『H1Z1』など運営する「SOE」が米投資企業に売却 「Daybreak Game」として活動継続へ
[UPDATE 2015/2/12/18:00]
Daybreak Game Companyへの転換後、同スタジオ内にて一部スタッフのレイオフが実施されたことが発表された。今回のレイオフは、当初は海外メディアKotakuが独自の情報筋より伝えていた情報で、のちにDaybreak Game自身が公式声明のなかで認めている。対象となったのはサンディエゴおよびオースチンの部署で、新スタジオへの転換に際して社内リソースの再配置が実施されたという。一方で、『EverQuest』へ長年貢献してきたDavid Georgeson氏など、主要スタッフが一斉に退社したことが明らかとなっている。
現地時間の2月2日、Sony Online Entertainment(以下、SOE)が、米国の投資企業Columbus Novaに売却されたことが発表された。今後はソニーの傘下から外れ、「Daybreak Game Company」の名でゲームの開発と運営を続けてゆく。
設立20年の老舗スタジオが売却
SOEは、1995年に設立されたSCEA傘下の「Sony Interactive Studios Amrica(SISA)」が前身となったスタジオだ。出世作である『EverQuest』のほか、『EverQuest 2』や『Star Wars Galaxies』、『Planetside 2』といったMMOタイトルを中心に開発してきた。現在はSteam早期アクセスで販売中のゾンビサバイバルMMO『H1Z1』や、2015年リリース予定の『EverQuest Next』を開発している。
SOEは買収発表のなかで、「Daybreak Game Company」へとスタジオ名を変更したと報告した。買収先となったColumbus Novaを、テクノロジーやメディア、エンターテイメント方面への投資で成功している企業だと紹介している。
Columbus Novaは2000年に設立された投資企業だ。同社の業務執行取締役Jason Epstein氏は、『Guitar Hero』などで知られるHarmonixを2010年にメディアグループViacomから買収している。HarmonixはEpstein氏によって投資された独立スタジオの形態を取っているが、Daybreak GameがCloumbus Novaと今後どのような関係を築いていくのかは、興味深い点として残る。
今回の発表に際して、SOE内でレイオフが実施されたなどの情報は噂もふくめてでていない。SISA時代から開発に参加してきたスタジオヘッドJohn Smedley氏も続投する。Smedley氏は、既存のゲーム開発や運営は継続するほか、新たにXbox One向けにもゲームを開発することをTwitter上で伝えている。
多数のオンラインタイトル開発も
SOEは多数のオンラインマルチプレイヤーゲームを手がけてきたが、出世作の『EverQuest』などもふくめ、もとはPC向けゲームを開発してきたスタジオだ。
近年はPCとPlayStation 4のマルチプラットフォームタイトルを手がけてきたが、『H1Z1』や『Planetside 2』など、多くはPC先行リリースが続いていた。ソニープラットフォームよりもWindowsでの展開が多かった点、さらに多額の開発費と運営費が予想されるMMOタイトルを複数手がけていたことを考えれば、今回のように売却される可能性は十分にあったと言えるだろう。
米国の市場リサーチ企業DFC InteligenceのアナリストDavid Cole氏も、海外メディアgameindustry.bizを通して、「PS4が順調に売れている一方で、ソニーはゲーム開発への投資を切り詰めてきた。SOEは、PlayStationプレイヤーにはあまりフィットしない巨大プロジェクトを開発していたんだ。驚きの展開ではないだろう。ソニーの現在の戦略には適していなかった」と、今回の買収劇を説明している。Wedbush SecuritiesのMichael Pachter氏も、ソニーが映画とテレビスタジオを所有しているのはブルーレイやTVの販売に繋がるからだと前置きした上で、オンラインゲームを運営するSOEはソニーの戦略に適さない存在だったと伝えた。
とはいえ、プレイヤーや既存のSOEファンが求めるのは、今後アップデートされてゆく『H1Z1』や来年発売の『EverQuest Next』の成功だろう。ビジネス的な面だけでなく、Daybreak Gameが素晴らしいゲームを生みだしてゆくことを願おう。