欧米人視点で見たメカゲーム – その1『アーマード・コア 3』。『アーマードコア』シリーズへの信頼を取り戻してくれた傑作
『アーマード・コア3』を取り上げ、本作がどのようにして私のシリーズへの信頼を取り戻してくれたのかを語っていきたいと思います。

はじめまして。オリー・バーダー(Ollie Barder)と申します。イギリス出身で、現在は東京にてゲームデザイナーおよびジャーナリストとして活動しております。メカゲームを 30 年以上プレイしてきたことから、同ジャンルを専門分野としております。
今回が AUTOMATON での初の連載となりますので、その幕開けとして『アーマード・コア3』を取り上げ、本作がどのようにして私のシリーズへの信頼を取り戻してくれたのかを語っていきたいと思います。
三重での出会い、期待以上の出来
2002 年当時、私は三重県に住んでおり、『アーマード・コア 3』は 4 月に発売されました。かなりの田舎に住んでいたため、自転車で気軽に行ける場所といえば、数マイル先のセブン-イレブンだけでした。そのため発売日当日の夜遅くまで起きて、深夜 0 時ちょうどにお店へ向かい、購入してきたことをよく覚えています。
発売後の数ヶ月間は、まさに夢中になってプレイし、あらゆる要素を解き明かすことに没頭
していました。『アーマード・コア 2』および『アーマード・コア 2 アナザーエイジ』が少々期待外れだったこともあり、私は大好きだった初代プレイステーション作品のような、よりスピーディーなゲーム性への回帰を『アーマード・コア 3』に期待していました。しかし、実際にプレイしてみると、その期待をはるかに上回る出来でした。
『アーマード・コア 3』は、「オーバードブースト」や「エクステンション」「インサイド」「ラジエーター」など、第 2 世代の『アーマード・コア』作品から受け継いだ要素を発展させていましたが、それに加えて、使用済みの武器をパージできたり、従来標準とされていたレーザーブレードやシールドだけでなく、左腕に別の武器種を装備できるようにもなっていました。
さらに本作では、4人同時対戦の新たなマルチプレイ方式が導入されており、これが本当に素晴らしいものでした。また「イクシードオービット」を搭載した新しいタイプのコアも実装されました。これはエネルギー弾を発射し、ドッキング状態で徐々に回復していく仕様で、軽量コア向けの高速マシンガン系から、重量級コア向けの低速かつ高威力弾まで、3 種類の武装タイプが用意されていました。
日本に住むことで、欧米で博士に
私自身は、中量級の機体が最も好みだったためずっと愛用していました。この重量帯なら、左腕を実際の火力運用に充てられるうえ、弾切れの心配がない予備武装も備えられるという点が非常に魅力的だったからです。日本版のゲームは北米版よりもおよそ 5 か月早く発売されていたため、当時の私は、さまざまな『アーマード・コア』系フォーラムに出入りしながら、オンラインでいち早く本作について語り、質問に答えることができた数少ないプレイヤーの一人でした。
第 2世代作品の対戦環境における悪夢のようなバランス崩壊、すなわち高いダメージに加え、相手をその場でスタンさせてしまう「KARASAWA-MK2(シリーズ恒例武器、愛称カラサワ)」の問題を受けて、『アーマード・コア 3』のパーツも適切に調整されていないのではないか、と多くのプレイヤーが懸念していました。
当時の日本とは異なり、北米のプレイヤーは大会で特定のパーツを制限することはせず、「ゲーム内に存在するのであれば対戦で使って当然」という考え方が主流でした。幸いにも、新しいカラサワははるかに常識的な性能となっており、適切に扱うにはしっかりとした技量が求められました。その代わりに、焦点はライフルや特にマシンガンといった実弾兵器へ移り、これについては北米の友人たちから非常に好評でした。
もう一つの大きな変化として、過去作に存在した隠し要素「強化人間」とその強化段階は、「OP-INTENSIFY」と呼ばれる新しいオプションパーツに統合されました。装備するとオプションパーツ枠をすべて使用し、特定のミッションで一定の条件を達成することで“育成”されていくという仕組みになっていました。このシステムは非常に興味深く、さらに対戦時には強化人間相当の能力をオフにできる点も評価されていました。
とはいえ、この点については少々奇妙でもありました。というのも、北米のファンは「ゲー
ム内に存在するパーツはすべて対戦で使うべきだ」と考えていた一方で、強化人間由来の一部の能力についてはしばしば批判が寄せられていたからです。そのため、OP-INTENSIFY の導入によって「使わない」という選択肢が生まれ、こうした議論に一つの解決策を提示したと言えるでしょう。
また、北米版発売の数か月前には、アメリカのゲーム雑誌Tips & Tricksの編集者の方から連絡をいただき、助力を求められたこともありました。ゲーム内の言語面で苦労されていたため、私がサポートしましたが、それに加えて私の 100%クリアのセーブデータを新しいメモリーカードにコピーして郵送することも申し出ました。そのお礼として、彼は 2002 年 10 月号(北米発売の 1 か月前)の最初の特集記事の中で、私が制作した機体デザインのひとつを掲載してくれました。

振り返ってみると、本作は第2 世代の作品に比べて動作面でも大幅に改善されていました。第2世代では大量のミサイルを発射すると深刻なフレームレート低下が起きることが多かった一方で、『アーマード・コア 3』ではその問題が大きく緩和されていました。加えて、河森正治氏によるメカデザインも、ゲーム内モデルとしての完成度が大きく向上していました。
ストーリーもより重層的でミステリアスとなり、地下世界を舞台に、世界を支配する邪悪な人工知能が存在するという設定は、初代プレイステーション時代の作品に通じる雰囲気を感じさせるものでした。総じて言えば、『アーマード・コア 3』は、同じくPlayStation 2 で展開された第 2 世代の初期作品と比べて、よりスピーディーで洗練され、操作精度も向上したゲームでした。また当時、日本では USB モデムを用いたオンライン対戦も楽しんでいたのですが、ラグが非常に厳しく、今思えば、その後数十年でオンラインゲームがどれほど進化したのか感慨深いものがあります。
個人的には、シリーズ中で PlayStation 2 向けとしてもっとも優れた作品は『アーマード・コア 3サイレントライン』だと考えていますが、『アーマード・コア 3』は第2世代作品で落胆した気持ちを再び前向きにさせてくれた、非常に重要な作品でした。ただし付け加えるなら、2009 年に発売された PlayStation Portable版は正直に言って完全にお勧めできず、プレイする価値はまったくありません。
スコア:9/10
もし私の各『アーマード・コア』作品に対する感想にご興味がありましたら、私のサイト「MechaDamashii」に掲載しているレビューをご覧いただければ幸いです。また、「TimeExtension」向けに執筆したシリーズ総括記事も公開されています。さらに、最新作『アーマード・コア VI』については、Forbes にてレビューをご覧いただけます。私は全ての『アーマード・コア』作品を実際にプレイしクリアしており、その内容は YouTube の再生リストにもまとめてあります。
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