『LoL』コミュニティ最大のチートツール提供元が訴訟を受けて閉鎖へ、著作権侵害と不正蔓延に加担
『League of Legends』向けの外部ツールを提供する「LeagueSharp」は、ゲーム運営元Riot Gamesによる訴訟を受けて、同サービスの開発とサポートを終了すると発表した。その他の外部ツールについても同様にサービスを停止する見込みだ。Riot Gamesは昨年8月、著作権侵害および規約違反の蔓延を理由に「LeagueSharp」の管理人を提訴していた。これにより世界最大と言われた『LoL』のチートコミュニティがついに終焉を迎える。
顕著になるオンラインゲームのチートツール訴訟
「LeagueSharp」は、PC向け人気MOBAタイトル『League of Legends』(以下、LoL)用のスクリプトを提供するコミュニティサイト。ここでのスクリプトとは、通常では閲覧できないゲーム内の情報を表示したり、正確かつ素早いキー入力を可能にするため特定の操作を自動化したりと、外部ツールを使ってゲームプレイを不正にアシストする行為全般を指す。『LoL』を含め多くのオンラインゲームにおいて、こうしたサードパーティ製プログラムの導入は利用規約で堅く禁じられている。
Riot Gamesは昨年8月、「LeagueSharp」のサービスがデジタル・ミレニアム著作権法に基づく迂回商行為活動の禁止条項に抵触するとして、複数のサイト管理人を相手取りカリフォルニア連邦地方裁判所へ提訴した。同時に『LoL』の利用規約に違反する不正行為を世界中に蔓延させた責任も追求。また、原告が法的処置を講じる以前にサービス停止を勧告したところ、コンタクトを取った従業員が個人情報を公に晒されると共に、被告からソーシャルメディアをとおして脅迫や嫌がらせを受けていたことも報告されていた。
当時の訴状内容によると、ドイツ国籍の被告3名は「Misti y Pichu Pichu S.R.L.」名義でペルーにダミー会社を設立。「LeagueSharp」の法的な権利を主張することで、一連の違法行為を隠蔽しようと企てたと記されている。Riot Gamesは当初、一連の問題を穏便に解決するべくアプローチしていたが、被告人たちは返答を拒否するばかりか同社の従業員をインターネット上で攻撃。さらに原告が訴訟に踏み切ったことを知るやいなや、裁判の不利になりかねない情報の隠滅を図ったとされている。
競技性の高いオンラインゲームが普及する背景には、必ずと言っていいほど不正行為を可能にする専用ツールの供給者が暗躍している。昨年6月には、Epic Gamesが『Paragon』のチートツールを提供していたドイツ人ユーザーを提訴。その翌月には、Blizzard Entertainmentも『Overwatch』向けにチートツールを開発・販売していた独企業Bossland GmbHを、著作権侵害および不正競争の理由で訴えたことがある。こうした外部プログラムの中には、悪意のあるスパイウェアが仕込まれている事例も報告されており、以前インターネットセキュリティの専門家もトロイの木馬の検出例を挙げて警鐘を鳴らしていた。もちろん、利用規約に抵触する外部プログラムの利用は、ゲームアカウントの永久停止につながりかねないことも忘れてはならない。