「任天堂が生成AIについて、政府へロビー活動をしている」と議員が発信、任天堂が公式否定。発信元の衆議院議員も訂正へ

任天堂は10月5日、同社が生成AIに関連して、日本政府に対して何らかの働きかけをしているような事実はないとの声明を発表した。

任天堂は10月5日、同社が生成AIに関連して、日本政府に対して何らかの働きかけをしているような事実はないとの声明を発表した。これに先立っては、国民民主党所属の浅野さとし衆議院議員が、任天堂は政府へのロビー活動を進めていると発言していた。

浅野氏は10月3日、その前日にXに投稿したOpenAIの動画生成AI「Sora 2」によるAI生成動画について、さまざまな意見が寄せられたとして受け止めを説明。その中で、国内での国や企業における生成AIに関する直近の取り組みを紹介し、「任天堂はIP保護のため生成AIの使用を避け、政府へのロビー活動も進めています」とコメントした。

この浅野氏の、任天堂の政府へのロビー活動に関する発言部分は、日本だけでなく海外メディアにも取り上げられることに。これを受けてか、任天堂は翌10月5日に日本語と英語で声明を発表した。同社は、「生成AIに関連して日本政府に対して何らかの働きかけをしているような事実はありません」としており、浅野氏の発言を否定した。

また任天堂は、「当社は生成AIの活用の有無にかかわらず、当社のIPを侵害していると判断したものについては、適切な対応をとる方針としております」ともコメント。浅野氏の投稿は、生成AIおよびその運営企業による著作権侵害への懸念について、同氏の認識を述べる内容だった。任天堂としては、生成AIによるものであろうがなかろうが、権利侵害行為に対しては毅然と対処していくということなのだろう。

なお、浅野氏は今回の任天堂の声明を受けて、先の発言を訂正した。同氏は、「結論として、ロビイングの事実はなく、私の投稿内容に誤情報が含まれていた事が分かりましたので訂正させていただきます」とコメントしている。

ちなみに、先住した動画生成AI「Sora 2」は先日9月30日に公開され、非常にリアルな映像を生成できるとして話題に。一方で、任天堂のゲームキャラクターなども容易に生成できるとして、著作権上の問題が浮上した。その後OpenAIのCEO Sam Altman氏は10月4日に、「Sora 2」でのキャラクター生成に関して、権利者が細かく制御できる仕組みを取り入れると発表。またこの中では、日本の創作物への感謝の言葉も述べ、クリエイターに配慮したことを示唆していた。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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