昭和日本・町工場自動化シム『カイゼン:ある工場のストーリー』続々と高評価集まる。元Zachtronicsスタッフ陣が贈る、“ゆるめにも遊べる”工場ライン作り

Astra Logicalは7月15日、『カイゼン:ある工場のストーリー』をリリースした。バブル期の日本を舞台とした工場自動化シミュレーションゲームだ。

パブリッシャーのAstra Logicalは7月15日、『カイゼン:ある工場のストーリー』(以下、カイゼン)をリリースした。対応プラットフォームはPC(Steam)。本作にはさっそくユーザーレビューが寄せられ、記事執筆時点で「非常に好評」ステータスを獲得している。なお、本作は日本語表記に対応している。

『カイゼン』は、バブル期の日本を舞台とした工場自動化シミュレーションゲームだ。舞台は80年代日本の古い工場。プレイヤーはアメリカから就職してきた人物で、営業マンとなるはずが、なぜか工場の生産ラインの設計を引き受けることになっていく。

本作ではラジオやカメラ、果ては食品サンプルといった様々な製品を組み立てていく生産ラインを作ることとなる。見本を参考にしつつ、それぞれの部品を溶接などによって組み立てたり、不必要な部分を削るためにドリルを配置するなどして、完成品を完璧に生産するラインを作り上げていくのだ。

また、生産ラインの設備にはコストが存在し、コストパフォーマンスがスコアとしてランキングされる。そのほか、生産にかかるターン数や使用したマスの数も評価されるため、自分なりのベストな生産ラインを世界中のプレイヤーと競い合う事が可能だ。とはいえランキングを気にしなければ、コストはほぼ無限に使用できるため、簡単な難易度でプレイすることもできる。

なお、完成した生産ラインはGIF画像として保存することができる。ループ動画として、最適化された生産ラインをうっとりと延々眺め続けることが可能だ。あるいはSNSに上げて自慢し合うこともできるし、失敗例を笑いの種にもできるだろう。

また、ライン設計のほかに、「パチソリ」というパチンコをモチーフとしたソリティアゲームもミニゲームとして搭載。工場勤めの息抜きとして、パチソリをプレイしてみるのもよいだろう。

開発元のCoincidenceは、スチームパンク自動化ゲーム『Opus Magnum』などで有名なZachtronicsの元メンバーが多く集まるチーム。本作もZachtronicsの過去作を元に制作されたと謳っており、ミニゲームのソリティアなど、その影響は強い様子。とはいえ本作の難易度は『Opus Magnum』ほど高くはなく、比較的カジュアルに遊ぶことができるようになっている。

本作はリリースされて間もないにも関わらず、本作執筆時点で123件のユーザーレビューが寄せられ、そのうち93%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。好評の理由として、やはりZachtronicsライクな自動化ゲームが“カジュアルに”遊べることが好意的に受け止められているようだ。

本作は、運ぶ・削る・回転、など一つ一つのアクションはシンプルなものの、その組み合わせが複雑なパズルを生んでいる。例えば「運ぶ」というアクション一つとっても、何マス先まで運ぶのか、運んだあとはどうすればいいのか、といった厳密な指定が要求される。そうしたアクションの設計というものが、一種の機械言語を学んでいくような、プログラミング的楽しさを育んでくれるのだ。

とはいえ本作は前述した通り、ランキングを気にしなければ、コストに物を言わせて一気にパズルをクリアするなど、比較的易しめの難易度でプレイすることができる。そうした敷居の低さも好評となっているようだ。

また、日本語ユーザーからは解像度の高い日本描写も好評。朝礼にラジオ体操をしたり、工場まわりの風景や、ミニゲームのパチソリにおいても、”あの頃の日本”的な雰囲気が存分に再現されている。ストーリーにおいても、水平思考的なエンジニア哲学が随所に盛り込まれているなど、テキストからもバブル期の日本のものづくりを追体験することができる。

一方で、パズルのボリューム不足が課題点として挙げられている。難易度が易しくなっていることもあり、一部のプレイヤーからは物足りないといった意見もあるようだ。また、マウスのみの操作が前提のUIも使いにくさを指摘されている。キーボードショートカットも少ないため、まとまった操作をするには少し不向き。とはいえあまり複雑な操作は必要ないため、自分のペースでプレイしていくのが良いだろう。ちなみに開発元によると本作にはウィークリーのボーナスパズルが追加されていくそうで、各種アップデートが期待される。


『カイゼン:ある工場のストーリー』はPC(Steam)にて配信中。なお、日本語表記に対応している。

Haru Takitoh
Haru Takitoh

アクションゲームとゲーム音楽が好きです。一番好きなゲームは『アーマード・コア6』、衝撃を受けたゲーム音楽は『サルゲッチュ』。

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