『アークナイツ:エンドフィールド』は「工場構築」「自動化」「戦闘」「クラフト」「探索」「物語」「萌え」「TD」があって、全部連動している面白いゲーム。ちゃんとつながってる
ベータテスト2に今回さわってきた。筆者はテクニカルテストも前回のベータテストもプレイ済み。今回は以前のテストよりもさわれる要素が多く、今回のプレイをもってようやく本作のゲームサイクルの芯の面白さが見えてきた。

Hypergryphは11月10日、『アークナイツ:エンドフィールド』のメディア・インフルエンサー向けカンファレンスを実施した。同カンファレンスでは、11月28日配信予定のベータテスト2の内容にふれることができた。2時間ほどプレイしたが、「工場ライン構築」「戦闘」「クラフト」「探索」「物語」「タワーディフェンス」「萌え」といった要素が詰め込まれ、かつそれらの要素が連動している面白い体験であった。
『アークナイツ:エンドフィールド』は、『アークナイツ』を手がけている中国・上海のゲーム開発会社Hypergryphによる新作ゲームだ。対応プラットフォームはPC/PS5/モバイル。基本プレイ無料で配信予定。本作は、2Dタワーディフェンスであった『アークナイツ』からは打って変わって、3Dリアルタイム戦略RPGとなる。舞台となるのは巨大ガス惑星タロスの衛星「タロII」。プレイヤーはエンドフィールド工業の「管理人」と呼ばれる伝説の存在として、さまざまな脅威に晒されるこの星で物語を紡いでいく。
本作ではこれまでに、テクニカルあるいはベータテストが実施されてきた。そこからじっくりと時間をかけて、さまざまな調整が果たされた。そうした要素を盛り込まれた最新ビルドがベータテスト2で、同テストが11月28日に配信される。そんなベータテスト2に今回さわってきた。筆者はテクニカルテストも前回のベータテストもプレイ済み。今回は以前のテストよりもさわれる要素が多く、今回のプレイをもってようやく本作のゲームサイクルの芯の面白さが見えてきた。
軸はしっかりとしたアクションRPG、そして工場要素が連動
『アークナイツ:エンドフィールド』には、とにかく多くの要素があるが、3DアクションRPG要素が軸としてあると考えればイメージしやすい。ストーリーを進めて、マップを探索して、敵とバトルして、アイテムを獲得し、そしてまたストーリーを進めたり、あるいはサブクエストをこなしていく。このアクションRPGとしての軸がしっかり座っていることも特徴である。ストーリーはSF題材として重厚で、それでいて専門用語は多すぎず(中国系のゲームは目が滑りやすい自分も読みやすかった)、キャラのモデルも高品質でバトルも軽快。バトルは「崩し」が重要なタクティカルな仕様で、ボス戦はなかなか手こずる。高難易度ゲームとは言えないものの、サクサク爽快系ではなくやりごたえあり。アクションRPGとしての土台はしっかりしている。


ここに絡んでくるのが工場要素。『Factorio』のような、工場を作りラインを組み立てる要素である。工場を作ってラインを組み、アイテムを加工したり分解する過程を自動化するのだ。では何のために自動化するのか。『エンドフィールド』には大量にアイテムが存在しており、それらのアイテムを作るためだ。本作ではアイテムの種類の幅が広く、回復アイテムに強化用アイテム、特定のシーンに必要なものなどさまざま。クエストに必要な時もあるだろう。自分でクラフトすることができるが、工場を立ててラインを組み、自動生成されるようにすれば大量納品もさくっとできるのだ。

探索で得たアイテムをもとに工場を作り、大量生産し、戦闘や探索やクエスト解決につなげる。工業要素はアクションRPGとしてのサイクルを加速させる要素になっているわけだ。ただ工場要素があるわけでなく、ちゃんとラインを組む意味があるのが面白い。工場要素そのものも楽しいが、工場要素が探索を面白くさせる塩梅である。
工場要素はタワーディフェンス(TD)要素と関連する。『アークナイツ』といえばTDであるが、本作でもそれは健在。防衛施設を立てて電力を供給し、敵が襲い来るエリアを防衛。主人公が動かしてアクションバトルを展開しつつ、かわいい防衛施設たちが敵を屠っていくのは楽しい。筆者の趣味全開で申し訳ないが『Orcs Must Die!』『Sanctum』を彷彿とする愉快な戦略+戦闘である。それらの戦闘で得たアイテムをもとにクエストを進めたり自動化を進めたり。そもそもとして戦闘や探索は密接につながっているのがアクションRPGの基本であるが、工場やTDといった要素もちゃんとゲームサイクルに組み込まれているので感心する。
「萌え」も報酬である
それらのサイクルを経て、ゲーム内マネーや強化素材、あるいはガチャ石を集めていくのが“報酬”の部分だ。一方で今回のプレイを通じて「キャラ描写」は自分の報酬になっていることに気付いた。直球にいうと、萌えである。『アークナイツ』は2D表現をベースとしているがゆえに、テキストによってキャラの魅力を能動的に味わえる。一方で『エンドフィールド』は3D化されており、そして3Dモデルとアニメーションがとにかく質が高い。衣装もフェイシャルもかわいく、それらは可憐(あるいはかっこよく)躍動する。


情報量が多く、受動的な態度でも「萌え」が迫ってくる。特にペリカは母性的な一面もあり、可憐な見た目であることを相まって、かなり本能的なくすぐりを仕掛けてくる。キャラが立体的になり、立体的になっても違和感のない質の3Dになっていることで、「キャラ描写」が自分にとっても報酬になりえると感じた。
いろいろあるけど、すべてが連動するRPG
このように、『エンドフィールド』は、「工場ライン構築」「戦闘」「クラフト」「探索」「物語」「タワーディフェンス」「萌え」があり、それらがうまく連動している、面白いゲームであると再認識した。公称ジャンルはどうあれ、本作は質の高いアクションRPGと、重厚さもありつつ難解すぎないストーリーがかけあわさり、工場要素やTD要素、キャラ萌えなどが入り乱れ、それでいてどれも浮かないようにまとめられている。プレイする価値がある一本だ。


懸念点がないわけではなく、やはりガチャにおいてキャラが入手できるか否かがゲーム体験に影響が出そうであることは否めない。また工場要素もあってか、今回遊んだバージョンは工業地帯であるとSSDのPCでもロードの長さが目立った。チュートリアルも手厚いが、特に工場要素はジャンルへの経験がなければそれなりに学習を求める点も躓きポイントになりえるだろう。
いろいろとつらつら書いたが、ガチャ以外の点はクリエイティブにおける本質的な懸念としては些細なもの。工業要素があるゆえに色物に見えるが、その部分の一点突破ではなく、真面目で遊びと向き合った質実剛健なゲームという印象だ。ガチャについても『アークナイツ』は課金圧も低いゲームであるので、いろいろと考えてくれることを期待したい。
特に、工場ゲームを運営型ゲームのコアに置いたことは特筆すべきものがある。ちゃんとその工場要素が機能しているのも喜ばしい。現時点では本作ならではの体験ができるゲームに仕上がっているだろう。運営型ゲームということで、今後コンテンツ内容や技術課題など、さまざまな問題に晒されることが予想できるが、『エンドフィールド』での挑戦は「プレイ」によって検証してみる価値はあるはずだ。それは『アークナイツ』ファン向けだけでなく、すべてのゲーマーが対象だろう。
『アークナイツ:エンドフィールド』は、PC/PS5/モバイル向けに開発中だ。11月28日にはベータテスト2が実施される。
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