荷ほどきパズルゲーム『Unpacking アンパッキング』開発者、Nintendo Switch向けに「名前被りの偽物」が配信されているとして任天堂に対処求める。一部地域ではすでに販売停止

Witch BeamのアートディレクターWren Brier氏は12月16日、自身の作品を真似た“ひどい詐欺的なゲーム”がニンテンドーeショップ上に存在していると発表。任天堂に対応を求めているようで、現時点では一部地域で販売停止の措置が取られている。

インディースタジオWitch BeamのアートディレクターWren Brier氏は12月16日、自身の作品を真似た“ひどい詐欺的なゲーム”がニンテンドーeショップ上に存在するとし、任天堂に対応を求めていることを明らかにした。

Witch Beamは、パズルゲーム『Unpacking アンパッキング』の開発元だ。新居での荷ほどきをテーマにした作品で、さまざまなアイテムを段ボール箱から取り出しては各部屋に配置していくなかで、住民にまつわる物語を感じ取ることができる。本作は2021年11月に発売され、その後数々の賞を受賞。また発売から1年で100万本以上を売り上げるなど、非常に高く評価されている。

*本家『Unpacking アンパッキング』のトレイラー

『Unpacking アンパッキング』を手がけたWren Brier氏は今年11月29日、Nintendo Switch向けに配信されている『Unpacking Universe Dreams』なる作品についてのSNS上での投稿に反応した。その投稿は、『Unpacking Universe Dreams』は“著作権を侵害しているAI製の電子廃棄物”だと指摘する内容。Brier氏は、元投稿のあと同作向けにDLCが配信され、自身の『Unpacking アンパッキング』と並んでニンテンドーeショップ上に掲載されている様子を示して、「状況はさらに悪くなっている」とコメントした。

『Unpacking Universe Dreams』は、日本では『宇宙の夢を解き明かす – Unpacking Universe Dreams』というタイトルで今年10月31日に配信されたパズルゲーム。内容としては、さまざまな環境の小さな部屋にて、ダンボール箱から家具などを取り出し配置するというもの。アイテムは好きな場所に配置できるが、たとえばコップはテーブルや棚に置かないとステージクリア判定にならないなど、一定の制限がある。

こうしたゲームプレイは、『Unpacking アンパッキング』に非常に似ている。もっとも、世界観に一貫性はなく、『Unpacking アンパッキング』のような物語性も存在せず、ただアイテムを箱から出して置くだけとシンプルな作品となっている。

It's been over two weeks and these are still on the eShop. Nintendo hasn't responded to any of our reports of these egregious scams which are using our trademarked game name and purposely tricking Nintendo customers into buying cheap fakes.

Wren Brier (@wrenegade.bsky.social) 2024-12-16T05:55:21.046Z

そしてWren Brier氏は12月16日、前回の投稿から2週間経った今も、『Unpacking Universe Dreams』がニンテンドーeショップ上に存在すると報告した。同氏は、『Unpacking Universe Dreams』の開発元は『Unpacking アンパッキング』の商標権を侵害していると指摘したうえで、意図的に消費者を騙し“安っぽいフェイク”を買わせようとしているとコメント。また、“ひどい詐欺的なゲーム”が配信されているとして任天堂に対応を求めているが、特に返答はないという。

ただ、弊誌が本日12月17日に確認したところ、米国やカナダなど一部の国のニンテンドーeショップでは、『Unpacking Universe Dreams』が販売停止となっている。日本や英国などではまだ販売されているようだ。Brier氏の報告を受けて、任天堂が対処を始めたのかもしれない。あるいは、同氏はDMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づく削除申請をおこなっていたそうで、その通知を受けて任天堂が一旦販売停止させた可能性もありそうだ。

『Unpacking Universe Dreams』の開発元CGI LABは、Nintendo Switch向けに多数のゲームをリリースしている。ゲームジャンルはさまざまでカジュアルな作品が多いなか、他社の人気作を彷彿とさせる内容のものも散見される。一般的に、ゲームのアイデアは著作権法の保護対象にならないとされており、ある作品が人気を得ると、似た作品が次々に現れることはよく見られる光景(関連記事)。『Unpacking Universe Dreams』もそのひとつだといえる。

ただし、『Unpacking アンパッキング』を手がけたWren Brier氏は、欧米にて「Unpacking」を商標登録している。「Unpacking」という同じタイトルが付けられたクローンゲームがリリースされたとなれば、同氏としては看過できないだろう。特に、『Unpacking Universe Dreams』のDLCバンドル版は『Unpacking: Deluxe Edition』というタイトルで販売されており、『Unpacking アンパッキング』と誤認しかねない。

先述したとおり、『Unpacking Universe Dreams』は一部の国のニンテンドーeショップでは、すでに配信停止されている。今後、ほかの国でも同様の措置が取られることになるのか注目されそうだ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

記事本文: 6874