新作シミュレーション『タイニーメタル2』は、「ガンダム」CGアニメ会社によるUE5次世代戦略ゲーム。海戦と“作戦構築型マルチプレイ”で届ける知略体験
AREA35は9月25日、ターンベース戦略シミュレーションゲーム『タイニーメタル2』を発表した。試遊を通して確認できた、本作の持ち味を紹介していく。

AREA35は9月25日、ターンベース戦略シミュレーションゲーム『タイニーメタル2』を発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)とその他の機種。
本作は2017年に発売された『タイニーメタル』、および2019年に発売された『タイニーメタル 虚構の帝国』(Steam版は『TINY METAL: FULL METAL RUMBLE』)に続くシリーズ新作だ。初代からの主人公「ネイサン・グリース」が、戦艦の墓場から姿を現した世界全土を滅ぼす脅威に立ち向かう。本格的な協力プレイの導入や海戦ユニットの追加により、さらに複雑さを増した戦場で采配を振ることとなる。

このたび弊誌では、発表に先立って『タイニーメタル2』を試遊する機会をいただいた。生き生きと動く進化したグラフィックと、体験を共有できる協力プレイの追加により、よりエネルギッシュな作品に生まれ変わった本作を試遊した感想をお届けする。
キャラが躍動するカットシーンと、“CGアニメ級”に進化したグラフィック
『タイニーメタル』シリーズの特徴をおさらいしておこう。本シリーズは正方形のマスで構成されたマップでユニットを動かし、敵の殲滅や目標の達成を目指す『ファミコンウォーズ』ライクなストラテジーだ。タイニー(ちっぽけ)で可愛いキャラクターデザインながら、「ロックオン」「突撃」といった独自要素、種類豊富なユニットで、じりじりと前線を押し上げる本格的な攻防を楽しめる。豪華声優陣のフルボイスで描かれるストーリーも印象的だ。
今回確認・体験できたのは、ストーリーパートの一部映像と、新要素である海戦ユニットが含まれたマップでの2人協力プレイ。まず驚いたのは、グラフィックの見違えるような進化だ。前作ではストーリーパートは背景とキャラクターの立ち絵のみだったが、『タイニーメタル2』では3Dモデルのキャラクターが生き生きと動くカットシーンに変化。このパートは、AREA35の関連会社であるSAFEHOUSEにてCGアニメ『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』を制作したスタッフが手がけているそうで、映像品質と演出、それに伴うストーリーへの没入感が圧倒的に向上している。シリーズおなじみのキャラクター達も表情豊かに動いており、キャラクターに命が吹き込まれたような感動を得られるはずだ。

同様に、ゲームプレイパートもグラフィックが進化。ポップな見た目のユニットデザインはそのままに、Unreal Engine 5を使用した高品質なライティング、テクスチャ等により、直接盤面の駒を動かすような実在感を感じられるようになっている。特にキャラクター選択、コマンドといったUIは美麗で使いやすくなっており、良くも悪くもゲームプレイ、“中身”で勝負している印象だった前作から、全体のパッケージとしてしっかり質を高めようというパワフルな気概が感じられた。

異なるプレイ感をもたらす海戦と、体験の共有が楽しい協力プレイ
今回遊ぶことができたのは、海上に島が点在するマップにおける数ターンのプレイ。『タイニーメタル』の特徴である正方形のマスで区切られたマップを、さまざまなユニットを動かしながら進めていく、という基本のゲームプレイはそのままだ。ロックオンや突撃といったコマンドも変わらず存在しており、前作をプレイした、もしくはストラテジーをプレイしたことのあるプレイヤーであれば問題なくなじむことができるだろう。
大きな追加要素となるのは「海戦ユニット」。前作までは飛行ユニットが上を通ることしかなかった海を、直接航行できるユニットだ。ユーザーレビュー等を見ても要望が多かったものであり、待望の実装となる。

海は地上と違って遮蔽物が少なく、草むらや高地を経由しながら進む、といったセオリーがきかないため、海戦ユニットはルート選択の「余白」が多い。さらに海戦ユニットは長距離から一方的に砲撃できるものがあるため、地上より位置取りや距離感が重要になる印象だ。奇襲を受けるなど突発的な戦闘が断続的に降りかかる地上戦に対し、比較的遠くから相手を視認しつつ、互いの出方を伺う海戦はヒリヒリとしたスリルがある。しっかり地上戦との棲み分けができており、新たな緊張感と戦略の深みを提供できていると感じた。地上への砲撃、ユニットを船に乗せての運搬などもできるため、海上からの一方的な殲滅、迂回しての挟撃など、よりダイナミックな戦略も取れるようになっているだろう。
もうひとつの新要素である協力プレイは、今回ローカルでの2人プレイというかたちで体験できた。自軍の部隊がおおまかに2つにチーム分けされ、同じチームのすべてのユニットを動かし終わったらもう1人のプレイヤーに交代、という流れとなっている。資金やロックオンといったシステムはソロプレイと共通であり、結局は1人ですべて動かすか、誰かと分担して動かすか、という違いなのだが、これがなかなか楽しい。

『タイニーメタル』のソロプレイにおける醍醐味は、作戦の立案と、それが思惑通りに決まったときの気持ちよさにある。協力プレイでは、その作戦を話し合って決めることができる。何を生産し、どこに動かすのか、隠れるべきか退くべきか、戦うべきか。複数の考えをぶつけ合い、より最適な作戦を実行できるだけでなく、それが成功したときの喜びを共有できる。「ひとりで考え、結果をかみしめる」という静かな楽しさが、「一緒に考え、一緒に喜ぶ」という共有体験へとうまく昇華されているのだ。
同じ部隊をチーム分けするというシンプルな変更に対して、ゲーム体験の質、感覚が大きく変わるのが印象的だった。ワイワイと楽しくできるだけでなく、「仲間の作戦成功のためにここは絶対死守」「仲間がピンチなので駆けつける」といった熱さも生まれるようになっており、ゲーム内のキャラクターだけでなく、プレイヤーもより前のめりに、エネルギッシュに楽しめるような作品となっている。
本気度がうかがえる、“2”と呼ぶにふさわしい進化を遂げた作品
『タイニーメタル2』は飛躍的な改善を見せたカットシーンや洗練されたUI、待望の海戦ユニットの実装など、ナンバリングの続編と呼ぶにふさわしい進化を遂げた作品だ。同様のクラシックなスタイルを現代的にアップデートしたストラテジーは多く登場している中で、本作のグラフィックは出色の出来に思える。協力プレイのワイワイ感もソロプレイとはまた違った楽しさがあり、幅広いユーザー層に届けようという熱意が感じられた。試遊できた時間は少なかったものの、込められたエネルギーの高さ、本気度を十分に感じることができた。本作が2026年の発売までにどのように磨き上げられていくのか、期待したい。

また、弊誌では本作のプロデューサーとディレクターを務めるAREA35の由良浩明氏へのインタビューを実施した。グラフィックが大幅に進化した理由など、興味深い話が聞けたので、こちらもあわせて確認してほしい。