Atariの復刻レトロゲーム機「Atari 2600+ パックマンエディション」は当時そのままと“令和水準”の良いとこどり。日本上陸直前の実機を、隅々まで確かめる
Atariのゲーム機「Atari 2600+ パックマンエディション」の実機を紹介していく。

パブリッシャーのPLAIONは、Atariのゲーム機「Atari 2600+ パックマンエディション」を11月下旬に国内発売する。価格は2万5300円(税込)で、小売店にて現在予約受付中だ。この記事では、PLAIONより提供いただいた実機とあわせて本製品を紹介したい。
本製品は、Atariのゲーム機「Atari 2600+」と、今年生誕45周年を迎えた『パックマン』がコラボしたモデルだ。特別カラーの本体と対応コントローラー「CX40+ ワイヤレスジョイスティック」、そして『パックマン』作品2タイトルを収録した『PAC-MAN: Double Feature』の豪華セットである。なお、販売される製品は海外版となるが、簡易日本語マニュアルが同封される。


特別感と、新しさと
Atari 2600+は、1970〜80年代に展開されたAtariのゲーム機「Atari 2600」の伝統を受け継ぎつつ、現代向けの機能を搭載した互換機だ。Atari 2600を80%サイズで再現した筐体デザインが採用され、「パックマンエディション」においては鮮やかなイエローを全体に配色したポップな見た目に。『パックマン』をモチーフにしたカラーリングだろう。また前面には、Atariロゴと並んでパックマンやゴーストのイラストも配置。電源を入れるとライトアップされ、特別感が演出される。
本体の見た目はAtari 2600風であるが、実は製品の中身はAtari 2600との互換性がある後継機種「Atari 7800」に近い仕様となっている。というのも、本製品ではAtari 2600だけでなくAtari 7800向けのゲームもプレイ可能なのだ。オリジナル版のゲームカートリッジを用意すればプレイでき、海外ではAtari 2600+向けに一部作品の復刻リリースもおこなわれている。


今回弊誌は、「Atari 2600+ パックマンエディション」のVIPキットをPLAIONに提供いただいたため、それをもとに製品のさらなる詳細を見ていこう。なおVIPキットは非売品である。『パックマン』をイメージした特別パッケージに、追加のCX40+ ワイヤレスジョイスティック(水色のアオスケ版)や、パックマン・ゴーストのピンズが同梱されており、それ以外は基本的に通常の製品版と内容物は同じだ。
本体の映像・音声出力には、現代の製品らしくHDMI端子が搭載され、背面のスイッチでオリジナルの4:3と16:9に画面比率を切り替え可能だ。電源にはUSB Type-C端子が採用。なおUSBケーブルは同梱されるが、充電器はユーザー側で用意する必要がある。本体にはこのほか、コントローラー用のD-Sub 9ピン端子が2つ搭載。対応ゲームでは、追加のコントローラーを用意するとマルチプレイを楽しめる。
本体上部にはゲームカートリッジ用のスロットがあり、その左右に4つのレバーが配置。このレバーは飾りではなく、電源スイッチやゲームのリセットスイッチなどとして、Atari 2600と同様に扱えるわけだ。バチンッと倒す固いレバースイッチにどことなくレトロを感じる。TV TYPEスイッチは、白黒画面(B・W)とカラー画面(COLOR)を切り替えるためのものだが、Atari 7800向けゲームではプレイ中に一時停止させるスイッチとして機能する(COLORにすると一時停止)。


当時のまま
続いて、同梱ゲームである『PAC-MAN: Double Feature』を見ていこう。本作には、『パックマン』初の家庭用移植版であるAtari 2600向けの『PAC-MAN 2600』と、Atari 7800向けに新たに開発された『PAC-MAN 7800』の2タイトルが収録。カートリッジ背面にあるDIPスイッチでゲームを切り替え可能だ。『PAC-MAN 2600』は、当時の本体性能的な限界からかグラフィックがかなり簡略化されており、なかなか味わい深い。一方の『PAC-MAN 7800』は、オリジナルのアーケード版をモチーフにした作品で、『パックマン』と聞いて多くの人がイメージするのはこちらだろう。
Atari 2600の特徴のひとつとして、本体側にゲームの難易度設定機能が用意されたことが挙げられる。これは本製品Atari 2600+にも搭載されており、たとえば『PAC-MAN 2600』であれば、パワーエサなどの効果持続時間をスイッチで切り替え可能。『PAC-MAN 7800』では、2人プレイ時の2P側のキャラクターをパックマンと赤色のゴースト・アカベイ(ブリンキー)とで切り替えられ、アカベイは追跡モード中にしか操作できない。
ところで、本製品はAtari 2600およびAtari 7800の互換機である。そこで筆者は物は試しと、1981年に発売されたAtari 2600向けピンボールゲーム『Video Pinball』のカートリッジを用意し、本製品に挿入して電源を投入。すると問題なく起動し、ちゃんとプレイ可能だった。なお、一部互換対応していないタイトルも存在するようであるため、詳しくは公式の対応リスト(PDF)を確認してほしい。ちなみに上に紹介した『PAC-MAN: Double Feature』は、逆にAtari 7800などでもプレイ可能とのことだ。


そして「Atari 2600+ パックマンエディション」に同梱されるCX40+ ワイヤレスジョイスティックは、Atari 2600の標準コントローラーCX40の無線版だ。大きなジョイスティック1本にボタン1つだけという当時のスタイルのまま再現されており、本製品にはパックマンをモチーフにしたイエローバージョンが同梱されている。近年あまり見ないタイプのコントローラーであり、オリジナル版当時を知る方は懐かしいと思うだろうし、これで『PAC-MAN: Double Feature』をプレイすると、おなじみの『パックマン』ながら新鮮に感じる方も多いかもしれない。なお無線レシーバーは、本製品やAtari 2600などに対応するD-Sub 9ピン端子のものに加え、USB Type-A端子のものも用意されており、PCで使用することも可能だ。
海外で発売中のAtari 2600+は、Atariが自ら手がけたAtari 2600/Atari 7800互換機としてファンに高く評価されている様子。Atari公式ショップでは、本稿執筆時点でユーザーレビューが約170件投じられ星4.55(5点満点)と好評を得ている。Atari 2600本体がやや小型で再現され、近年各社から発売されたミニコンソール機の一種としても捉えられているようだ。そのAtari 2600+と『パックマン』がコラボした特別なバージョンである「Atari 2600+ パックマンエディション」が、このたび日本に上陸することになる。
「Atari 2600+ パックマンエディション」は11月下旬に発売予定。一部小売店では、11月28日発売としているところもある。また、「CX40+ ワイヤレスジョイスティック」の単品販売も同時に開始される予定で、こちらの価格は6600円(税込)だ。CX40+ ワイヤレスジョイスティックは、パックマンや各ゴーストをモチーフにした5色展開となる。それぞれ以下の小売店などで現在予約受付中のため、興味のある方はぜひチェックしてほしい。
・Amazon
・楽天ブックス
・ヨドバシ.com
・エビテン(カドスト)
・ビックカメラ.com
・ヤマダウェブコム
・Joshin webショップ
・ノジマオンライン
・あみあみオンラインショップ
・セブンネットショッピング
ちなみに海外のAtari公式ショップでは、Atari 2600+に対応するパドルコントローラーなどの周辺機器や、Atari 2600/Atari 7800向けゲームの復刻販売がおこなわれている。Atari 7800版『ディグダグ』『ギャラガ』『ゼビウス』などのほか、『PAC-MAN: Double Feature』も今後発売されるようだ。



