データセンター管理シム『Data Center』、“本業”からも熱い注目。ケーブル配線にIPアドレス入力まで任される、施設丸ごとワンオペ保守
データセンター管理シム『Data Center』のデモ版が好評を博している。

デベロッパーのWasekuは1月31日、データセンター管理シム『Data Center』のデモ版を配信開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、ゲーム内は日本語表示に対応する。本作のデモ版は好評を集めているほか、その内容から、“データセンター業務”を学べるゲームになるのではないかと一風変わった注目も寄せられている。
『Data Center』は、データセンターを構築・管理運営するシミュレーションゲームだ。データセンターとは、インターネット用のサーバーやストレージなどの機器を集約し、安定的に運用するための施設を指す。本作では、何もない空間にラックやサーバー、スイッチといった機器を設置し、ケーブルで接続してネットワークを構築。顧客と契約を結びながら施設を拡張していく。

ひとつのサーバーは機械を設置するラック、サーバー本体、サーバー間の通信をまとめるスイッチなどの種類に分けられており、オンラインショップで購入した設備をひとつずつ組み立てる。それぞれを繋ぐケーブルや電源の切り替えも必要だ。チュートリアルではパーツごとのおすすめの設置位置も示され、ゲームを進める中でサーバー構成の基礎を知ることができるようになっている。
設備を整えたあとは顧客との契約へ進む。顧客ごとに必要な容量や要件が異なり、単に機材を並べるだけでは契約は成立しない。IPアドレスの入力やアプリの設定をおこない、機器同士を同一ネットワーク上で正しく動作させることではじめて通信が開始される仕組みだ。要件を満たすと、通信が視覚的なエフェクトとしてケーブル内を流れ、時間経過に応じて収益が発生する。
ちなみにサーバー構築やIPアドレス設定に関するヘルプには、現実のネットワーク分野で使われる専門用語が並ぶ。ゲーム向けの簡単な説明というより、簡易的な解説書のような雰囲気だ。


運営面では、機材の寿命(EOL)や故障といった要素も用意されている。突然の不具合に備え、要件を満たすだけでなく、余裕をもった構成にして冗長性を確保することも重要になるだろう。契約達成などで得た経験値を使えばショップの品ぞろえも拡張され、より高性能な設備の導入も可能。パーツの新規導入と交換を繰り返しながら、施設全体を維持・拡大していく。

本作のデモ版は1月31日にSteamで配信されると、ユーザーレビューは本稿執筆時点で161件中83%が好評の「非常に好評」ステータスを獲得。現時点ではデモ版ということもありできることは多くないものの、パーツ単位でサーバーを組み上げる構築要素や、専門用語を用いた本格志向のデータセンター管理というコンセプトが評価されているようだ。
ちなみにレビューでは、実際にサーバー構築や運用に関わっているとみられるユーザーの反応も目立つ。データセンター運営の空気感をうまくゲームに落とし込みつつ、タスクに追われず、落ち着いてサーバーを組んだり配線したりできる点も好評につながっている。
一方で、ゲームプレイの中心が機材設置と数値入力になるため単調に感じるという意見もある。将来性を感じられるコンセプトゆえに、より踏み込んだ機能を求める声も出ているが、これまたレビューや要望にはネットワーク関連の専門用語が多く並ぶ。たとえば「ルーティングやIP割り当て、ホップトレーシングなどを扱えるコマンドターミナルの実装」や、「SFP+やSFP28といったモジュールに対応するスイッチの追加」を望む声など、かなり具体的な要望も見受けられる。

なお本作は、ゲームとしての評価に加え、現実のデータセンター業界における人材不足の文脈でも注目されている様子。近年は生成AI需要の高まりを背景にデータセンター需要が拡大しており、業界全体で人材の確保・定着が継続的な課題だという。昨年の調査によれば、データセンターの運営事業者のうち約3分の2が、人材の採用や定着に苦労しているとの報告もあった(Uptime Institute)。
SNS上では、視覚的にわかりやすく楽しみながらサーバーの構造を学べる『Data Center』が、データセンターの特性や仕組みについて教育する最良の方法であるというユーザーの投稿が拡散され、現時点で3万6000以上のいいねを獲得。データセンターに携わる人材の確保に役立つのではないかと話題となっている。
ただし、現実の業務との違いには注意も必要だ。実際のデータセンター運営では、より細かなネットワーク設計や電力系統の管理、空調による温度・湿度管理、24時間体制の監視、突発的なトラブルへの対処、セキュリティ対策、顧客対応など、業務領域は幅広い。
現時点の『Data Center』は、機材設置・ケーブル接続・基本的なネットワーク設定といった要素を中心にまとめた作品であり、現実の業務をそのまま再現しているわけではない。またSteamストアページの説明でも、本作は実際のデータセンターのような複雑なコマンド操作を前面に出すのではなく、サーバーの稼働音や大量の通信が流れる様子を眺めながら運営を楽しむ、比較的穏やかなゲームプレイが打ち出されている。今後の拡張によっては人材育成に活用できるほどの本格的なシム要素が導入される可能性もあるものの、あくまでゲームであり、専門用語も交えつつ職業を再現した雰囲気を楽しめる作品といえるだろう。
いずれにせよ、本作には社会情勢も交えて風変わりな注目も寄せられているようだ。昨今さまざまなかたちで耳目を集めているデータセンターの仕組みを気軽に体験できるゲームとして、注目作といえるかもしれない。
『Data Center』はPC(Steam)向けに3月31日配信予定。ゲーム内は日本語表示に対応する。現在は一部要素が体験できるデモ版が配信中だ。
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