Steamの謎のセール「日替わりスペシャル」は、実は選ばれしゲームだけの特別枠。“年1回レベル”のお得セール、今年は増枠
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Valveは2月27日、Steamのストアページに表示される日替わりのセールである「日替わりスペシャル」を、これまでの4枠から6枠に増枠すると発表した。また関連して、このセールが行われる仕組みや、2024年の同セールがゲームの売上にもたらした成果などが報告されている。
「日替わりスペシャル」とは、Steamのストアページに表示される日替わり方式のセールだ。主にストアのトップページにあるスペシャル枠の右側に表示され、毎日日替わりで4作品のセールが実施。ストア上では「本日のスペシャル」とも表記される。思わぬ掘り出し物が見つかることも多いこのセールは、Steamユーザーなら一度は見たことがあるのではないだろうか。同セールは10年以上前から存在しており、今回の増枠を発表したリリースノートにて、改めてセールの仕組みが説明されるとともに、これまでの取り組みの成果が明かされた。
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Steamの販売者向けに「日替わりスペシャル」を説明したページでは、まず同セールに選ばれる条件として、収益が安定していることが挙げられている。Steamストアは毎日膨大な人数のユーザーが閲覧するため、同セールではたった1日表示されただけでも、1000万回以上もの表示回数が見込まれる。そのためSteam側としては、そこに表示されるゲームが幅広い顧客層にとって興味深いものである必要があるそうだ。その確信を得るため、通常は毎月の収益が継続的に数万ドルに到達しているゲームがセール候補となる。過去2〜3か月以内にリリースされたばかりのゲームは対象外となるようだが、それでも数千のゲームが対象となる。その中から過去数か月間の顧客の関心や収益の傾向に基づいて、セール対象のゲームが決定される。
また割引率も重要な要素であり、セールを魅力あるものにするために通常は「最低でも、過去に実施した最大の割引率と同等かそれ以上の割引を選ぶ」ことをお願いしているという。また、他のゲームにも販売機会が与えられるように、同じゲームへのセール実施は年に1回程度に制限されている。つまり日替わりスペシャルに登場するゲームの多くが、年に1回レベルの大幅な割引を実施しているということになる。そして同セールは、大型アップデートやゲーム内イベントと併せて実施することが推奨されている。開発者がゲームに注いだ努力が報われるよう、同セールを最大限に活かしてほしいという、Steam側の想いがあるようだ。
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今回のリリースノートによると、この日替わりスペシャルはもともと2枠で行われるセールとしてSteamで10年以上前から提供されてきた。その影響は大きく、収益が1万ドル程度のものもあれば、200万ドルになるものもあったという。好評を受けてか、2024年1月からは4枠に枠を拡大。日に5つ以上のゲームがセールとなることもあり、2024年は1160の開発者とパブリッシャーによる、実に2843本ものゲームが日替わりスペシャルとして取り上げられた。そのうちの87%は、それまで日替わりスペシャルとして取り上げられたことのないゲームだったという。そして今回、セール対象が6枠に増枠。また、Steamのゲーム販売管理ツールSteamworksでは、ゲームが日替わりスペシャルで何回表示され、どれほどの収益を上げたかが確認できるようになった。ユーザーは選べる選択肢が増え、販売側はさらに売上を伸ばすチャンスが得られるようになったというわけだ。
ユーザー側からはどのような基準で選ばれているのかを知る機会の少ない日替わりスペシャル。今回のリリースノートからは、お得なセールとなるように、しっかりとした条件が設けられていたことが見受けられる。また高い割引率やアップデート後の実施推奨など、日替わりスペシャルがユーザーと開発者双方に利益があるように配慮されていたようだ。季節の大型セールだけでない細やかなセールでゲームが収益を伸ばしやすい仕組みも、SteamがPCゲームプラットフォームにおいてトップシェアを誇る一因なのかもしれない。なお昨年にはSteamで約1万9000作品ものゲームがリリースされたという(関連記事)。Steam向けにリリースされる作品の増加も、日替わりスペシャル増枠の背景としてあるのだろう。
日替わりスペシャルは、Steamストアのトップページにあるスペシャル枠にて確認可能(「本日のスペシャル」という表記)。また日替わりと銘打たれているものの、実際には1週間程度のセール期間を設けていることが多いようだ。収益の多い人気タイトルが高い割引率で販売されると判明した同セール。気になる人はチェックしてみるのもいいだろう。