生物がさまざまに進化する島で、人類は絶滅の危機に直面する。3Dアクション・アドベンチャー『Pine』Square Enix Collectiveに登場
発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第309回目は『Pine』を紹介する。
Square Enix Collectiveは10月18日、オランダのインディースタジオTwirlboundが開発中の3Dアクション・アドベンチャーゲーム『Pine』を支援候補タイトルとして新たに登録し、ゲーマーコミュニティからの投票受付を開始した。28日間の投票期間中に十分な支持が集まった場合、Twirlboundはクラウドファンディングでの資金集めから発売までに必要なサポートをSquare Enix Collectiveから受けることができる。
『Pine』の世界では、人類は食物連鎖の頂点には位置していない。舞台となる「Albamare」と呼ばれる島では、別の生物種が高い知能を持っており言語も獲得している。人類は森の奥深くにある集落で暮らしており、彼らが「The Out」と呼ぶ外の世界には危険な生物が生息している。そのため彼らは集落から遠くはなれることは決してしない。本作の主人公である「Hue」はそんな環境で育った少年だ。
平和に暮らしていた人類だが、ある日突然絶滅の危機が訪れる。「Hue」はかつて人類が住んでいた伝説の土地が存在することを聞き、そこに行けば人類が生き残る手がかりを得られるに違いないと決意を固め、「The Out」へと旅立つ。
本作はさまざまなゲームから影響を受けており、『ゼルダの伝説』シリーズの探索要素、『Bloodborne』の戦闘システム、『Middle-earth: Shadow of Mordor』のネメシスシステム、そして『Fable』シリーズの成長システムを参考にしているという。その上で本作が特徴としているものがAIだ。バトルでは敵はプレイヤーの攻撃パターンを学習して裏をかいてくるため、プレイヤーもまた敵を上回るプレイに努める必要がある。しかしこれはほんの一例で、生物の進化を大きなテーマに掲げている本作におけるAIの役割はもっと大きなものだ。
「Albamare」島に住む生物は文字通り“生きて”おり、プレイヤーの関与とは関係無く、生物種間の力関係のわずかな変化から絶滅に至るまで起こりえるという。そしてその生物たちはそれぞれの必要に応じた進化を遂げる。たとえば攻撃的に進化した生物はより強力な武器を手にするようになり、逆に守備的に進化したものはより頑丈な装備を身につけるようになる。またプレイヤーと直接関与した生物は、プレイヤーの行動に合わせた進化を遂げることもある。たとえばプレイヤーがステルスプレイに徹していると、その生物はプレイヤーを察知しようと聴力を発達させる方向に進化するという。
「Albamare」島自体もまた生きた世界として表現される。昼夜のサイクルが存在し、雨や嵐といった天候の変化も存在する。強い嵐の日や寒い夜になると、生物たちはしのげる場所を探して逃げ込む行動をとるという。プレイヤーは広大なオープンワールドであるこの島を旅する中で、さまざまな生物と出会うことになる。生物同士の争いに加担したり、食料を分け与えたりすることで親交を深めることができ、逆に敵対して食料を奪ったり縄張りから追い出したりすることもできるそうだ。そういったプレイヤーの関与もまた、生物たちの進化の方向性に影響を及ぼすことになる。
プレイヤーが使用する道具や装備はすべて島の自然や生物から獲得して作る。他の生物に変装するような装備をそろえることで、仲間であると思い込ませることもできるという。そして最大の目的である人類の生存のためには、古代の人類が使用していた道具を入手する必要がある。それがどのようなものかは明かされていないが、島の移動手段であったり生物との関わり方に変化をもたらすとしている。
Twirlboundはこれまで一年以上にわたって『Pine』を開発してきたという。公開されたトレイラーからは自然豊かな美しい「Albamare」島の様子が確認できるが、「The Out」に住む生物はまだ二種類しかおらず、「Hue」の装備や武器も少なく、開発はまだまだこれからというところだ。人類の生存をかけた「Hue」の旅にはストーリーがあり明確なゴールが設定されているものの、Twirlboundが本作で実現しようとしている広大な生きた世界やその中で生きるさまざまな生物の進化は、プレイヤーそれぞれに異なった体験をもたらすもので非常に野心的かつ大きな挑戦だ。
『Pine』はWindows/Mac向けに2018年末の発売を目指して開発中。後に実施予定のクラウドファンディングでの結果次第ではPlayStation 4版とXbox One版も発売する可能性があるとのこと。
少し気は早いが、本作の日本での展開の可能性はあるかTwirlboundのプロデューサー/デザイナーMatthijs van de Laar氏に伺ったところ、日本のゲームシーンにはかなり好意的な印象を持っているそうで、本作の開発続行がかなった際に日本語に対応させて日本での発売ができないか検討しているところだと話してくれた。
本作は現在Square Enix Collectiveのこちらのページで投票受付中。後に本作のクラウドファンディングが実施された場合、投資したいゲームであると感じたなら「YES」に、そうでなければ「NO」に投票する仕組みだ。投票するにはSquare Enixアカウントを作成する必要がある。