小規模精鋭チームが大規模作品を目指す、2DドットMMORPG『Waves of Time』コツコツと開発が継続中

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第342回目は『Waves of time』を紹介する。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第342回目は『Waves of Time』を紹介する。

近年、技術の向上によりトリプルA級タイトルのゲーム開発はさらに大規模なものになっているが、もっとも大規模なゲーム開発といえばやはりMMORPGだ。美しいグラフィックとゲームデザインだけではなく、数万人のプレイヤーが同時にプレイするために、サーバーを動かす多額のインフラコストは時に数十億となり、またオフラインゲームの開発とは異なった高いネットワーク技術力が必要となる。しかし今回紹介する『Waves of Time』は、インディーゲームとして開発が進められているにも関わらず大規模な作品を目指しているというMMORPGである。本作は多くのMMOで採用されている見下ろし型ハックアンドスラッシュを採用。グラフィックはドット絵で表現されており、日本のRPGのドット絵の影響も色濃く感じることができる。

MMOの醍醐味は多くのプレイヤーと関わり合いながら広大なマップを冒険すること。さらに本作では、詳細は不明ながらプレイヤーの行動によってさまざまなNPCにも影響を与えることができるという。現在『Waves of Time』では3つの種族が明らかにされており、自然主義者の「ebal」、秩序を重んじて魔法を忌み嫌う「Dalonnians」、そして貿易や政治を重視する「Vrennans」が存在する。さらにマップは17種類の気候に分けられる予定で、ツンドラや火山地帯といった場所には、どのようなNPCが登場してくるのか楽しみだ。

公式フォーラムでは月一回の開発の進捗報告スレッドがある。11月時点の報告によれば、開発チームはマップやその地域に住む人々のデザインと、光源の描画周りの実装を進めているようだ。開発の苦労話や予定などが書き込まれていることもある。また、誰でも書き込むことができるスレッドがいくつもあり、ゲームの完成を楽しみにしたユーザーが雑談をしていたり、場合によっては開発者が提案をすぐに受け入れて開発している。ゲーム中に登場するキャラクターのコンテスト等も開催されており、ユーザーが思い描いたキャラクターが採用されることも多い。ほかのMMOと比較すると、これほど和気あいあいとした開発とユーザーの交流は珍しいといえるだろう。

本作の前身は『Fantasy Online』というブラウザで動くMMORPGであった。2014年1月1日にサービスを終了した『Fantasy Online』の開発者が新しいMMORPGを開発するため、本作『Waves of Time』のプロジェクトを開始した。『Fantasy Online』時代のソースコードは残っていないようで、全くのゼロからMMORPGを再度開発するという大規模なプロジェクトとなっている。フォーラムで確認できる開発者の数は30人ほどであり、MMORPGを作っている開発チームとしてはかなりの少数精鋭であると言えるだろう。MMORPGは継続的にアップデートしていく必要があり、そしてユーザーの意見を非常に素早く取り込んでいくスタイルはインディーゲームならではだ。まだまだ開発段階であり、キャラメイクやスキルなどのゲームプレイに関する情報は少ない。完成まではまだ時間がかかるだろうがフォーラムでは随時情報が更新されて。

Shun Kurosawa
Shun Kurosawa

得意なジャンルは黙々と練習するゲームですが、基本的になんでもやります。モバイルもアーケードもやりますが、協力プレイは役立たっているのか心配しつつプレイします。

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