『ファイナルファンタジーVII リバース』コミュニティで広まった「クラウドとエアリス間に恋愛関係ありえない」報道について、浜口Dが否定。あくまで関係性はコンテンツで伝える

『ファイナルファンタジーVII リバース』のディレクターを務める浜口直樹氏は弊誌のインタビューにて、主人公のクラウドをめぐる恋愛模様について言及した。浜口氏によると、クリエイターがコンテンツを介さずにキャラクターの恋愛関係を語ることはないという。

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『ファイナルファンタジーVII リバース』のディレクターを務める浜口直樹氏は弊誌のインタビューにて、主人公のクラウドをめぐる恋愛模様について言及した。浜口氏によると、クリエイターがコンテンツを介さずにキャラクターの恋愛関係を語ることはないという。

『ファイナルファンタジーVII リバース』は、『ファイナルファンタジーVII』のリメイクシリーズ三部作の二作目だ。前作『ファイナルファンタジーVII リメイク』の舞台となったミッドガルを脱出したクラウドたちは、宿敵であるセフィロスの影を追って広大な世界を旅する。

本作には、クラウドの行動によってキャラクターの好感度が変動するシステムが搭載されている。『ファイナルファンタジーVII』にはエアリスやティファといったヒロインが登場するため、クラウドの恋人には誰が相応しいかについては長年にわたってファンの間で議論が繰り返されてきた。クラウドと、エアリスとティファは、いわゆる三角関係のようなもの。クラウドとエアリスのカップルを理想とするファンも存在すれば、クラウドとティファのカップルを至上のものとするファンも存在する。思い思いのカップリングが存在し、『ファイナルファンタジーVII リバース』ではそうしたメインキャラから、自分の好きなカップリングを作ることも可能である。

そうしたなかで、ある“解釈”の海外メディア記事がコミュニティを騒がせた。というのも、ある海外メディアで「エアリスのクラウドへの愛は、恋愛ではなく姉から弟への家族愛のようなものだ」という趣旨の記事が掲載された。このメディアは、他誌インタビューの浜口氏の発言を根拠として、“浜口氏がエアリスのクラウドへの愛は家族愛と語ったので、恋愛関係ではない”と報道したわけだ。

どういうことか説明しておこう。本編のストーリーでは、クラウドの母親クラウディアが息子に合う恋人像として「ちょっとお姉さんでクラウドを引っ張っていく」ようなタイプがいいと語るシーンが存在する。このイベントシーンについて、海外メディアが“引っ張っていくお姉さん”というのは、エアリスのことかと浜口氏に尋ねたそうだ。浜口氏がそうした質問を肯定する回答をしたことで、クラウドとエアリス間の愛は、お姉さんと弟の愛――つまり家族愛であり、恋愛関係ではないと他メディアを介して解釈され、その言説が広まったのだろう。

このインタビュー記事を見たユーザーたちが、浜口氏のSNSアカウントに対して数多くのメッセージを送ったという。浜口氏は今回、弊誌のインタビューにてこうした記事が誤解にもとづいているとコメント。弊誌に対して「クリエイターがコンテンツを介さずにキャラクターの恋愛関係を語ることはありません」と強調した。あくまで、ゲームあるいはそれらに付随したコンテンツの中での描写がすべてということだろう。

浜口氏は「作り手として、(キャラの関係性などは)今後もコンテンツを介して発信していきます。たとえば、我々がクラウドが誰を好くか、エアリスが誰を好くかなどについて、公式に誰かが発言はすることはありません」とコメントした。

また浜口氏によると、こうした誤解は言語のニュアンスによる差異の影響かもしれないとも述べている。日本語版では先述のクラウディアのセリフが「クラウドには姉さん女房が恋人にぴったり」といった表現になっているが、北米版は少し違ったニュアンスに表現されているという。というのも、北米では姉さん女房という概念が日本のようには定着していないのかもしれない。姉的な恋人というニュアンスがそのまま姉というワードで受け止められたとすれば、家族愛的だと解釈されるのも理解はできるだろう。

とはいえクラウディアの「クラウドには姉さん女房が似合う」という考えは、母として「息子を安心して任せられるタイプ」といった意図であり、姉弟愛を指すわけではないとのこと。そもそもあくまでクラウディアの考えであり、エアリスとクラウドの関係性を決定づける要素でもないようだ。

つまり「クラウドとエアリスの関係は家族愛であり恋愛ではない」という誤解は、言語の違いと伝言ゲームが重なって広まることになったのだろう。浜口氏はこのトピックについて「繰り返しになりますが、キャラの関係性はコンテンツを介して発信するとファンに伝えたいです」と締めた。クラウドとエアリスを含め、作中のキャラ同士の関係性はあくまでゲームを含めたコンテンツによってすべて表現されているわけだろう。キャラ同士の関わり合いについて考えるときには、作品だけを見据えて解釈を楽しむのがよさそうだ。

『ファイナルファンタジーVII リバース』は、昨年よりPS5版が発売中。PC版は2025年1月23日よりSteamEpic Gamesストアで発売中。PC版にはPS5版よりも高解像度のモデル・テクスチャが用意されており(関連記事)、さらに美麗になったクラウドとエアリス、あるいはティファらを見ることができる。

Ryuichi Kataoka
Ryuichi Kataoka

「ドラゴンクエストIII」でゲームに魅了されました。それ以来ずっとRPGを好んでいますが、おもしろそうなタイトルはジャンルを問わずにプレイします。

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