『鳴潮』Ver3.0後半ストーリーを振り返ろう。科学系後輩キャラ「モーニエ」と過ごす青春の日々
本稿では、2026年1月15日に配信された新ストーリーの三章二幕「二度目の日の出へ」の感想を語りたい。

KURO GAMESの手がける『鳴潮』の最新Ver3.0では、持たざる者による葛藤とそれを乗り越えていく成長が表現されている。普通の暮らしに憧れるリンネーと、義足でも大地を踏みしめ宇宙を目指していくモーニエといった普通ではない暮らしを強いられてきたキャラクターが普通を目指していくところが、健気。そうしたキャラクターたちの成長していく様子を見られるのがVer3.0の醍醐味だ。
本稿では、2026年1月15日に配信された新ストーリーの三章二幕「二度目の日の出へ」の感想を語りたい。プレイ時間にして3時間に満たない短めのストーリーだったが、Ver3.0の舞台であるラハイロイの地の謎が少しずつ解き明かされていく重要なストーリーだった。
モーニエの直面した危機は回避しつつも、ラハイロイの地に今後訪れる危機の伏線が張られたといっていいだろう。なお、本稿は『鳴潮』Ver3.0後半のネタバレを軽微に含んでいる。クリアした人に振り返るように読んでいただけると幸いだ。
教授からのまさかの「先輩」呼び
モーニエは幼く見えるが、れっきとしたスタートーチ学園の教授だ。それも並大抵の教授ではなく、科学的知識が求められる議題についてはモーニエの判断は最大限尊重されるほどの才媛だ。学者や教授としていくらモーニエが優れているかといっても、彼女はそれを誇示することはしない。モーニエの目的はスタートーチ学園の存在するラハイロイを安全に守ることであり、そのためにすべてを捧げている。
モーニエのキャラクター設定からすると、専門用語の飛び交う彼女の台詞は仕方がないかもしれない。しかしながら、あまりに彼女の台詞には専門用語が多すぎる。Ver3.0の特徴であるSF世界観が本格的に表現されていく感覚はあるものの、難しすぎて理解するのが困難になってしまう。さらに、モーニエはこの手の科学技術の話が大好物であり、理解の難しい用語を連発で早口でまくしたてられるのには閉口してしまった。
学者肌のキャラクターを表現したかったのであることはうかがい知れるものの、主人公たちを置いてひとりの世界に没頭しがちだ。SF世界観を深めるのにモーニエは必要不可欠な存在だが、彼女から放たれるテキストは非常に難解である。

どうやらモーニエと主人公は、かつては知り合いだったようだ。主人公は世界を守るために記憶を消しており、その影響からモーニエのことは覚えてない。モーニエからすれば主人公に認められるために若くして教授になったにも関わらず、それをまったく意に介さないのは寂しそうだ。それでも、表面上は教授と生徒の関係性を貫こうとするところにモーニエの優しさと生真面目さがうかがい知れる。
そうしたモーニエの取っ付きにくさを考慮しても、主人公にだけでは弱さを見せるところがいじらしい。ラハイロイの地を守る調査の名目で、モーニエは主人公を「先輩」と呼ぶようになる。この「先輩」という呼び方にモーニエの主人公への特別な気持ちが凝縮されており、主人公が記憶を失う前の関係性を想像させるのに充分だった。少々無理を押し通してでも、モーニエが主人公を先輩と呼び続けるところに健気さを感じる。


踊れない義足、それでも漲る科学への誇り
ラハイロイは近代的な都市部もあれば、放牧をしているような穏やかな平野部も存在する。SF世界観でありながらも自然豊かな風景をいくつも見ることが可能だ。ラハイロイは、複数の価値観をもつ民族が共生することによって成り立つ。モーニエと主人公は迫る危険に対処するために、牧歌的な生活を送るロイ一族と接触する。
ロイ人から特別に参加を許された宴において、ダンスの相手を断ったモーニエの見せた悲しみと諦めの入り混じった表情が印象的。モーニエは科学技術の結晶である自分の義足に普段は引け目を感じる素振りはまったく見せないが、普通の人と同じようにダンスを踊ることができないのは辛いことだったろう。いくら科学の力を信奉しているからといって、自分が周囲とは違う異端児として扱われるのは感じのいいものではない。モーニエ自身に非はないので恥ずかしがらないでほしい。モーニエは、新開発である義足の被験者をこなしながらもスタートーチ学園の優秀な学者なのだ。そうしたモーニエの気持ちを瞬時に察して、代わりにダンスのパートナーを務める主人公はナイス。


科学技術の発展を饒舌に語る一方で、モーニエは自分のことを積極的に話したがらない。義足のことを漂泊者に知られたくなかったということはもちろんあるだろうが、最新の義足によってもできないことがあることを見せたくないという科学者のプライドもあるのだろう。そうしたモーニエの内面は、公式YouTubeチャンネルで公開されているキャラクターPVを観ればよくわかる。モーニエの信念を知ることのできるこのPVは、ゲーム本編でも流れるようにするべきだ。本来は複雑な想いを抱えながらも前進していくモーニエの魅力が凝縮されたPVを、知らないままストーリーをプレイするのはもったいない。
それでも、モーニエは危機を乗り越えるためには、大胆な作戦も取ることができる。義足であることを忘れるほど、前へ出て研究者たちを引っ張っていく。モーニエの「神の目も機械も使えなくなったら、私たちの手で未来を作ればいいのです」という作中の台詞が印象的だ。努力を積み重ねてきたモーニエには、危機においてリーダーシップを振るえる積極性が備わっている。その根底にあるのは、人間の可能性を信じていることだ。スタートーチ学園を代表する教授として、モーニエはふさわしい人物といえよう。
また、モーニエの性格は素直で、困ったときは主人公に助けを求めることができるところは美徳のひとつといっていいだろう。もてる力を振り絞って前へ進み、倒れるときは前のめり。主人公が手を伸ばして助けようとしてくれれば、その手を取って助けを求めることもできる。こうしたことができるモーニエの所作には主人公への高い信頼がうかがい知ることができた。



Ver3.0のメインキャラクターのひとりだったリンネーとモーニエが、ラハイロイを襲う危機に協力して対処するところは人間ドラマを感じた。生まれや先天性の病気によって普通ではいられなかった2人が、大勢の人々の「普通」を守るために奮闘していく。この様子は英雄というべきものであり、それを実現できる優秀さによって彼女たちの「普通」を守り続けていくことができる。
人間は意志によって誰かを守ることができるし、本来はそこに含まれていなかった自分さえも救うことができる。リンネーとモーニエの2人が、いままさに自分の才覚と勇気によって人生を切り開いていく様子が見られるのはうれしい。彼女たちの苦悩を知っている立場からすると、その感動もひとしおだ。コンプレックスを力に変えることのできた2人の強さを実感する。

超展開気味のSF要素、黒幕の存在示唆で不穏さ高まる
ラハイロイの地を舞台にしたSF世界観は、Ver3.0後半のストーリーで深まっている。作中世界の各所で文明を導いた「歳主」に匹敵する巨大機械の「エクソストライダー」がラハイロイには存在し、それは謎に包まれている部分は大きい。エクソストライダーのために、ロイ人が長年にわたって使命を受け継いでいるようだがそれも限界だ。
ロイ人の優秀な者で構成される「ヘリオディック・シックス」は6席のうち5席が機能しておらず、「織る者」と名乗る存在が主人公に助けを求める。ヘリオディック・シックスは長年にわたって太陽の演算を行っており、氷原の地下にある街を災害から実質的に守ってきた存在だ。主人公は自身の記憶を失っているものの、何度も世界を救ってきた英雄のひとりとして考えられているため、ヘリオディック・シックスの判断は正しいのだろう。ストーリー的には妥当かもしれないが、作中の専門用語の連続的に登場するので戸惑ってしまったことも事実だ。主人公の力を借りて演算したところ、ラハイロイにはこれまでにない災いが降りかかるという。


今回のメインストーリーでは、黒幕の姿がはっきりとしなかった。具体的な目的もわからなければ、直接対決することもないので肩透かしを食らってしまった格好だ。そうはいっても、主人公に因縁の深いフラクトシデス(残星組織)が関与しているおそれも示唆された。Ver3.0は新舞台が始まったばかりであり、今後の展開に向けて伏線を張っているバージョンと考えておくのがいいかもしれない。
Ver3.1では、エクソストライダーと関係の深いと推察される「エイメス」がプレイアブルキャラクターとして登場する予定だ。エイメスが登場することでエクソストライダーのことをより深く知ることができるようになり、災厄に立ち向かう方法を追求していきたい。ラハイロイは新舞台になった当初から危険が囁かれているため、主人公たちの立ち回りが危機回避のカギとなってきそうだ。作中世界では主人公は「御者(ぎょしゃ)」と呼ばれる特別な存在であり、ラハイロイでは異邦人である現在の主人公がどのように活躍していくのかは今後のバージョンにおいて楽しみなことのひとつだ。


『鳴潮』は、PS5/iOS/Android/PC(Windows/Steam/Epic Gamesストア)向けに基本プレイ無料で配信中。これまでのアップデート履歴に鑑みると、Ver3.1のアップデートは2026年2月5日になる模様。Ver3.1前半はエイメスが限定ガチャに登場し、Ver3.1後半はリューク・ヘルセンが限定ガチャに登場すると考えられる。
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