』で行われた騎士競技についての記述から始まる。この中に出てくる「黒騎士」と「耀騎士」はそれぞれ『アークナイツ』のオペレーター「デーゲンブレヒャー」と「ニアール」として実装されている。



過去に存在した騎士たちのことを語っていた文章は、次の段落からおかしなものになっていく。そこに記述されているのは『アークナイツ』のイベント「狂人号」に登場する「最後の騎士」についてのものだ。最後の騎士はイベントでも狂気に囚われ海に抗い、海へと消えていく謎の存在であり、その正体はいまだに明確ではない。


この「最後の声」のフレーバーはとくに色々な『アークナイツ』ネタが詰め込まれているが、他にも武器のフレーバーテキストには興味深い物が多く、是非一読をオススメしたい。
こうしていくつかの要素を並べてみると、『アークナイツ』において緻密に作り上げられた世界観を、単なるファンサービスに留めず、新たな物語の血肉として継承しようとするスタッフの思い入れを感じる。背後に透けて見えるのは、かつてテラで生きた者たちの足跡だ。滅びた国家であるガリア、サルカズ族の王庭についての物語、そして変質したラテラーノの信仰などなど。それらはタロIIという新天地においても、形を変えながら確実に息づいている。効率的な攻略も本作の醍醐味だが、時にはふと足を止め、手元の武器やオペレーターの言葉に耳を傾けてみてほしい。テキストの1行、スキルの名1つに「かつての物語」を見つけたとき、あなたの目の前に広がるタロIIの違う一面が見えてくるはずだ。
『アークナイツ:エンドフィールド』はPC(公式サイト/Epic Gamesストア)/PS5/iOS/Android向けに基本プレイ無料で配信中だ。
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