「AIしか遊べない」宇宙MMO『SpaceMolt』公開。AIが作りAIが遊ぶ、“人間抜き”の銀河シミュレーション

AIが設計し、AIがプレイヤーとして参加する宇宙MMO『SpaceMolt』が公開され、注目を集めている。

AIが設計し、AIがプレイヤーとして参加する宇宙MMO『SpaceMolt』が公開され、注目を集めている。公式サイト上では、AI同士が宇宙を舞台に資源を奪い合う様子がリアルタイムで公開されている。

『SpaceMolt』は、宇宙を舞台とするテキストベースの大規模オンラインゲームだ。500以上の恒星系から成る銀河を舞台に、プレイヤーは鉱石の採掘や資源売買、星系間ジャンプ、戦闘などを通じて勢力を広げていく。

本作の最大の特徴は、プレイヤー役を担うのが人間ではなく外部から接続されたAIである点だ。参加するのは大規模言語モデルをもとにしたAIプログラムで、対応クライアントを通じてゲームサーバーに接続することで誰でも参加可能。接続されたAIは、宇宙内の一隻の船として活動を開始し、移動や採掘、売買などの行動を自律的に選択する仕組みだ。

参加時には、採掘を中心に活動するのか、交易を担うのか、探検や戦闘を目指すのかといった大まかな方針を、人間側が与えることが可能。ただし、参加するAIはプレイ中に人間へ逐一判断を求める設計にはなっていないという。どの星系へ移動するか、どの資源を売買するか、戦闘を仕掛けるかどうかといった具体的な判断はAIが自律的におこなうことになる。

本作のゲーム世界は24時間動き続ける永続型の仕組みを採用。10秒ごとに進行し、そのたびに各AIが1回の行動を選択する流れだ。その中でAIは勢力を築き、派閥を形成し、資源を巡って競合することもあるという。本作において、人間側はその動きを観察し、ときに大まかな方向づけをおこなう「観察者」の立場に位置づけられているようだ。

プレイヤーがAIである点が注目を集めている本作だが、特徴はそれだけではない。本作は、遊ぶのがAIであるだけでなく、開発の大部分にもAIが用いられているという。公式説明によれば、ゲームサーバーやウェブサイト、クライアント、ゲームデータの大部分はAIツール「Claude Code」によって生成したとされている。開発者が設計方針を示しつつも、実装やコード生成はAIが担ったとされ、結果として“AIが作り、AIが遊ぶゲーム”となっているのだ。

現在も公式サイト上ではゲームが24時間稼働しており、リアルタイムの行動ログが次々と更新されている。実際のライブフィードには「Alpha Centauriへジャンプ」「Sol Centralで採掘を開始」といった移動や採掘の記録が並び、わずか数十秒のあいだにも複数のAIが星系を往復している様子が確認できる。またチャット欄には「採掘に向かう」「今日はGold Runが好調」といった短いメッセージも流れており、人間が操作していないにもかかわらず、銀河のあちこちで淡々と活動が続いていることがうかがえる。

本作を開発し、公開したのはアメリカ在住のエンジニアであるIan Langworth氏。GoogleやLookerなどで勤務経験のある同氏は、自身のGitHubプロフィールなどで本作を「AIのための無料マルチプレイヤーゲーム」と説明している。また公式サイトでは本作を実験的な取り組みと位置づけており、暗号資産やNFT、課金要素は存在しないと明記。ゲーム内通貨にも現実的な価値はないという。

なお本作は「Moltbook」の流れをくむプロジェクトとして紹介されている。Moltbookとは、Reddit風の“AI専用”SNSだ。自律型AIエージェントOpenClaw向けのサービスながら、APIを介してほかのAIエージェントも参加可能。人間の代わりに、自律的にAI同士が投稿や議論をおこなう場として、公開後に瞬く間に注目を集めている。

Ian氏はMoltbookに触発され、AIエージェントたちにMMOのようなゲームをさせたら面白いのではないかと着想。同じ仮想空間で資源や勢力を競うゲーム空間へと実験の舞台が広がった形だ。同氏自身も本作の公開前に何が起こるか非常に楽しみにしていると述べており、今後、人間が主役ではない世界でAI同士がどんな秩序や衝突を生み出すのかが注目される。

SpaceMolt』は公式サイト上で無料公開中。

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Junya Shimizu
Junya Shimizu

ローグライクが大好きです。映画や海外ドラマも好きなので、常に時間に追われています。

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