中世ヨーロッパを舞台にデュエルや攻城戦に挑む最大64人のマルチプレイ・スラッシャー『Mordhau』が開発中

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第399回目は『Mordhau』を紹介する。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第399回目は『Mordhau』を紹介する。

本作は中世ヨーロッパを舞台とした、一人称視点の近接コンバットゲームだ。自然かつ粗暴な戦闘システムを土台とし、プレイヤースキルを重視した競技性の高いマルチプレイ体験を目指している。身体の各部位がなめらかに切り落とされていく様子や、切り口からほとばしる血の海といった、Unreal Engine 4を活用した上品なゴア・アニメーションも魅力のひとつである(ゴア表現はオン・オフの切替が可能)。

ゲームモードは1対1のデュエルからFFA(フリー・フォー・オール)、TDM(チーム・デス・マッチ)、そのほか未公開のゲームモードが用意され、小規模戦から最大64人の大規模戦までを味わえる。バリスタやカタパルトをつかった攻城戦も忘れてはならない。なお本作はオンライン・マルチプレイ向けのタイトルであり、シングルプレイ・キャンペーンは予定に含まれていない。

『Mordhau』を開発しているのは、スロヴェニア発のインディーデベロッパーTriternion。彼ら自身も『Chivarly: Medieval Warfare』『Mount & Blade』といった中世スラッシャー系の作品を好んでプレイしており、本作ではそうした作品の影響が強く見られる。『Mordhau』という単語は、ドイツ流の剣術用語で、剣を逆さに持つスタンスを指している。両手で刃の部分を持ち、つばや柄頭の部分を使った殴打系の武器として扱う。こうしたイレギュラーなスタンスすら実践できるという、本作でプレイヤーに与えられる自由度の高さを示す言葉としてふさわしい。

プレイヤーはゲーム開始時からキャラクターの性別、人種、ルックス、クラス、武器・防具を自由に選択できる。武器の種類は長剣、片手剣、斧、鎌、ポールアックス、スピアなど多彩である。防具は重さによって移動速度のペナルティが課される。布製の衣類は防御力が低いかわりに、軽やかに動き回れる。軽装備は殴打系の攻撃に強いが、剣やスピアで刺されると弱い。重装備の鎧は高い防御力を誇るが、移動速度が遅く、殴打系の攻撃に弱い。武器・防具のデザインには幅広いカスタマイズ・オプションが用意されており、さまざまなパーツ・柄を組み合わせることで、自分だけの長剣や鎧をつくりあげられる。

ゲームプレイの中核となる近接コンバットも自由度が高い。プレイヤーはカメラの向きを変えることで身体をねじって攻撃を避けたり、剣を振るう角度を細かく調整できる。ただしマウスの感度を高めることで高速回転アタックを放つといった非現実的かつアンフェアな動きは出せないよう調整されている。

またコンボ技、ブロック、パリィ、フェイント(攻撃のキャンセル)、キック(スタン攻撃)、カウンターといった近接戦闘の基本的なメカニックはもちろんのこと、同ジャンルの戦闘システムを応用・発展させることで、中世ヨーロッパを題材とした一連の近接スラッシャージャンルの進化を狙っている。武器のスタンスも複数用意されており、プレイヤーのスキルに応じてハイスピードな戦闘を味わえる。

これはつまり、新規参入者と熟練者のスキル差が歴然となることを、ゲーム性として受け入れるということである。スキル差により初心者が圧倒される様は、『Chivarly: Medieval Warfare』でも顕著であり、同ジャンルの特徴といえるだろう。なお瞬時の判断が生死を分かつ作品であるため、P2Pではなく専用サーバが用意される。

『Mordhau』は近接戦闘をメインとした作品だが、プレイヤーには投げナイフ・弓矢といった遠距離からの攻撃手段も与えられる。また詳細は明らかになっていないが、騎兵戦も用意されるようだ。戦いの舞台となるマップも、砂漠、森林地帯、雪山などバリエーション豊富である。

3月9日にスタートしたKickstarterキャンペーンは順調で、初期目標資金額の8万ドル(約900万円)はキャンペーン開始から24時間以内にクリアしている。ストレッチゴールとして設定された12万5000ドルも本稿執筆時点(キャンペーン3日目)にして達成間近である。

『Mordhau』の対象プラットフォームはPC(Steam)、製品版の価格帯は20ドルから30ドルの間で検討されている。今後の予定は、2017年8月頃にアルファテストを開始し、2018年3月頃の正式リリースを目標としている。なおSteam早期アクセス・プログラムの利用は想定されていない。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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