『アークナイツ:エンドフィールド』開発者に「この短尺消費時代に重厚長大ゲームを作るのは不安ではないですか」と聞いたら「勝算あります」と返ってきた。その意図とは

『アークナイツ:エンドフィールド』のレベルデザイナーのRUA氏に、「重厚長大ゲームを作る上での不安はないか」と訊いてみた。

Hypergryphは11月10日週に、『アークナイツ:エンドフィールド』のメディア・インフルエンサー向けの発表会を実施。同期間にした弊誌インタビューの中で、『アークナイツ:エンドフィールド』のレベルデザイナーのRUA氏に、「重厚長大ゲームを作る上での不安はないか」と訊いてみた。

『アークナイツ:エンドフィールド』は、『アークナイツ』を手がけている中国・上海のゲーム開発会社Hypergryphによる新作ゲームだ。対応プラットフォームはPC/PS5/モバイル。基本プレイ無料で配信予定。本作は、2Dタワーディフェンスであった『アークナイツ』からは打って変わって、3Dリアルタイム戦略RPGとなる。舞台となるのは巨大ガス惑星タロスの衛星「タロII」。プレイヤーはエンドフィールド工業の「管理人」と呼ばれる伝説の存在として、さまざまな脅威に晒されるこの星で物語を紡いでいく。

『アークナイツ:エンドフィールド』は、いわゆる腰を据えて遊ぶゲームである。探索・バトル・工場建設などいずれの要素もしっかりしており、じっくり遊ぶタイプのゲームであると言える。そうしたゲームが昨今のトレンドに合うか気になるところ。RUA氏に、率直に勝算はあるのか訊いてみた。

――『エンドフィールド』は、これまで出ている情報を見る限り、「しっかり時間をかけてプレイするゲーム」という印象です。いわゆる重厚長大というやつですね。一方で今の時代は「短尺で刺激のあるコンテンツ」が主流になっています。つまり、ショート動画含めて、さくっとアクセスできていっぱい刺激があるコンテンツが人気です。そういう意味では、『エンドフィールド』は時代の流れに反しているともいえますが……この点に不安はないでしょうか。

RUA氏:
……たしかに『エンドフィールド』は10分で軽く遊べるゲームではないことは、承知しています(笑)

――めっちゃ正直ですね(笑)ここは「短い時間でサクッと遊ぶこともできますよ」といった方がプロモーションになるのでは。

RUA氏:
嘘はつきたくないんですよ(笑)でもこういう重厚長大なゲームは、実は結構必要とされているとも思います。日本ではコンソールも広まっていてスマートフォンゲームは軽いゲームが多い認識です。

しかし、私たちは『アークナイツ:エンドフィールド』を単純に「短時間で気軽に遊べるゲーム」として作っているわけではありません。世界的に見ても、そして私たち自身も、より高品質で高い没入感のあるゲームを求めています。とくに中国のプレイヤーからは、そうしたゲームへの要望が非常に強いです。そのため、宣伝効果を狙うというよりも、プレイヤーが求めている“より深く没入できるゲーム体験”を提供することこそが、私たちの願いだと考えています。

また、中国では高性能なスマートフォンがすでに広く普及しており、ユーザー規模も大きいことから、従来はコンソールやPCでしか体験できなかった高品質のゲームを、スマートフォンでも好きな時に楽しみたいという声が多くあります。そのため、高品質で没入感の高いマルチプラットフォームのゲームを制作することは、とても重要だと考えています。

ちなみに、『エンドフィールド』はメインストーリー進行においてはしっかり腰を据えて遊ぶゲームではありますが、隙間時間に遊ぶようなこともできます。たとえば電車にいたり列に並んでいる時に、工場を見に行ったりだとか。軽めのタスク消化をするために遊ぶこともできますよ。


昨今ではゲームが多く、かつプレイ時間を多く要求する。特別な一本が、ほかのゲームのプレイ時間を奪っている側面もあるだろう。重厚長大なゲームに需要があるという要素のほかに、『アークナイツ:エンドフィールド』が特別な一本になれるかが、重要になりそうだ。

『アークナイツ:エンドフィールド』は、PC/PS5/モバイル向けに開発中だ。第二弾ベータテストは11月28日開始予定である。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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