『ハローキティ マーチマッチ』は“大型モバイルパズルゲーム”として面白い。最新技術カジュアルゲームの答えのひとつ

本作は間違いなくカジュアルゲームだ。カジュアルゲームであるが……かなりコストがかかっている印象。

サイバーエージェント傘下アプリボットは9月29日、『ハローキティ マーチマッチ』を配信する。対応プラットフォームはiOS/Androidで、基本プレイ無料で配信される。

『ハローキティ マーチマッチ』は、3Dパズルゲームだ。サンリオキャラクターたちのグッズが多数登場。山盛りになったグッズの中から、同じグッズを探してタップする……というシンプルなルールで遊ぶ。具体的には、本作のゲームプレイにおいては、さまざまなグッズの山から、同じ3つのグッズを探してタップすると、グッズが消える。画面上にはお題となるグッズと消す量が指定されていて、時間内に決められた数を集めてクリアを目指すのだ。

「選んで消す」パズル

モバイル向けパズルゲームといえば、3マッチパズルはよく知られているだろう。『ハローキティ マーチマッチ』はというと、3マッチパズルながら「縦や横に揃えて消す」のではなく、リアルタイムに画面上にあるグッズを「選んで消す」……『マッチファクトリー』などにあげられるいわゆる“ファクトリー”系である。

画面上にあるグッズを3つ選んで消す。そう書くと簡単であるが意外と難しい。選べるグッズの個数には制限があり、3つ揃えず無秩序に選び制限数以上のグッズを選ぶとゲームオーバー。時間制限もある。難しいステージには大量のグッズが存在し、同じものを3つ「揃える」ことが難しくなる。カジュアルゲームパズルゲームっぽいが、なかなか難しい。かつ本作は「ステージクリアを連続ですることで報酬が増えていく」仕組み。なので、失敗のリスクが大きく、パズルゲームであるが失敗を恐れる点で良い緊張感をもってプレイできる。

そもそも3マッチパズルゲーム自体が序盤こそ易しいが進めていくとかなり難しくなるので、本作ならではとはいえないが、少なくとも「簡単なカジュアルゲーム」ではなく、わりとやりごたえがある。

シンプルに3つのグッズを選んでいき、グッズが物理演算をともなって整頓されていく。“ごちゃごちゃだったステージ”が片付けられていくのは、一種お掃除ゲーム的なアハ体験がある。ものが消えて派手にエフェクトがかかり、きれいになっていくのは、シンプルに気持ちいいものである。

最新技術での3Dパズル

このような理解しやすいルール、そしてパズルというジャンル、あるいはサンリオキャラクターがテーマであることからわかる通り、本作は間違いなくカジュアルゲームだ。カジュアルゲームであるが……かなりコストがかかっている印象。本作には大量にグッズが存在するのだが、それらの3Dモデルはお手製であり、それぞれが高品質。物理的な商品を3Dスキャンし、ゲームに取り込んでいるそうだ。パズルゲームでここまで見た目リッチなゲームはそうそうないだろう。

そして面白いのは、これらのグッズは一度ゲーム内で遭遇した後はゲーム内からも「実際に購入できる」こと。ステージで遭遇したグッズは3Dで眺めるほか、販売中のグッズは通販サイトに飛んで購入することもできる。仕組みとしてはシンプルだがキャラものゲームとして「リアルなグッズを実装して、ゲーム内から商品サイトに飛ばしてそこから買えるようにしている」というのは面白い仕組みだ。

マネタイズ要素はUIなどのきせかえ、ゲーム内アイテム販売など。本作に限ったことではないものの、ガチャなどはなくヘルシーな課金形態となっている印象。ただ前述したように失敗しやすく、失敗することの緊張感があるゲームなので、思ったよりゲーム内アイテムは消費が早いかもしれない。

以上が、『ハローキティ マーチマッチ』に対する感想だ。開発元のアプリボットは、『ちいかわぽけっと』や『SDガンダム ジージェネレーション エターナル』『ファイナルファンタジーVII エヴァ―クライス』などの開発を担当。技術面の研究も熱心な会社という筆者の印象だ。

本作はカジュアルパズルゲームながら、高品質な3Dモデルを採用しており、物理演算をまじえたパズルルールを設計。またレベル生成においては機械学習を用いているそうだ(CEDECより)。おそらくステージはプレイヤーに合わせて生成しているようだが、常にちょうどいい難易度に調整されているように感じた。

総じて、カジュアルゲームであるからといってパズルゲームのルールの秀逸さやIPの強さに甘えず、プロダクトにこだわって作られていると感じた。やや大げさかもしれないが、“最新技術カジュアルゲーム”とも表現できよう。本作のメインターゲット層は弊誌を読むゲーマーではないかもしれないが、一度さわってみると学びがあるかもしれない。

『ハローキティ マーチマッチ』は、9月29日に配信予定だ。

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Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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