「逆恋愛シム」サイコホラー『No Means Nothing』発表。開発者が本当に体験した、地獄のように気まずい“デート断りつづけ”ホラー
Bober Brosは10月8日、『No Means Nothing』を発表した。執拗にデートに誘ってくる友人と共にバイトの時間を過ごす、サイコロジカルホラーゲームだ。

デベロッパーのBober Brosは10月8日、『No Means Nothing』を発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、2025年第4四半期にリリース予定。なお、本記事では間接的な性暴力描写についての言及が含まれる。こうした要素に懸念のある方は、注意して閲覧してほしい。
『No Means Nothing』は、一人称視点のサイコロジカルホラーゲームだ。主人公は滞納した家賃を払うため、5日間の猶予の間、執拗にデートに誘ってくる自己中な友人と小包梱包のバイトをすることとなる。

本作は、「NO」を言う力を学ぶことをテーマにした、“アンチ恋愛シミュレーションゲーム”だという。ゲーム内容としては、こちらのプライバシーを顧みようとしない友人との会話や応答が肝になるようだ。
案1)トレイラーでは、本作のゲームプレイとみられる映像を確認できる。プレイヤーが廊下を歩いていると、友人とばったり出くわす。友人は顔を合わせるなり、いきなり「2人きりでうちで遊ばない?」と発言。デートの誘いとしてかなり強引な文句だ。もちろん周りには他に人も居ないため、助けを求める事もできず、かといって無視することもできない。主人公はそれとなく断るが、それに対して友人は「“いいアイデアとは思えない”って? 俺がお前に頼んでるとでも?」と逆上。主人公は強く拒絶するものの、友人は「“イエス”か叫ぶかしてみろよ、俺はどっちも好きだ」と言い放ち、緊迫した場面でトレイラーは幕を閉じる。

本作では、プライバシーを全く尊重しない、バウンダリー(自身と他者との、精神的な境界線のこと)を軽々しく踏み越えてくる友人とのやり取りが重要となってくる。相手のしつこい呼びかけに対して、「イエス」や「ノー」、あるいは黙りこくる、といった選択肢を取ることができ、それによって相手とのパワーバランスや関係性が変化していくのだ。
また、あくまでプレイヤーは商品の梱包作業を行わなければならないものの、友人は執拗にこちらに話しかけてくる。ありふれた仕事のはずが、緊張に満ちた時間を過ごすことになるようだ。なお、本作はマルチエンディングを実装。選択肢によって、友人とぎこちない別れを迎える気まずいエンディングや、背筋の凍るような結末までもが用意されているという。プレイ時間は1時間ほどとコンパクトで、ヘビーな題材に反して比較的プレイしやすいボリュームなことも魅力になりそうだ。

本作を開発するのは、個人開発者のMnim氏率いるインディースタジオBober Bros。Mnim氏はこれまでitch.ioにて作品をリリースしてきたほか、家に訪れる“人間のような存在”を人間かどうか識別するホラーシミュレーションゲーム『No, I’m not a Human』の開発にも携わっているという。
Bober Brosとしての活動としては過去作に、子供たちのいたずらがどんどん過激になっていくサイコホラーゲーム『It’s Just A Prank』や、壁に空いた穴によって隣人の家庭トラブルを垣間見てしまうホラーADV『The Hole』などがある。ちなみにどちらの作品も共通して、スラブ民族の国際補助語であるインタースラーヴィクがフィーチャーされており、スラブの文化的背景を感じることのできる作品群だ。
どちらの作品も児童虐待やいじめなど、現実の社会問題をテーマにしていただが、最新作となる『No Means Nothing』も、現実に起きている性的同意の問題や性暴力をテーマにしている。本作の制作背景としては、Mnim氏自身にこうした実体験があり、地獄のように気まずい経験をゲームに落とし込んだという。確かにこうした性的同意に関する問題は、日常的に起きうるものだ。実話を元にしているということで、非常にヘビーながらも共感しやすい作りになっているのかもしれない。なお同氏はプレイヤーを突然びっくりさせる「ジャンプスケア」要素を取り入れないことを作風として掲げており、本作でもじっとりとした恐怖を味わえそうだ。
『No Means Nothing』はPC(Steam)にて2025年配信予定。